ディエッサー処理です。
もちろんライブ配信動画にも効果的。
そこで今回は、無料プラグインを使い、OBS Studioでディエッサー処理を行う方法について紹介します。
この記事の目次
そもそもディエッサーとは
「サシスセソ」など「サ行」の音を発声するとき、強い息が歯の裏に当たって耳障りな音が出ることがあります。
これを歯擦音(し・さつ・おん)、英語ではSibilantといいます。
この歯擦音をソフトウェア処理で減らして聞きやすくするのがディエッサー(De-esser)です。
”エス”を発音するときの耳障りな”スッ”と抜ける音を減らすからディエッサーと覚えるとわかりやすいでしょう。
スピーチやトークにはディエッサーが必須
歯擦音はトークやナレーション、歌にはつきものですが、あまりひどいと不快な雑音として感じられるので、それだけで音声のクォリティを下げてしまいます。
もちろんライブ配信でも同様です。
オンライン会議などでも、参加者の音声にディエッサー処理を加えることでより聴きやすくなります。
ディエッサーの効果は決して派手なものではありませんが、いちどじっくり聞き比べると、未処理の音がどれだけ不快かはっきりわかるようになります。
クォリティアップの密かな味付けとしてぜひ導入しましょう。
ディエッサー処理用の無料プラグイン
動画編集ソフトDaVinci Resolveには、標準のエフェクト(Fairlgiht FX)としてディエッサーが付属しています。
しかし、OBS Studioはもちろん、普通の音楽編集ソフトには同等の機能はありません。
その代わりにプラグインの形でいろいろなメーカーがディエッサーをリリースしています。
今回はその中から無料のものをいくつかテストしてみました。
ところが、残念ながらSPITFISHとT-De-EsserのふたつはOBS Studioとの相性が悪いのか動作させることができませんでした。
特に、T-De-Esserは、インストールが終了したのに実際にはプラグイン本体が見当たらないという謎の現象に見舞われました。
そこで、今回は設定が簡単そうなLispに絞って紹介します。
なお、OBS Studio以外のソフトであれば動作するかもしれませんので、機会があればその他のプラグインについても紹介したいと思います。
無料ディエッサープラグインLispを使ってみよう
ダウンロード
リリース元本家のサイトだとどこにあるかわかりにくいので、プラグインをまとめたポータルサイトを紹介します。
ページを下へスクロールしていくとダウンロード用のリンクがあるので、ご自分のWindows環境に合わせて32bit版、64bit版のどちらかをクリックしてください。
なお、Windows版のみでMac用はないようです。
ここでは64bit版のほうをダウンロードします。
ダイアログボックスが現れるので、保存先フォルダーを指定して[保存]ボタンをクリックします。
ファイル名は”STDSP_Lisp_x64.zip"となります。
ファイルを展開
ダウンロードしたZIPファイルを展開します。
展開したフォルダーの中に、3つのファイルがあります。
このうち、Lisp x64.dllとLisp x64.vst3のふたつがプラグイン本体です。
Lisp x64.dllのほうがVSTバージョン2、Lisp x64.vst3がバージョン3用です。
ファイルをコピー
プラグインのファイルを、プラグイン用のフォルダーへコピーします。
OBS Studioでは特定のフォルダー内にあるプラグインを自動的に読み込んでくれますが、逆にいうと任意のフォルダー内のプラグインを指定することはできません。
そこで今回はC:\Program Files
の下にVSTPluginsというサブフォルダを作り、さらにその中にLispフォルダを作って、プラグインファイルを移動しました。
ちなみにOBS Studioでは、VSTバージョン2しか使えませんが、もしほかのソフトでもLispを使う予定があればどちらもインストールしておきましょう。
OBS Studio側のセットアップ
OBS Studioを起動したら、オーディオ入力用ソースのフィルター設定画面を開いて、[Vst 2.xプラグイン]を選択します。
プラグイン名は判りやすいように”Lisp”とか”ディエッサー”にしておのがいいでしょう。
ここでは”Lisp”にしておきます。
設定画面が開いたら、左のリストで”Lisp”を選択しているのを確認し、「VST 2.xプラグイン」のドロップダウンリストを開いて、”Lisp”を選択します。
もし、リストにLispが表示されないようだったら、先ほどコピーしたフォルダーが間違っているので、ちゃんとファイルが存在しているか、またフォルダー名が間違っていないかを確認してください。
続いて、[プラグインインターフェイスを開く]をクリックすると、Lispが起動します。
Lispの基本セッティング
Lispの動作モードはAutoとManualのふたつがありますが、まずはAutoで使ってみましょう。
オーディオインターフェイスとマイクがセッティングされている方は、マイクに向かっていろいろ喋ってみてください。
おそらく、右側のレベルメーターはまったく反応しないかと思われますが、ここで焦る必要はありません。
まず、下段のいちばん左端にある”Sensitivity"(感度)のノブをめいっぱい左へ回して値が最小(0.5)になるようにします。
続いて上段左端の”Reduction”を右へいっぱいに振り切って値を最大(20)にします。
これで「サ行」を含むフレーズを喋ってみると、右のdBVUメーターが振れるはずです。
ここまで動作が確認できたら、”Sensitivity"と”Reduction”で効きを調整しましょう。
私個人の感覚でいうと”Sensitivity"は、1.5以下にまで絞らないと、効果が薄く感じます。
声の立ち上がりや余韻が不自然に感じられるようだったら、さらに”Attack”と”Release”も調整します。
喋り始めのところですぐにディエッサーが利くようにしたければ、”Attack”のノブを最小に近いところまで絞ってみてください。
ディエッサーの効果を確認するには
OBS Studioでのライブ配信だと、喋っている本人にはディエッサーの効果はわかりません。
そこで音声動画を作って効果を試してみることにしました。
サ行だけを詰め込んだような短文ばかりをひたすら喋った音声データを作成し、それを例にLispの効果を紹介しているのでご覧ください。
操作はDaViinci Resolve上で行っているので、DaVinci搭載のディエッサーでは使い方や効果がわかりづらいという方にも参考になると思います。
もちろん、VSTプラグインが使えるオーディオ編集ソフトやDAWであれば同様に利用できるので、歌ってみた動画なんかを作りたい方も利用してみてください。
また、リッスンモードをオンにすると、ディエッサー処理後の音を聴くことができます。
生配信中の音声を聴くのはむりですが、録音済みの音声だったら処理の結果どれくらい効果があったのかがはっきりわかります。
また、処理に使った音源データのほうもYouTube上に公開してあるので、自由にダウンロードしてご自分のオーディオ編集ソフト上でディエッサー処理の効果を試してみてください。
特に先ほどの”リッスンモード”はぜひ試してみることをお奨めします。
ディエッサープラグイン導入のポイント
-
-
OBS StudioではVSTバージョン2しか使えないので注意
-
プラグインのフォルダーは
C:\program files\VSTplugins
がお奨め -
設定と効果の確認は動画/音声編集ソフトを使うべし
-
Lispのリッスンモードを活用しよう