Win11のリリースは10月5日
前回の記事では、Windows11にアップデートできるかどうかを確認する方法について紹介しました。
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Windows11アップデートための互換性チェック
Win11のリリースは10月5日 Windowsの最新バージョン 11が正式に発表されました。 Windows10からは無料でアップデート可能ですが、残念ながらすべてのパソコンでアップデ ...
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そこでも軽く触れましたが、日本ヒューレット・パッカードのノートPC、Pavillion 15-AB536TXはアップデートできないと判定されました。
今回、Windows11の互換性チェックでは残念ながら互換性なしと判定されてしまったのですが、公開されている仕様を見ても該当しそういな点が思い当たらないので、少し詳しく調べてみました。
追加情報加筆しました
その後、CPUの制限やセキュアブートといった条件がわかってきたので、加筆修正しました(2021年7月2日)
旧機種ユーザーに朗報?
その後、新情報で、互換性チェックではねられた古いパソコンにもWin11をインストールできる可能性があると報道されています。
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「Windows11は古いPCにもインストール可能」という新情報
最近当サイトでもWindows11へのアップデートに関する記事がかなりのアクセス数を占めていますが、ここに来て実は古いパソコンにもインストールできる、という新情報が流れてきました。 互換性チェックツー ...
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この記事の目次
Windows11に必要なハードウェア構成
Windows11の公式サイトに記載されている仕様は次のようなものです。
ハードウェア | スペック |
---|---|
CPU | 動作クロック1GHz以上、2コア以上の64ビットプロセッサ またはSystem on a Chip(SOC) |
RAM | 4GB |
ストレージ(HDD/SSD) | 64GB |
グラフィックスカード | DirectX 12/WDDM2.x |
ディスプレイ | 9インチ以上、HD解像度(720p) |
インターネット接続 | Windows11 Home Editionのセットアップには、 インターネット接続とMicrosoftアカウントが必要 |
ところが、実はにはもう少し詳しく書かれていて、そこではシステムファームウェアとTPMに関する項目が追加されています。
追加されている項目 | 仕様 |
---|---|
システムファームウェア | UEFI、セキュアブート対応 |
TPM | トラステッド プラットフォームモジュール(TMP) 2.0 |
TPMはこれまであまり注目されてきませんでしたが、セキュリティのための機能です。
詳しい内容は、インプレスのPC Watchの記事に詳しいのでそちらを参照してください。
互換性チェックにひっかかっているのはどこ?
上記の仕様と15-AB536TXのスペックを比べても、CPUやRAM、ストレージなどは充分基準をクリアしているはずです。
気になるのはDirect XのバージョンとTPMなので、これを調べてみました。
(もっとも、2020年末のHDD交換でWindows10をクリーンインストールしているので、Direct Xのほうは問題ないはずですが)。
Direct Xのバージョンチェック
Direct Xのバージョンをチェックするには、Windows本体に用意されているDirectX 診断ツールを使います。
Windowsの検索画面を開き、dxdiag
と入力して実行すると、DirectX 診断ツールが起動します。
【Win】+【R】キーを押して「ファイル名を指定して実行」から起動することもできます。
このツールは、Direct XだけでなくCPUのモデル名やRAM、ストレージの搭載量などまでまとめて判ります。
思ったとおり、問題はありませんでした。
ドライバーモデルはDirectX 診断ツールの”ディスプレイ”タブで確認できます。
バージョン2.x以上になっていればOKです。
TPMのチェック
TPMのチェック方法は、で解説されています。
簡単にいうと、デバイスマネージャーを起動して「セキュリティデバイス」の項目を開くと、TMPのドライバを確認できます。
【Shift】キーを押しながら[スタート]ボタンをクリックしてアドバンスドメニューを開き、[デバイスマネージャー]があるので実行してください。
デバイスマネージャーのリストの中に「セキュリティデバイス」があるので、フォルダーを開きます。
こちらもバージョン2.0で問題ありませんでした。
古い世代のCPUは対象外
というわけで、Dirext XもTPMも表面上は問題なく、Win11の動作条件を満たしているようにみえるわけですが、その後メディアの報道いろいろわかってきました。
中でも重要なのが、CPUの世代によって制限されるという点です。
世代というのは、CPUのスペックで、”Core i7-xx****”などと書かれている”xx”の部分。
さきほど紹介したスクリーンショットだと、"i7-6500”となっています。
このうち4桁めが"6"なので、第6世代ということがわかります。
この春に導入したミニタワーPCは第10世代です。
その後登場した最新パソコンだとすでに第11世代に入っているので、”11****”となります(2021年7月現在)。
ImpressのPC Watchの記事によると、当初はインテルプロセッサの場合、第8世代、AMD Ryzenでは2000以降がアップデート可能となっていました
Windows 11に更新可能なCPUを解明。Intelは第8世代Core、AMDはRyzen 2000以降が必要)
その後この制限が多少緩和されて、インテルプロセッサでは第7世代、Ryzenは初代もサポートする方向で検討中と報じられました。
Windows 11の最小システム要件が緩和、第7世代Core/Zen 1のRyzenも対象に
実は、マイクロソフトはWindows11に対応できるCPUのリストを公開しており(ただし英文)、詳しくはそちらで確認できます。
セキュアブートも要チェック
また、そのほかに、セキュアブートへの対応も必要というのがわかっています。
セキュアブートは、パソコン起動時に、安全なプログラムかどうかを確認する機能で、疑わしいものについては動作させないようになっています。
セキュアブートに対応しているかどうかは「Windowsの設定」から「更新とセキュリティ」>「Windowsセキュリティ」>「デバイスセキュリティ」と進みます。
このように、新しいミニタワーPCではセキュアブートに対応していました。
同様にHPのPavillionもチェックしてみましたが、やはりセキュアブート対応でした。
結局うちのはCPU世代だけが問題
以上チェックしてわかったことは、うちのPavillionは、CPUがインテルの第6世代なのでWindows11の対象外ということでした。
基本スペックはもちろんですが、セキュアブートもTPM2.0もクリアしているのにちょっと残念です。
それにしても、これだけのチェックを一般のパソコンユーザーがやるのはちょっとたいへんですね。
かといってマイクロソフトの正常性チェックツールでは、どこに問題があるのかまでは教えてくれないので、ちょっと不満があります。
一時公開保留になっていますが、もっとわかりやすいツールになって再リリースしてほしいものです。
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MS純正より詳しいWin11互換性チェックツール - ReadySunValley
Win11のリリースは10月5日 Windows11をインストールできるかどうか調べる、マイクロソフト純正の正常性チェックツールが一時的に公開停止になりました。 そこで、窓 ...
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ストレージはGPTが必須
ところで、Microsoftが公開しているWindows11の動作要件の中にはストレージ(HDDやSSDなどの記憶装置)の容量だけが規定されていますが、互換性チェックツールによる判定結果を見るとその中にGPTという記述があります。
GPTとは、簡単にいうとストレージをどのように管理するかを決める方法のことで、最近のパソコンはGPTになっていると思われますが、そのほかに古くから使われてきたMBRというのがあります。
そして、ReadySunValleyやWhyNotWin11の判定結果をみると、どうもGPTを使っていないとWindows11にアップデートできない可能性がありそうです。
幸い、MBR/GPTの切り替えはユーザーが行うこともできます。
使いやすいディスク管理ツールを作っているEaseus(イーザス)社のサイトで詳しい解説があるので参考にしてください。
さらにもうひとつ、パソコンの起動方法にも注意が必要です。
BIOSとよばれる古いタイプと、UEFIという新しいタイプがあり、これも後者でないとWindows11にアップデートできないようです。
また、UEFIモードをサポートしているパソコンでも、ストレージがMBRだとそれを使うことができません。
この点でも、MBRからGPTへの変換は重要です。
これもイーザス社のサイトに詳しい解説があるので参考にしてください。
CPUやグラフィックチップは簡単に交換できませんが、MBRからGPTへの変換は無料ツール(パーティション管理ソフト)でも可能なのでもしこの部分がチェックに引っかかっていたらぜひ試してみましょう。