しかし、実際にSyncroomを経由してライブ配信した映像のアーカイブを観ると、音がやせ細っていてどうにもかっこよくありません。そこで、パッチに手を加えてもうすこしギターサウンドらしいものを作ることにしました。
ある程度形になったと思うので紹介します。
この記事の目次
シャカシャカと線の細いサウンドの原因は
ライブ配信テストのアーカイブ映像を見ると、なんともシャカシャカとした線の細いサウンドです。
まるでエレキギターの出力をそのままPCに取り込んだみたい。
マルチエフェクターとはいえアンプシミュレーターとキャビネットシミュレーターを通したのに、こんなショボいサウンドでは納得できません。
自分で作ったいくつかのパッチを切り替えてみたり、オーディオインターフェイス(ZOOM L-8)の入力設定や3バンドイコライザーをいじってみましたが、解決しませんでした。
最初は、ボーカル用マイクがピッキングの生音を拾っているためかとも思ったんですが、結局それも根本原因ではありませんでした。
このあと紹介する根本的な対処ができれば、生の弦の鳴りは気にならなくなります。
ZOOM L-8のプリアンプは音が細いのか?
ZOOM G1four
ZOOM LiveTrak L-8
時系列が前後しますが、途中このL-8のプリアンプが悪いのかと疑って、ヤマハのライブ配信用ミキサー AG03も使ってみました。
AG03にはギター用の入力ジャックとモードがあるので、ギター向きのプリアンプが載ってるんじゃないかと考えたからです。
AG03に音を入力してみると確かに音が太くなりますが、音質的にはいまいちで中音域に固まったような印象です。
(逆にこれが迫力を増しているともいえます)。
あとあとレコーディングすることまで考えると、L-8で音を作っておくに越したことはありません。
ロックギター的な骨太さをめざすには
話を戻します。
音の迫力を改善するのに、次のような設定を試してみました。
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パッチ上でリバーブの位置を変えてみる
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パッチの最終段にEQを入れてみる
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コンプレッサーでサステインを伸ばす
"リバーブの位置を変えてみる”のと”パッチの最終段にEQを入れてみる”というのは、実は狙いは同じです。
ギターアンプは5KHzあたりから上をばっさりカットすることで独自の音を作っているらしいので、パッチの最終段にいれてあったリバーブをキャビネットの前に持ってくることで実際のギターアンプの音に近づくんではないかと考えました。
最終段にEQを入れるのも、6KHz(EQの仕様)から上のゲインをめいっぱい下げることで、同様の効果が出ないかというトライです。
コンプレッサーを入れるのは、音の延びでは効果がありますが、それだけでは骨太な音にはなりません。
"最終段でブースト"がヒントに
これらの設定をいろいろトライしてみましたが、簡単に設定をいじれるのはマルチエフェクターならではですね。
PC(GuitarLab)上で簡単に設定を切り替えられるのでいろんなトライができました。
実際のエフェクターをつなぎ替えたり調整していたんじゃたいへんでしょうね。
話を戻すと、いちばん効果があったのが、最終段にOutputBSTというエフェクトを入れることでした。
このエフェクトは、ZOOMのG5nという上位機に搭載されている”Output Booster”という機能をエフェクトとして再現したもの。
これをパッチの最後に入れることで音量をさらに上げます。
”Range”、”Boost”、”Tone”、”VOL”の4つのパラメーターがあり、”Boost”は思い切ってめいっぱいあげ、”VOL”もかなり上げてあります。
”Range”は効果のかかる周波数帯、”Tone”は音質を調整するので、使用するギターやアンプに応じて調整します。
また、アンプの前にコンプレッサーを設定し、歪み量をコントロールするためにアンプのゲインにも手を入れました。
よりギターらしいサウンドに
パッチの最終段でブーストすると改善されるので、さらにあることを試しました。
それはGuitarLab上にあるマスターボリュームを絞るという方法です。
GuitarLabで音を作るとき、もともとユーザー用の設定(最初はなにもせっていされていないもの)では、マスターボリュームが100あたりになっていたのでそのまま使ってきました。
そして、このマスターボリュームに合わせる形でアンプシミュレーターの音を作ってきたんですが、この手順を逆転させます。
もともとギターアンプはある程度ボリュームを上げてやらないと迫力がでないというのは、Line6のSpider V20 MkIIで経験していたので、それも踏まえ、まずマスターボリュームをかなり絞り込んだ状態(10~20程度)でアンプシミュレーターで音を作ります。
その音をL-8にインプットしてマイクゲインを調整。
マイクゲインの適当なところが見つかったら、さらにいギターのボリュームやトーンコントロールをフルアップにしたり、シリーズ接続(うちのテレキャスターはピックアップセレクターが4ポジションタイプ)にして出力を上げたりしても、入力インディケーターのLEDが赤く点灯しない程度に、GuitarLab上のマスターボリュームを調整していきました。
さらにいくつかのパッチをGuitarLab上で作り、パッチを切り替えたときもL-8側のマイクゲインをいじらなくていいような設定を探って、マイクゲインとマスターボリュームの組み合わせを探っていきます。
こうすることで、ようやくロックギターらしい骨太な音がだせるようになってきました。
ちなみに、いまのところ、L-8のマイクゲインが10時ぐらいの位置で、アンプシミュレーターにマッチレスを使ったときのマスターボリューム値は45にしています。
これで、ギター側の操作(ピックアップの切り替えとボリュームおよびトーン調整)だけで、軽めの歪みやジャキジャキしたロック向きのトーンから、ある程度まろやかでジャズっぽいトーンまで出せます。
G1fourは処理能力が低くパッチ内にエフェクトを5つまでしか使えないので、いまのところマッチレス用では次の様に構成しています。
- ノイズリダクション
- Air(部屋なり感を出すリバーブ)
- コンプレッサー
- アンプシミュレーター
- キャビネットシミュレーター
リバーブが前のほうに入っているのは、ホロウボディギターっぽい音を作れないかというテストです。
なお、G1fourでは計5つのエフェクトしか使えないので、これでもういっぱいです。
できればさらにオーバードライブとリバーブを加えたいところですが、これは諦めるしかありません。
そこで、リバーブはL-8側で掛けることにしました。
また、このパッチでギターアンプも鳴らせるように、Spider V20 MkIIのほうは、アンプとキャビネットなしのパッチを作りました。
こちらもマスターボリュームがあるので25まで絞ることで、ドライブ感のあるサウンドをご近所迷惑にならない小音量で出せるようにしています。
ライブ配信しないときは、(ヘッドフォンでなく)ギターアンプからの音を聴きながら練習できるこっちの組み合わせがお気に入りです。
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