Syncroomでオンラインセッションを楽しむには、オーディオインターフェイスに応じた入力モニタリング設定が必要となります。
お持ちのインターフェイスに応じてどのような設定をすればいいのかまとめてみました。
この記事の目次
オーディオI/Fを通ると音が遅れる
パソコンにオーディオインターフェイスを接続したばあい、基本的にはパソコンで再生している音を聴くことになります(あたりまえですね)
音楽を再生したり動画を視聴するのはこれで問題ありません。
ところが、音楽制作で歌や楽器演奏を録音するとなると事情が異なってきます。
いちどパソコンの入力してそこから返ってきた音を聴きながら演奏することになるので、機材の性能や設定によっては音がわずかに遅れることがあり、演奏に支障を及ぼします。
これは、1)オーディオインターフェイスからパソコンへ信号を変換するとき、2)パソコン内部でデータを処理するとき、3)パソコンから送られてきたデジタル信号をオーディオインターフェイスがアナログ信号へ戻すとき、の3段階があります。
遅れがない「ダイレクトモニタリング」
このように演奏の録音では音が遅れると困るので、音楽制作用のオーディオインターフェイスでは「ダイレクトモニタリング」という機能を備えたものがあります。
これは、オーディオインターフェイスに入力したマイクや楽器の音をパソコンに送る前に分岐して、そのままスピーカーやヘッドフォンで聴けるようにするものです。
TASCAM US-HRシリーズの製品ページに掲載されている概念図がわかりやすいのでお借りして説明します。
左がオーディオインターフェイスによる基本的な処理で、入力時のアナログ→デジタル変換と出力時のデジタル→アナログ変換で遅れ(レイテンシー)が発生します。
これに、パソコン内部での処理(エコーを掛けるなど)が加わるとさらに遅れが増えます。
それに対し、右のようにダイレクトモニター機能があるとパソコンに送る前の音をすぐに聴くので遅れはありません。
お借りした上の図中の説明にはPCからの音とダイレクト音のバランスを調整可能
とありますが、これはこの図がUS-HRシリーズの説明だからで、機種によっては調整できないものもあります。
ダイレクトモニター機能を備えたものがちょっと便利といえます。
ただし、ダイレクトモニターは音をそのまま返すだけなので、歌にエコーを掛けたり音質を調整するような加工は基本的にできません。
そういった機能を備えた機種は多少高価になります。
モニターバランス調整機能
ダイレクトモニター機能付きオーディオインターフェイスはさらに2タイプに分けられます。
ひとつは、単純にオン/オフスイッチでダイレクトモニター機能を有効にするもの。
もうひとつは、US-HRシリーズのようにモニターバランスとして音量を調整できるものです。
モニターバランスは、パソコンから流れてくる音と生歌や楽器演奏の音をまぜるとき、どちらの音をどれくらいの音量にするかをノブで調整します。
モニターバランス機能があれば、伴奏の音を控えめにして歌の音量を大きめにする、逆に伴奏を大きくしてそれに合わせながら楽器を練習するなど、シーンに応じて調整できます。
モニターバランス調整機能があるオーディオインターフェイスのほうが、音楽制作にはより使い勝手がいいといえます。
画像は各メーカー公式サイトのものをお借りして加工しました。
ローランド Rubix24
モニターバランス調整用ダイヤルがあります。
右へいっぱいに回すとダイレクトモニター音だけ、左にいっぱいに回せばパソコンからの再生音のみになります。
フォーカスライト Scarlet 2i2
ダイレクトモニター用のオン/オフ切り替えスイッチがあります。
ベリンガー U-PHORIA UMSC02HD
U-PHORIA シリーズの2in / 2outモデル。
オン/オフ切り替えスイッチになっています。
ベリンガー U-PHORIA UMSC02HD
U-PHORIA シリーズの2in / 4outモデル。
MIXノブでモニターバランスを調整できます。
右へいっぱいに回すとパソコンからの再生音のみ、左へいっぱいに回すとダイレクトモニター音のみになります。
Syncroomならではの条件
は、離れたところにいるメンバーがネット上に集まって演奏を楽しめるオンラインセッションサービスです。
Syncroomを利用するには、楽器とマイクを同時に繋げるオーディオインターフェイスが必要ですが、ダイレクトモニター機能の有無はいちおう関係ありません。
ただし、ダイレクトモニター機能の有無によって設定が違ってくるので、手持ちのオーディオインターフェイスにダイレクトモニター機能があるか、またこれから購入するにはどういうタイプがいいかを知っておくほうがいいでしょう。
簡単にまとめると、Syncroomでは相手(他の参加メンバー)の音を聴きながら自分も歌ったり演奏したりする必要があるので、モニターバランス調整機能を備えたオーディオインターフェイスがあるとより快適です。
オーディオインターフェイスのタイプ別ポイント
ダイレクトモニター機能がない機種では
ダイレクトモニターがない機種では、自分の演奏も含めてすべてSyncroomを通った音を聴くことになるので、演奏や歌がやりづらくなったりする可能性があります。
ダイレクトモニターがオン/オフのみの機種では
ダイレクトモニターが単純なオン/オフのみのばあい、基本的に直接ダイレクトモニターした音といちどパソコンを通ってから返ってくる音が重なって聞えます。
そこで、重ならないようにするためにはSyncroomで設定が必要になります。
また、ダイレクトモニターの生歌や楽器演奏と、他のメンバーの音との音量バランス調整もSyncroom上で操作することになります。
モニターバランス調整が可能な機種では
いちばん制約が少なく、音量バランス調整の自由度も高くなります。
タイプ別の設定ポイント
ダイレクトモニター機能の有無に基づいて、Syncroomをどのように設定するか、例を紹介します。
ダイレクトモニター機能がないインターフェイス
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入力モニタリングは「モニタリングする(遅延あり)」
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音量バランスは各メンバーのレベルで調整
ダイレクトモニター機能がないオーディオインターフェイスでは、自分の音と他メンバーの音をSyncroomでミックスした状態の音を聴く必要があります。
そのため、Syncroomの設定画面では、「入力のモニタリング」を”モニタリングする(遅延あり)”に設定するのがお奨めです。
”遅延あり”にすることで自分の音は多少遅れて聞こえますが、そのぶん他のメンバーとのタイミングに近くなり演奏を合わせやすくなります。
TASCAM US-4×4HRはダイレクトモニター可能ですが、上のスクリーンショットは、説明の都合上便宜的に設定しています。
他のメンバーとの音量バランスは、ルームに入室しているメンバーリストのところにあるスライダーで調整します。
自分の音をモニタリングしているので、自分の音量を調整できます。
他のメンバーについてはひとりずつ個別に音量を調整します。一括での音量調整はできないようです。
左下にある「マスターアウト」のボリューム設定は、自分も含めて全体の音量が変ってしまうので使わないほうがいいでしょう。
ダイレクトモニター機能があるインターフェイス
モニターバランス調整ができない機種
ダイレクトモニター機能のオン/オフだけ可能でバランス調整がない機種は、「入力のモニタリング」を”モニタリングしない”にするのがお奨めです。
そのうえで他メンバーとの音量バランスは、Syncroomのメンバーリストで調整します。
ただし、メンバーリストのうち自分の部分はモニタリングしていないため、操作できません。
そこで他のメンバーの音量のみで調整することになります。一括での調整はできないので個別で調整します。
モニターバランス調整ができる機種
ダイレクトモニター機能があり、かつモニターバランスを調整できるオーディオインターフェイスはいちばん簡単です。
「入力のモニタリング」は”モニタリングしない"を選びます。
他のメンバーとの音量バランスはオーディオインターフェイス側で調整できるので、Syncroom上でいじる必要はありません。デフォルトのままにしておくのがいいでしょう。
Syncroomにはモニターバランス調整可能な機種がお奨め
ご覧のように、Syncroomはモニターバランス調整機能の有無にかかわらずいろんな機種で楽しめるようになっています。
しかし、他メンバーの音量を個別に調整しつつ、さらに他メンバー全体のボリュームと自分のバランスを簡単に変更できるという点ではモニターバランス調整機能があるオーディオインターフェイスがいちばん快適です。
これからSyncroomを見越してオーディオインターフェイス購入を検討するなら、ぜひモニターバランス調整可能な機種を選ぶことをお奨めします。
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