動画 ソフトウェア

Melda Productionの音楽制作用無料プラグイン

地元を中心に活動している音楽ユニットのライブ演奏とプロモーション用動画を収録することになりました。

この機会に単なる録音ではなく、ミックス/マスタリングを勉強したいと思い、必要なソフトウェア(プラグイン)をピックアップすることにしました。

 

まずは録音とミックス/マスタリングの学習

今回収録する音楽ユニットはメインの楽器とバックトラック用の電子楽器という編成です。

電子楽器のほうは打ち込みで音を作っていて、メイン楽器の方は生演奏とのこと。

ビデオカメラでの録音ではなくマルチトラックレコーダーが使えるので、せっかくだったら各楽器を個別に収録してよりよい音に仕上げたいという願望がわいてきました。

 

音の編集には動画編集ソフトDaVinci Resolveのオーディオ編集機能であるFairlightを使いますが、実際にどんな処理をしたらいいのか判っていないので、まずは学習用の書籍を買うところから始めました。

 

参考にしたのはリットーミュージックが刊行している”DAWミックス/マスタリング基礎大全”という書籍です。

サンプルの音源をWebサイトからダウンロードできるようになっていて、実際に音を確認しながら実地体験で練習していくようになっています。

実際に行われる典型的な処理例とそれに必要な機材が紹介されているので助かります。

 

また、巻末には書籍中で紹介している無料版および試用版プラグインのリストもあります。

 

DAW選びの理由は?

最近ユーザーが増えているというStudio Oneというソフトも惹かれましたが、無料版のPrimeではVSTプラグインが使えないため必要な処理を学べない可能性があります。
そこで以前から多少慣れていてVSTプラグインも使えるDaVinci ResolveのFairlightで行くことにしました。

 

このほかにも、録音用として”レコーディング/ミキシングの全知識”、動画一般の整音作業用として”映像制作のための自宅で整音テクニック”という2冊も一緒に購入して、大型連休中は知識の習得に費やしました。

 

DAW用プラグインを探す

ミックスとマスタリング段階で行うベーシックな処理についてはあらかたわかりましたが、実際にどんなツールを使ったらいいのかが問題です。

”DAWミックス/マスタリング基礎大全”にはDAWに組み込んで使うプラグインも紹介されていましたが、いろんなメーカーのツールを使い分けているので(適材適所ということもあるのでしょうが)ひととおり揃えるのもめんどうです。

 

そこで、以前YouTube動画で紹介されていたMelda Productionという会社が無料でたくさんのツールを配布していることを思い出し、まずそこに必要なツールがないか調べてみました。

Melda Production 公式サイト

Melda Production社のサイト

 

Melda社の無料配布プラグイン

Melda Production製プラグインは17のカテゴリに分けられています。

そのうち、無料版を含むのは次の10種です(括弧内の値はプラグイン数)

  • Analysis(分析:7)

  • Saturation & Distortion(サチュレーション&ディストーション:6)

  • Dynamics(ダイナミクス:1)

  • Equalizer(イコライザー:1)

  • Filter(フィルター:2)

  • Mastering(マスタリング:2)

  • Mixing(ミキシング:8)

  • Pitch(ピッチ:3)

  • Reverb(リバーブ:1)

  • Stereo(ステレオ:3)

MFreeFXBundleサムネイル

無料配布されているプラグイン一覧

 

ただしこのカテゴリは検索用の便宜的なものなので、同じプラグインが複数のカテゴリに登録されている場合があります。

 

無料版がないカテゴリを見るとDrums、Guitar、Keyboardなど音源系が主体のようなので、今回のように楽曲制作ではなく整音的な使い方であれば、無料版でもかなり使えるのではないかと考えています。

 

ここでMelda Production社のMFreeFXBundleを紹介しているのはあくまで、学習用として無料で一括入手できる手軽さを重視したためです。

各ツールの機能や性能を精査した上での「お奨め」という意味ではありませんので、あらかじめご了承ください。

 

 

Melda製無料プラグインの入手方法

 

インストーラーのダウンロード

 

step
1
配布ページへアクセス

Melda Productionの公式サイトで、MFreeFXBundleのページへアクセスします。

Melda Productionの無料版プラグインページ

プラグイン配布ページ

[Free Download]をクリック

[Free Download]というボタンがあるのでクリックします。

 

step
2
ダウンロードファイルの選択

ダウンロードページではいくつかバージョンを選べますが、左側の「Installer」グループで最新版(2021年6月時点ではV14.16)をダウンロードしておけばいいでしょう。

Windows版とMac版があるので注意してください

 

プラグインインストーラーのダウンロード

プラグインのインストーラーをダウンロード

 

インストーラーのファイルを適当なフォルダーに保存します。

インストーラーの保存

インストーラーをローカルPCに保存

 

プラグインのインストール

 

step
3
インストール開始

ダウンロードしたインストーラーを実行します。

インストーラーの実行

インストーラーのファイルをダブルクリック

 

ユーザーアカウント制御画面が現れるので[はい]をクリック。

ユーザーアカウント制御画面

ユーザーアカウント制御画面

 

 

step
4
インストーラーの設定

インストーラーの画面が現れます。右下の[Next]をクリック。

MFreeFXBundle インストーラー

インストーラーが起動する

ライセンス承認画面が現れるので、左下のチェックボックスにマークして次へ。

ライセンス認証

ライセンス条件を承認する

 

step
5
プラグインタイプの選択

インストールするプラグインのタイプを選択します。

今回はProTools用のAAXプラグインを除くその他をすべてインストールします。

プラグインタイプの選択

ProTools用プラグインのチェックを外す

 

step
6
プラグインの選択

必要なプラグインを下段の”FREE EFFECTS”から選択します。

プラグインの概要については次の項を参考にしてください。

MFreeFXBundleプラグイン選択

インストールするプラグインを選択

右のパネルで[MFreeFXBundle]をクリックすると、無料プラグインすべてが選択されます。

プラグイン選択例

無料プラグインを一括選択したところ

 

step
7
フォルダーの指定

プラグインのインストール先フォルダーを指定します。

32bit版や64bit版などに応じて異なるフォルダーが設定されています。

 

特に問題なければデフォルトのままにしておくのがいいでしょう。

いろんなソフトでプラグインを共用するとき、デフォルトフォルダーにしておいたほうが見つけやすくなります。

インストール先フォルダー指定

プラグインのインストール先を確認

 

step
8
インストール済みプラグインのクリーンアップ

次の画面では、インストール済みプラグインの削除ができます。

"クイッククリーンアップ"と"フルシステムクリーンアップ"が選べます。

既存プラグインのクリーンアップ

旧いプラグインは削除できる

今回は”フルシステム クリーンアップ”を実行してみました。

 

古いプラグインが見つかりましたが、これは故障してしまった旧いPCから移設したHDDに入っているものです。ここでクリーンアップする必要もないので、[Close]をクリックして終了しました。

古いプラグインの検出結果

以前のプ検出された検出された

 

step
9
インストール開始

続いてプラグインのインストールが始まります。

プラグインインストール中

プラグインのインストール進行中

数が多いとそれなりの時間がかかるので少し待ちましょう。

終了画面になったらいちばん下の[Exit]をクリックして、インストール完了です。

インストーラーの終了

プラグインのインストールが終了

 

無料版プラグインの概要

Melda Productionが無料で提供しているプラグインの概要をカテゴリ別に紹介していきます。

なおプラグイン名の先頭にはかならず”M”がつきます。

Melda Productionの”M”に由来するものでしょうか。

 

解析系

 

MAnalyzer

MAnalyzer

波形をグラフィックに表示するスペクトラルアナライザー&ソノグラム。 ピークメーターやラウドネスメーターを備えています。

MAnalyzer

 

 

MOscillator

MOscilltor

波形を作り出すオシレーターです。

MOscillator

 

 

MLoudness Analyzer

MloudnessAnalyzer

音量を決定するのに使うラウドネスメーターです。

MLoudnessAnalyzer

ラウドネスはYouTubeでも導入されているようです。 動画作品の音量をできるだけ統一できるように、ぜひしっかりと勉強したいと考えています。

 

MOscilloscope

MOscilloscope

波形を表示します。

MOscilloscope

 

MTuner

MTuner

楽器の調律に使用するチューナーです。複数の音に対応したポリフォニック仕様。

MTuner

 

 

MNoiseGenerator

MNoiseGenerator

ピンクノイズ/ホワイトノイズを発生するノイズジェネレーター。

MNoiseGenerator

 

MStereoScope

MStereoScope

ステレオ効果をグラフィカルに表示します。

マスタリングでのステレオ効果確認にぜひ使いこなしたいツールです。

MStereoScope

 

 

サチュレーション&ディストーション系

 

MWaveShaper

波形を直接編集できます。

MWaveShaper

 

MSaturator

MSaturator

アナログ機器独自の歪みを再現するサチュレーター。

MSaturator

 

MBitFun

MBitFun

MBitFun

 

MRingModulator

MRingModulator

金属的な音を発生させます。

MRingModulator

 

MFreqShifter

MFreqShifter

周波数を変更させます。

ピッチシフターとは違い、ハーモニックリレーションシップを維持しないそうです。

MFreqShifter

 

MWaveFolder

MWaveFolder

ディストーションモジュール。

MWaveFolder

 

ダイナミクス系

 

MCompressor

MCompressor

圧縮のカーブを曲線的に設定できるコンプレッサー。

MCompressor

 

イコライザー系

 

MEqualizer

MEqualizer

スペクトラムアナライザーとソノグラム表示機能を備えた6バンドのイコライザー。

各バンドに7つのフィルタータイプを指定可能。真空管タイプのサチュレーション設定が可能。

MEqualizer

 

フィルター系

 

MBandPass

MbandPass

ハイパス、ローパスの2バンドフィルター。

MBandPass

 

MComb

MComb

4つの設定が可能なくし型フィルター。

MComb

 

マスタリング系

マスタリング系には、解析系と同じMAnalyzerMLoudnessAnalyzerがカテゴライズされています。

 

ミキシング系

 

MCCGenerator

MCCGenerator

MIDIのコントロールチェンジ機能。

MCCGenerator

 

MAutoPitch

MAutoPitch

ボーカルおよび単音楽器用のピッチ補正用。フォルマントシフトも可能。

MAutoPitch

 

MAGC

MAGC

サイドチェーンを利用してラウドネスを調整するようです(知識不足ですみません)。

MAGC

 

MMetronome

MMetronome

グラフィカル表示とサウンドに対応したメトロノーム。

MMetronome

 

MUtility

MUtility

ボリューム、パン、位相反転などの機能をそなえた多目的ツール。

MUtility

 

MChannelMatrix

MMChannelMatrix

インプットとサイドチェーンの割り当てを管理。

MChannelMatrix

 

MSpectralPan

MSpectralPan

周波数帯に応じてパンを設定。

MSpectralPan

 

MCharmVerb

MCharmVerb

MTurboReverbのエンジンをベースにしたリバーブ。

MCharmVerb

 

ピッチ系

MTunerMAutoPitchMCharmVerbの3つがカテゴライズされています。

 

リバーブ系

 

MConvolutionEZ

MCovolutionEZ

ルーム、ホール、プレートなどのタイプから選択できるコンボリューションリバーブ。

DAWミックス/マスタリング基礎大全でもフリーウェアの優秀なコンボリューションリバーブとして紹介されています。(P87)

 

MConvolutionEZ

 

ステレオ系

 

MStereoExpander

MStereoExpander

ステレオの広がり感を調整。

MStereoExpander

 

MSpectralPan

ミックス系にカテゴライズされているMSpectalPanと同じです。

 

MStereoScope

解析系にカテゴライズされているMStereoScopeと同じです。

 

カテゴリーに含まれていないモノ

 

MFreeformPhase

MFreeFormPhase

左右チャンネルの位相を周波数帯ごとに調整。

MFreeformPhase

 

MTremolo

MTremolo

トレモロ効果。

MTremolo

 

MPhaser

MPhaser

フェイザー効果。

MPhaser

 

MVibrato

MVibrato

ヴィブラート効果。

MVibrato

 

MAutopan

MAutopan

オートパン効果。

MAutopan

 

MFlanger

MFlanger

フランジャー効果。

MFlanger

 

MNotepad

MNotepad

コメント入力などに使えるテキストエディタ。

MNotepad

 

MRecorder

MRecorder

オーディオレコーダー。

MRecorder

 

MRatio

MRatio

メインチャンネルとサイドチェーンにクロスフェードをかける。8つのパターンから選択可能。

MRatio

 

MRatioMB

MRatioMB

6バンド対応のクロスフェード。

MRatioMB

 

必要なプラグインはどれ?

以上がMelda Productionが配布している無料版VSTプラグインです。

この中から特に重要性の高そうなものを、DAWミックス/マスタリング基礎大全の内容を参考にピックアップしてみました。

同書に登場する処理に必要なプラグインをまとめてみると、次のようになりました。

書籍で紹介されている処理 該当するMelda製プラグイン名
イコライザー MEqualizer
コンプレッサー MCompressor
トランジェントシェイパー
サチュレーター/エキサイター MSaturator
ディレイ
ステレオ効果 MStereoExpander、MSpectralPan、MStereoScop
ディエッサー
マキシマイザー
位相調整 MFreeformPhase
ラウドネス調整 MLoudnessAnalyzer
量子化ノイズ対策

 

こうしてみると、サウンドメイク/ミックス/マスタリングのどの段階においても、案外リバーブが出てこないのが目を惹きます。

 

 

初期学習で必要なものはだいたい揃いそう

まだ実際の処理もプラグインの機能も理解していないのでいろいろ勘違い、見落としがあるかと思いますが初心者がミックス/マスタリングを学ぶのに必要なツールは、だいたいこのMFreeFxBandleで揃ってしまうのではないでしょうか。

バンドルに含まれないものについてですが、ディレイに関してはどんなDAWにも標準でついているのではないかと思います。

 

歯擦音を軽減するディエッサー(De-esser)は、DaVinci ReslveのFairlightFXに含まれているので問題ありません。

また、DTMを主眼とするDAWミックス/マスタリング基礎大全では、ノイズリダクションやノイズゲートも目立って採り上げられていないようですが、動画収録のひとつとしての音声を考慮した場合はこれらも必要でしょう。

FalirlightFXにはもちろんこれらも搭載されているので、これも問題ありません。

 

量子化ノイズ対策については、(DAWでゼロから制作したものはともかく)動画で収録した音源についてはあまり気にしなくてよさそうです。

というわけで、基本的なマスタリング/リミックスの学習段階では、DAW標準の機能にMelda ProductionのMFreeFXBundleを加えることでひととおりカバーできそうです。

機能・性能に不足を感じたらその時点で追加なり入れ替えを考えることにします。

 

 

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