これでは、せっかくSyncroomに参加しても、あまり楽しめませんね。
そもそもエレキギターの音は最低限アンプとスピーカーを通して作られるものだから、ギターの信号だけではカッコよくも美しくもない。
そこで今回はちょっと脇道へそれて、マルチエフェクターを使った音作りの方法というかひとつの考え方を紹介します。
例によって初心者が超初心者向けに考えた設定です。
ふだんからアンプやエフェクターで音作りをしている方は無視しちゃってください。
この記事の目次
お手頃エフェクターでかっこいい音を狙う
エレキギターらしい音を作る道具として、今回はZOOMのG1fourという安価なマルチエフェクターを使います。
実売価格で7000円程度のお手頃価格ながら、いろんなエフェクトやアンプモデルが入っていて初心者にはなか楽しめる機種です。
以前にも、専用アプリを使った音作りについて紹介していますが、そのときはアプリの操作解説に寄った内容でした。
今回は、もう少しギタープレイヤー側の視点で音作りをやってみます。
といってもこちらも音作り初心者だし、安価な機種だけにできることには限りがあります。
それでも設定できる箇所はかなり多く、エフェクターに慣れた人でないとどこから手を付けていいかわからなくなりそう。
そこで今回は、動画やWeb記事であさりまくった情報を私なりに再構成して、いちばんオーソドックスな手順と思われる方法を紹介します。
もちろん、自分で音作りしないで最初から登録されているプリセットで楽しむのもありです。
基本的な手順
今回の音作りの基本的な流れは次のようになります。
-
アンプを選ぶ
-
アンプとペアになるキャビネットを選ぶ
-
基本的な音の傾向(クリーン系/歪み系)を決める
-
キャビネットのEQを調整して不快な音を削る
-
アンプのEQで標準的な音色を決める
-
コンプレッサーで音にハリと力強さを出す
-
空間系エフェクトで広がりや奥行き感を演出
なお、演奏時の最終的な音量や音質調整は、G1four本体についているノブで行います。
自分だけのパッチで好みの音を作る
エフェクトリストを確認
音作り(パッチの制作)に入る前に、専用編集アプリGuitar Labのエフェクト一覧でどんなエフェクトが使えるかざっとチェックしておきます。
ここではアンプのカテゴリを表示しています。
GuitarLab上ではアンプもエフェクトのひとつとして扱われます。
エフェクトのアイコンのところにブルーでくるっと丸い矢印がついているものは、ダブルクリックでダウンロードすると使えるようになります。
処理能力が重要だ
ここで重要なのが「処理能力」のところにあるパーセンテージの値。
このあといろんなエフェクトを組み合わせていくとき、各エフェクトの処理能力を合計してその値が100%を超えると使えません。
そのときは同系統のエフェクトから、もう少し処理能力の低いものを探して調整することになります。
パッチ編集画面に入る
G1fourのばあい、エフェクターの組み合わせ(パッチ)は5つのスロット(ブロック)で構成されています。
つまりリストにあるエフェクトの中から5つまでを組み合わせることができます。
ブロック(パッチ)の構成
ブロックは左から順に並んでいます。
1が入力つまりギター側、5がオーディオインターフェイスやミキサーなどの出力側です。
この5つのスロットの中でアンプとエフェクターを組み合わせて完結したセットをつくることもできるし、アンプは本来のギターアンプにまかせてG1four上では純粋にエフェクターだけのセットするなど、柔軟な設定ができます。
また、スロットはあとから並べ替えて音の変化を確認することもできます。
このあと詳しく紹介しますが、G1fourの仕様では、アンプとキャビネット(スピーカーがついた箱)もそれぞれエフェクトのひとつとしてセットするので、いわゆるエフェクターとして使えるのは残り3つになります。
アンプ選びの基本方針
ここで突然ですが、アンプの選び方について。
要は気に入った音を選べばいいんですが、基本的な傾向とか調整のしやすさとかは経験しないとわかりません。
そこで、いろいろ調べた結果をもとに、王道中の王道、フェンダー系アンプを選ぶときめやすとして私が考えたやり方を紹介したいと思います。
G1fourにおけるギターアンプの基礎
一般的にギターアンプといわれるものにはコンボタイプとスタックタイプの2種類あります。
スピーカーがいっしょになったやつがコンボタイプ、つまり一体型。
それに対し、スピーカーが入った箱(キャビネット)が別になっているセパレート型がスタックタイプ。
G1fourにはどちらのタイプも入っていますが、コンボタイプでも、アンプとキャビネットを別々に登録します。
いいかえるとアンプを登録しただけでは本来の音にならず、必ずキャビネットを組み合わせる必要があります。
スピーカーと出力
音の傾向を決める大きな要素として、スピーカーの数と大きさ、それにアンプの出力が関係してきます。
スピーカーはおもに8インチ、10インチ、12インチの3サイズが主力。大きいほど低音が出やすくなります。
そして、キャビネットに載っているスピーカーの数。
8インチスピーカー1個だったら"1×8"、12インチスピーカー2個だったら"2×12"のように表記します。
スピーカーの数が多いと1個あたりの負担が少なくなるので、大音量を出しても余裕があり、ムリのない素直な音が出るようです。
逆に大音量をスピーカー1個で鳴らすと、負担が大きくて音が歪みやすくなりますが、ギターの世界ではそれもまた”味"として好まれることがあります。
アンプの出力は出せる音の大きさに関係します。
練習用アンプだったら1wとか5w、小規模ステージだったら30w前後、大きな野外ステージとかになると100w以上とかになります。
G1fourのエフェクトでは、アンプのモデル名は選べますが、元になった実機のスペックを知っていないとどれくらいの出力があるのかわかりません。
歪み(ひずみ)との関係
ギターアンプの重要な要素が歪み(ひずみ)です。
ハードロックやヘヴィメタルではどれくらいきれいに歪むかが大事だし、ジャズは逆にまったく歪ませずに音を出す必要があります。
ここで、スピーカーの構成とアンプ出力が重要な役割を果たすようです。
アンプを最大出力近くで鳴らすとごく当たり前に歪みます。
出力が小さいアンプでもボリュームをめいっぱい上げれば勝手に歪むし、大出力アンプを小音量で使えば歪みません。
ということは、出力が低いアンプほど歪ませやすいという傾向があることになります。
特に自宅での練習では大きな音が出せないので、小音量でも歪ませやすい低出力のアンプが好まれます。
また、スピーカーのところで紹介したように、同じ出力だったらスピーカーの数が少ないほど負担が大きいので、これが歪みの質に影響してくるようです。
フェンダー系アンプのラインナップ
以上を踏まえて、G1fourで使えるフェンダー系アンプを見てみましょう。
エフェクト名の先頭に”FD"とついているのがフェンダー系アンプです。
”FD TWNR"が「ツイン リバーブ」、"FD B-Man”が「ベースマン」、"FD DLXR”が「デラックス リバーブ」で、どれもギターアンプの歴史に残る名機です。
ほかに”FD MASTER”というのがありますが、こちらはちょっとややこしい例外的なモデルなのでこでは割愛します。
さて、3機種の基本スペックを比較してみましょう。
ツインリバーブ | デラックス リバーブ | ベースマン | |
---|---|---|---|
キャビネット構成 | 2×12inch | 1×12inch | 4×10inch |
アンプ出力 | 85W | 22W | 50W |
ゲイン調整 | ✔ | - | ✔ |
こうしてみると、出力ほどほどでスピーカー数の多いベースマンはいちばん素直な音でいろんな用途に合いそうだと見当をつけました。
ちなみにツイン リバーブは歴史的に見ても「歪ませない」ことを目的に開発されたとのことです(当時は歪むアンプが当たり前だったので)。
ただし、ツイン リバーブとベースマンについている”Gain”ノブは、ボリュームとの組み合わせで歪み量を調整できます。
出力が低めでスピーカーが1本、さらにゲイン調整のないデラックス リバーブはいちばん歪ませやすそうな印象ですがコントロールが難しいかもしれません。
こういった基本スペックを下敷きに、あとは実際の音をチェックしてアンプを選んでいくことにします。
G1fourの制限
後ほど詳しく紹介しますが、G1fourは低価格機ならではの制限で使えるエフェクトが限られています。
そこでもし、アンプ本体だけで歪みをコントロールできれば、歪み系のエフェクトを外してほかのエフェクトを割り当てられます。
また、「ツイン リバーブ」と「デラックス リバーブ」はスプリングリバーブを搭載しているので、リバーブ系のエフェクトを使わずにすませる可能性もあります。
以上に音楽スタイルの好みを加味、プリセットで登録されている音も踏まえて検討し、”FD B-Man”を私の基本アンプとし、ばあいによっては”FD TWNR”を使うことに決めました。
アンプをセッティングする
アンプの選択
ここからはSyncroomで演奏を楽しむことを前提に、エフェクターとアンプ、キャビネットのセットを組んでみます。
まず、2番めのブロックの[TYPE]と書かれているところをクリックして、メニューを開きます。
エフェクト一覧の中から「AMP」グループを選び、リストから”FD B-MAN”を選びました。
ここで処理能力が"33%"だというところに留意しておきましょう。
アンプを設定するとブロックがひとつ増えて、計6つになっていますが、これは設定画面の都合で、実際に消費するブロックはひとつ分と考えて構いません。
つまり残り4つのエフェクトを割り当てることができます。
キャビネットの選択
続いてキャビネットを選択します。
先ほど登録したFD B-MANに対応するキャビネット"FD B4✕10"を選択します。
これでブロックを3つ消費しました。
処理能力は、画面上のほうのパッチ名のすぐ下にあるProcessorというところで確認できます。
この時点で42%を消費しています。
基本の音を鳴らしてみる
ここまできたら実際にギターを鳴らしてみます。
おそらく、憧れの曲のイメージには程遠い、ショボい音しかしません。
が、ここがスタートなので、まずそこを確認しておきます。
キャビネットのマイクをオンにする
次に、キャビネットのパラメータの中でいちばん左にあるMICをオンにします。
ディスプレイ分の下にある丸いノブの上にポインタを持っていき、右方向へドラッグするとオンになります。
これで実際にキャビネットから出る音をマイクで録音する設定ができました。
もういちどギターを鳴らしてみましょう。
これだけでかなりカッコイイ音になるはずです。
もし、G1fourで作った音を本物のアンプを通して鳴らすんだったら、マイクをオンにする必要はありません。
なんだったら、キャビネットを登録する必要もありません。
そのほうがブロックを消費しないので、いろんなエフェクターが割り当てられて、音作りの幅が広がります。
設定を保存する
GuitarLabの初期設定では、なにか設定を変更するたびに自動保存が働きます。
これだと、ちょっと変更してみるたびに保存してしまうのでけっこう煩わしく感じます。
そこで私は自動保存をオフにしてあります。
見たところ、GuitarLab上ではそのための設定項目がないので、G1four側で設定するようです。
変更のやり方については、G1fourのマニュアルで確認してください。
自動保存がオフのばあい、GuitarLab上でなにか操作すると右上の[SAVE]ボタンがオレンジ色になります。
ボタンの色を常に確認し、セッティングがある程度決まってきたらそのつどボタンをクリックして保存するように心がけましょう。
ここではアンプとキャビネットの基本ができたのでまず保存しておきます。
基本的な音を決めよう
続いて自分が求める理想のサウンドに近づけていきます。
ここからは、使っているギターや音楽ジャンルによって設定が大きく違うので、パラメーターはあくまで参考です。設定を進める上での考え方と捉えてください。
FD B-MANでは、まずいちばん左にある”Input"に注目しました。
"Normal”と”Bright”の切り替えが可能で、デフォルトは”Bright"です。
高音がきらびやかすぎると感じたので、ここは”Normal”にしました。
続いてキャビネットの2つめにある、”D57:D421"という謎の設定です。
これは、キャビネットから出る音を録音するためのマイクセッティング。
実際に使われるシュアーSM57とゼンハイザーMD421(通称クジラ)に似せた名前になっていて、2種類の音量バランスを調整します。
ネットで調べたところ、このふたつの音量バランスは、主に高音の出方に関係するようです。
D57側とD421側に振り切って、それぞれギターの高音弦の音を確認したところ、D57側は音がカリッとして若干うるさく、D421のほうがマイルドに感じられたのでややD421側に寄せてセッティングしてみました。
これは私のギターがテレキャスタータイプというのが大きく影響しているので、ご自分のギターの特性と演奏する楽曲に応じて調整してください。
アンプの基本設定
ここで、音作りのスタートになるアンプのデフォルト値をメモしておくことにしました。
これでもし途中で迷ってももとに戻ってこれます。
Bass | MID | Treble | PRSNC | Gain | Vol | |
---|---|---|---|---|---|---|
初期値 | 40 | 100 | 50 | 60 | 40 | 60 |
12時位置 | 65 | 65 | 65 | 65 | 65 | 65 |
ここで”12時位置"というのはノブの中間のはずなんですが、めいっぱいに上げたときの値は"120"なので中央にはなりません。なぜこうなっているかは不明です。
モデルになった本物のアンプもこんな感じなんでしょうか?
ベーシックな"歪み"量を決める
”歪み”に対する方針
続いてロックギターには欠かせない歪み(ひずみ)を、狙っている音楽スタイルに即して決めていくことにしました。
簡単にいうとオーバードライブ/ディストーション系のエフェクターを使わない状態、つまりアンプ単体でどの程度歪ませるかということです。
すでに紹介したとおり、アンプをFD B-MANにしたことで、アンプだけでかなり歪んだ音を作れます。
この段階で満足行く歪みが得られれば、エフェクターを使わずにすむのでブロックがひとつ空き、その分ほかのエフェクターで音作りする幅が増えます。
今回狙うのはオールディーズのロック、ポップス、ソウルなどに使えるサウンドです。
そこで、クリーントーンから軽いクランチあたりを狙います。
ギターのボリューム/トーンはともに"8"あたりを基準にしてクリーントーンを作り、そこからフルテン(最大)に上げたときに軽く歪むという形で、ギター側で調整できるようにします。
また、私のギターはテレキャスタイプながらピックアップセレクターの4ポジションめでパワーアップできるので、強い歪みがほしいときはそこでカバーできるような線を狙います。
アンプのゲイン設定
まず、アンプのボリュームとゲインをめいっぱい上げて音を確認。
もちろん、ギターのボリューム、トーンは”8"にしておきます。
さずがに歪みすぎなので、そこからゲインだけ絞っていきます。
するとデフォルトの"40"を下回ったところで急激に音のハリがなくなるのがわかりました。
"45"まで戻して、コードを軽く弾いてみるとこの時点ですでに少し歪んでいます。
そこでデフォルトのまま”40”で行くことにしました。
ボリュームのほうは、あとで調整する余地を残すため、この段階ではとりあえず"90"にセットしておきます。
アンプの音を仕上げる
キャビネットの音質調整
基本的な音量と歪み量の方針が決まったところで、もういちどキャビネット側の音質調整に戻ります。
こんどは、低音弦と高音弦の音をチェック。
低音側は音がボワボワしたりこもったりせずスッキリしているか、高音側は耳に痛い鋭さが残っていないかといったところを調べます。
特に高音側は、ギターのピックアップセレクターをブリッジ側にして、単音とコード弾きの両方で音を確認。
さらにギターのトーンコントロールを徐々に絞っていき、籠もりすぎにならないか、マイルドさの中にわずかに芯が残った音にできるかを探ります。
その結果、Lo(低音)はデフォルトのまま"50”、Hi(高音)はやや絞って"42”で行くことにしました。
ミッドとプレゼンス
アンプセッティングの最後として、MID(中音域)とPRSNC(プレゼンス/超高域)を設定します。
ミッドはややすっきりさせたかったので"60”まで絞り、プレゼンスは思い切って"10"(最低)まで下げました。
これでいちおうアンプの設定はできあがりとします。
演奏時の最終的な音質調整はG1four上のノブで行う(Hi/Mid/Loの3バンド)で行うので、そこでの調整幅にゆとりを残すためにも、アプリ上では基本的な設定と捉えてほどほどのところでとどめておきます。
エフェクターで味付け
残っている3つのブロックにエフェクターをセットして、好みのサウンドに近づけていきます。
クラシックロック、オールディーズポップス向けなので、フェイザーとかフランジャーのような派手なのは要りません。
コンプレッサー、ディレイ、リバーブ程度で軽く味付けします。
コンプレッサー
G1fourを買った当初、音にハリを出させたいときはオーバードライブやブースター系のエフェクトを使っていましたが、どうもあまりうまく使えていませんでした。
今回のセッティングだと、歪みはほとんどいらないのでアンプのゲイン設定だけで充分カバーできます。
そこでコンプレッサーを試してみることにしました。
ふつうコンプレッサーはパッチの先頭近くに入れます。つまりギターから出た音が最初に入るところです。
いちばん左端のブロックの[Type]をクリックし、エフェクト一覧を開いたらDYNAMICS(ダイナミクス)グループを選択します。
このなかで"ZNR"と”NoiseGate”以外はすべてコンプレッサーです(”NoiseGate"はダウンロードで追加したもので、初期にはインストールされていません)。
ご覧のとおりコンプレッサーにもいろいろありますが、残念ながら実機を知らないので特徴がわかりません。
そこで、片っ端から試した結果いちばんコントロールがしやすそうだという理由でFETタイプのLMT-76を使うことにします(RackCompも扱いやすかったんですが、音はLMT-76のほうが好みだったので)。
G1fourのパラメータリストを見ると"LMT-76"はUrei 1176LNという実機をシミュレートしたものと書かれています。
そこでUrei 1176についてネットで調べたところ1967年に登場し、現在でもレコーディングスタジオの定番として使われている銘機だとわかりました。
しかも使い方しだいでドラムからボーカルまでこなせる万能タイプとのこと。
オールディーズ、クラシックロック好きにはこれしかないでしょうというチョイスですね。
ただし、ふつうのコンプレッサーと違い、スレッショルド指定がないので使い方にはコツが必要です。
Input | Ratio | REL | Output | |
---|---|---|---|---|
初期値 | 40 | 4:1 | 20 | 38 |
設定値 | 12 | 4:1 | 20 | 60 |
簡単に言うと、まずOutputを上げるとハリと艶っぽさがぐぐっと出てきますが、その分基本的な傾向として歪みやすくなります。
そしてInputを上げるとコンプレッサーがかかる領域が増え、音に力強さが出る代わりに歪みが激しくなります。
そこでいちどInputを上げておいてそこから徐々に下げていき、軽いコード弾きで歪まなくなる位置にセットしました。
もちろん、強く弾いたりギターのボリュームをフルに上げれば軽く歪みます。
レシオ(圧縮率)は大きくするほど歪みにくくなりますが、同時に演奏の抑揚が出にくくなるので最低の4:1のままにしてあります。
ディレイ
使えるエフェクトはあとふたつです。
曲によってはコーラスなども考えられますが、まずオーソドックスに"ディレイ"を掛けることにしました。
"ディレイ"は音がなんども遅れて聞こえてくるヤマビコのような効果です。
4つめのブロック(GuitarLabの画面上では5番め)にディレイをセットします。
ディレイにもいろいろなタイプがありますが、歴史的に見ると、まずテープレコーダーの構造を活かした"TapeEcho”が登場し、それを電気的に再現するアナログディレイ、さらにデジタル信号処理化したディレイと進化してきたようです。
そこで今回は当然、"TapeEcho"をチョイスします。
Time | F.B | Mix | Tail | |
---|---|---|---|---|
初期値 | 560 | 64 | 56 | Off |
設定値 | 65 | 14 | 28 | Off |
"Time"を大きくするとエコーの間隔が長くなるので、曲をじゃましない程度まで短くしていき、好みの量を探します。
"F.B”はエコーを繰り返す回数で、値が大きいほどエコーが続きます。あまり長いと歯切れのいいロックに合わなそうなので、少なめにしておきました。
"MIX”は、元の音とエコーの音量バランスです。これも控えめにしておきます。
リバーブ
最後はやはり定番でリバーブを入れます。
エコーは一種類の音が繰り返すのに対し、リバーブはいろんな音が反射して混ざり合ったた複雑な響きとなります。。
これもたくさんの種類があります。
"ROOM"はふつうの部屋、"Hall"はコンサート会場などの残響を再現します。
”Air"と”Chamber”は、G1fourのデフォルトセットにはないもので、追加インストールしてあります。
”Chamber”はレコーディングスタジオの音響を再現したものだそうです。
リバーブは、他の楽器まで含めた全体の統一感を出すために使われることがあるようです。
たしかに、他の楽器やボーカルが小さい部屋の反響しかないのに、ギターだけ大ホールの雰囲気なのはへんです。
そこで残響は控えめに押さえつつ「部屋鳴り」の奥行き感を再現する"Air”を選択し、比較的小ぶりで反射の少ない部屋を想定して、"Size"(部屋の大きさ)を"32"、"Ref"(反射量)を"2"にしてみました。
原音とのバランスを調整する”MIX"もやや抑えめの"36"にしています。
Size | Ref | MIX | Tail | |
---|---|---|---|---|
初期値 | 20 | 5 | 60 | Off |
設定値 | 32 | 2 | 36 | Off |
Syncroomならではのリバーブ設定
なお、オーディオインターフェイスの中にはリバーブ機能をもつものもあります(ZOOM LiveTrak L-8ではディレイも選べます)。
そういった機種では、リバーブはオーディオインターフェイスのほうに任せて、空いたスロットにほかのエフェクトを割り当てるのもありでしょう。スロット数に限りのあるG1fourならではのやり繰り方法です。
また、Syncroomの演奏をライブ配信するばあい、プラグインを使ってDAWと連携できるので、リバーブはそこで掛けたほうがバンド全体の統一感を出しやすいかと思われます。
反響の少ない野外ライブの雰囲気を狙って控えめにしたり、逆に部屋に居ながら大ホールの雰囲気を味わえるような豊かなリバーブを掛けたりして遊べるのもおもしろいところでしょう。
これで、いちおうオールディーズ/クラシックロックに使える自分なりのセッティングができました。
G1fourを買った当初はどこからいじったらいいのか判らずに苦労していましたが、基本的な方針を決めたことで今後の音作りがやりやすくなったと思います。
マルチエフェクターでの音作りをやってみたい方は参考にしてください。
マルチエフェクターでの音作り例 まとめ
-
音楽スタイルに合ったアンプを選ぶ
-
ペアになるキャビネットを選ぶ
-
基本的な歪み量を決める(クリーン/クランチ/歪み)
-
キャビネットのEQで基本的な音の傾向を決定、不快な音を削る
-
アンプ側のEQで標準的な音を作る
-
エフェクターで味付け
-
曲に合わせたEQ調整はエフェクター本体でそのつど行う
Syncroomの記事をまとめて読もう