スマホユーザーの増加でパソコンの利用率が相対的に下がっている今となっては、オンラインソフトということばはかなりわかりにくくなっているのではないかと思います。
そこで、現在の視点を加えながら改めてオンラインソフトについて再確認してみましょう。
このサイトでもこれからいくつかオンラインソフトを紹介していくことがあるかと思うので、まず基本的な知識をご紹介します。
スマホ育ちの方も、将来仕事でパソコンを使うことになるかもしれません。そのときのための基礎知識として役立てください。
この記事の目次
そもそもオンラインソフトとは
オンラインソフトってヘンなことば?
オンラインソフトとは耳慣れない人には変なことばでしょう。
オンラインに対してオフラインソフトということばがあるかというと、私は聞いたことがありません(あるとすればパッケージソフトです)。
オンラインソフトとは、コンピューターネットワーク上で公開・配布されているソフトウェアの総称です。
パソコン専門店や家電量販店で販売されるパッケージソフトに対して、一般のユーザーが個人で作ったものを無償やごくわずかの寄付程度で利用できるように一般公開したものをオンラインソフトと呼んでいます。
パッケージからオンラインへの変化
もうすこし広い意味では、パッケージソフトとして店頭販売していないけれどネットワーク上で購入できる市販アプリケーションもオンラインソフトに含める場合があります。
もともとパソコン用ソフトウェア(アプリケーション)のほとんどは、箱入りで取扱説明書とソフト本体を収めたCD-ROM(さらに昔ならフロッピーディスク)がセットになったパッケージメディアとして販売されてきました。
それに対してネットワーク上で配布・流通されるソフトウェアのことをオンラインソフトと呼んだわけです。
市販ソフトを販売する場合、パッケージ代やメディア(ディスク)代、マニュアルの印刷・製本費用などが生産・販売する数に応じてかかります。
一方オンライン販売なら、最初の制作費以外はかかりませんし、取り次ぎや販売店のコストも省けるので、販売価格を大幅に抑えることができます。
したがって、市販ソフトもだんだんとパッケージ販売からオンラインでのダウンロード販売へ移っていきました。
スマホアプリはすべてオンラインソフト?
いっぽう現在、スマートフォンやタブレット用のいわゆるアプリは、ネット経由で直接ダウンロード・インストールするので、パッケージソフトが存在しません。
いわばすべてのアプリはオンラインソフトともいえるのです(が、今となってはだれもそんなことは気にしていませんけど)。
オンラインソフトはどうして生まれた?
パソコンもいまではかなり便利になりましたが、操作性が悪かったり、機能そのものがなかったりでユーザーが使い方を工夫しなければなりませんでした。
そんな中で生まれてきたのが、ユーザーの手で作られたオンラインソフトです。
オンラインソフトのタイプ
オンラインソフトは次の4タイプに大きくわけられます。
フリーソフト/フリーウェア
無料で自由に利用できるものをフリーソフト(フリーウェア)といいます。自由に利用できますが、著作権は原則として作者にあり、内容を改変したり再配布することはできません。
ただし米国などでは著作権を放棄することができるため、著作権放棄を宣言したものについてはパブリックドメイン(公有)ソフトウェアといい、PDSと略します。パブリックドメインは本来、知的財産権が発生していない状態や消滅した状態のことです。
そのほかに、作者がプログラムのソースコードまで公開し、改変(書き換え)や再配布を許可しているものをオープンソースソフトウェア(OSS)といいます。厳密にはフリーソフトとOSSは別物ですが、利用者の立場からはかなり近いものといえます。
ドネーションウェア
基本的に無料で使えますが、もし気に入ったら僅かでもいいので寄付をお願いします、というタイプです。
シェアウェア
料金の支払いが必要なタイプ。オンラインソフトは単機能のものや機能を絞り込んだものが多いので、それほど高価格なものはありません。
「個人での非商用目的利用に限る」といった条件がついていることが多いようです。
シェアウェアはさらにいくつかのタイプがあります。試用期間と機能の制限によって、おもに次のようなタイプに分類されます。
- 試用期間中は無制限で使えるが、期間終了後も使い続ける場合は支払いを行う
- 基本機能は無料で使えるが一部の機能を制限し、支払後は機能制限を解除する
- 基本的に支払いが必要だが、支払いを行わない場合も機能制限版として継続利用可能
また、すでに触れたように市販パッケージソフトの体験版やダウンロード販売版をオンラインソフトに含める場合もあります。
昔ばなし
私がパソコン出版社に在籍していた25年ほど前は、日常的にPDS(パブリックドメインソフトの略)といっていることが多かったのですが、日本では著作権の放棄が認められていないため雑誌を作るにあたってほかの言い方を考える必要がありました。そこでフリーウェアとシェアウェアをひとくくりに表す用語として使うようになったのがオンラインソフトという用語でした。
勝手にでっちあげたわけではありませんが、どこで目にして使い始めたのかはもはや覚えていません。
モノではなくライセンスを買う
シェアウェアや市販ソフトのダウンロード販売版では、正式に購入したことを証明するための、ライセンスキーが発行されます。
パッケージソフトのように、製品というモノを購入したのではなく、利用の権利(ライセンス)を購入するという形です。
いまでは当たり前のこの形も、もとはと言えばオンラインソフトが源流ともいえるのです。
オンラインソフトのメリット/デメリット
オンラインソフトの特徴として代表的なところ6つを紹介します。
- ネット経由で手に入る
- パソコンの不便なところを補ってくれる
- 無料またはわずかな金額で購入できる
- インストールには多少の知識が必要
- ユーザー同士の交流で進化する
- 利用は自己責任
順番に見ていきましょう。
ネット経由で手に入る
スマホ時代にはネット経由でアプリをダウンロードするのはあたりまえなので、これはピンと来ない方も多いかもしれません。
最初のほうでも述べたように、むかしパソコンソフトは専門店で買うものだったので、ネットでソフトが手に入るのは画期的だったのです。
とくに、近くにパソコンショップがない人にとっては、自宅にいながら世界中のソフトをダウンロードできるのはもの凄い魅力でした。
いまでは誰も不思議に思わない、ネットでソフトを手に入れるという原点なのです。
ただし、流通形式はちょっと違います。
初期のパソコン用オンラインソフトはユーザーが作ったのものを自主的に公開するので、ソフトの情報を集めてまとめてダウンロードできるような場所がありませんでした(のちにインターネットの時代になってそのようなサービスが現れます)。
一方スマートフォンアプリは、AppleやGoogleが配布場所を管轄しているところが違います(Andoroidの場合、野良アプリもありますが)。
OSやソフトの不便なところを補ってくれる
Windowsのような基本ソフト(OS)はソフトを起動する、ファイルを管理するといったパソコンの基本的な機能を提供しますが、昔のパソコンは機能もまだまだ少なく不便なところがありました。
それを補ってすこしでも便利にしようと作られたのがオンラインソフトです。
プログラム技術のあるユーザーが「ここがものたりない、こんな機能がほしい」と思ったアイデアを実現し、パソコンをより便利なモノにしてきました。
これも現在のスマホアプリにちょっと似ていますね。iOSやAndoroid本体にない機能をアプリで補うのと同じ感覚です。
無料またはわずかな金額で購入できる
オンラインソフトの中には、開発者個人の厚意で無料配布されるものが数多くありフリー(無料)ソフトと呼ばれました。
また、継続して開発するための資金援助として寄付を募っているものや、市販ソフトに比べると僅かな金額で販売されるものもあり、それらはシェアウェアと呼ばれます。
現在のスマホアプリは、昔のパソコン用パッケージソフトに比べると遙かに安いので、この点も感覚的にはちょっと似ているかもしれません。
ユーザー同士の交流で進化する
開発者がオンラインソフトを公開すると、それに対して感謝のコメントや使い方の質問、次の機能アップへの要望、ときには不具合の報告などたくさんの情報が寄せられます。
開発者はその情報をもとに使い勝手を改善したり、ときには別の新しいソフトを開発して、ふたたび一般公開します。
そういった形で、開発者と利用者の交流がはじまりオンラインソフトを発展させてきました。
AppStoreやGooglePlayでは、アプリのページにレビューやコメントをつけることができますが、その源流はここかもしれません。
インストールには多少の知識が必要
AppStoreやGooglePlayからボタンひとつでインストールできるスマホアプリと違い、パソコン用オンラインソフトでは、アーカイブ(書庫)ファイルをダウンロードし、書庫ファイルを展開(解凍)し、自分でインストールを行うという手間がかかります。
このためパソコンについて最低限の知識が必要で、便利だからといって誰でもすぐ使えるわけではありません。
インストール後の使い方もスマホアプリほど簡単ではなく、自分で探して覚える必要があります。
こういった点もスマホアプリのほうが進化しています。
利用は自己責任
オンラインソフトは、メーカーがきちんと動作確認してから販売するパッケージソフトとは違い、いろいろな制限・制約があります。
まず動作の保証がありません。
ほとんどのオンラインソフトは個人が作っていますから、自分のパソコンで開発しています。
ということは、ハードウェアの組み合わせによるトラブルやOSのバージョンによる違いなどを細かく調べることはできません。
そんなわけで、どんなパソコンでも動きますという保証ができませんし、オンラインソフトを使ってなにかトラブルが起きたとしても補償ができません。
また利用者からの質問を受け付けてくれるユーザーサポートもありません。
開発者が自分の時間を割いて対応してくれることもありますが、あくまでも厚意の範囲で、これもサポートを保証してくれているわけではありません。
オンラインソフトは基本的にユーザーによる自己責任の世界です。
さらにもうひとつ問題があります。
それは玉石混淆、できの善し悪しだけでなく、なかには悪意を持ったプログラム(マルウェア)やウィルスに冒されたプログラム、重大な欠陥や脆弱性をもったプログラムが混じっていることもあるという点です。
世界中のいろんなところで配布されているうえに、中にはこっそりウィルスやマルウェアを仕込んで、素知らぬ顔で配っていたケースもあるかもしれません(そういうところから身を守るためにもセキュリティソフトを!)。
一方スマホアプリの場合、AppStoreやGooglePlayがチェックしたアプリしか登録されませんから、箸にも棒にもかからないようなダメアプリや悪意のあるプログラムは最初から除外されて、最低限の品質は保証されています。
パソコン用オンラインソフトのデメリットをある程度解消した形に進化しているのです。
オンラインソフトはどこで手に入る?
ではパソコン用オンラインソフトをどこで手に入れたらいいでしょうか? スマホアプリと違っていくつかの方法があります。
作者のWebサイトを探す
インターネットで世界がつながっている現在、オンラインソフト開発者の多くは自分のWebサイトをもっていて、そこで自分の作ったソフトを公開し、最新情報の発信やユーザーへの対応を行っています。
なので、名前が知られている有名なソフトであれば、Googleなどで検索すればすぐに作者のサイトが見つかるはずです。
サイトの中にダウンロードというページ/リンクがあればそこから入手できます。
昔ばなし
昔、パソコン通信の時代にはNifty-ServeやPC-VAN、日経MIXといったパソコン通信サービスのなかにそれぞれオンラインソフトを扱うフォーラム/会議室があり、その中で開発者と利用者が交流しながらオンラインソフトを発表していました。
そのため、あるソフトはその開発者が参加しているパソコン通信サービスでないと手に入らないといった不便さがありました。
オンラインソフト紹介サイトで探す
ソフトの名前を知らない、あるいは漠然と「こんな感じのソフトがほしい」と思っている段階だと、作者のサイトにたどりつくのはたいへんでしょう。
そんなときはオンラインソフトを専門に紹介しているサービス/サイトを利用するのがいちばんです。ソフトのジャンル別・目的別などに分類されて探しやすくなっていますし、ソフトの内容を紹介した説明、公開時期、対応しているOSのバージョンといった基本情報のほかに、ダウンロード回数やユーザーによる評価なども参考になります。
オンラインソフトの紹介サイトとしては次のふたつが特に有名です。これらのサービスはいってみればメーカーとソフト開発者以外の第三者が、AppStoreやGooglePlayのような役割を担っているわけです。
ベクターソフトライブラリ
膨大なオンラインソフトの検索・ダウンロードができるサービスです。
ソフトの作者に代わってシェアウェアの支払い受付を代行するサービスも行っているので、利用者としても支払いが便利になります。
またオンラインソフトだけでなく、市販ソフトのダウンロード販売も多数行っています。箱入りのパッケージではなくソフトのファイルと利用ライセンスだけを購入できるのでショップに出かける必要がなく、お店の少ない地方や急ぎのときには便利です。
個人のサイトやブログで探す
ネット上には、オンラインソフトの使い方を詳しく紹介している個人サイトやブログもたくさんあります。
このようなページは、ソフトをかなり深いところまで使い込んで紹介していることが多いので、特定のソフトについて詳しく知りたいときにはとても参考になります。
オンラインソフトを使うには書庫管理ツールの知識が必要
見つけてきたオンラインソフトを使ううえで必ず必要になるのが「アーカイバ」や「書庫管理ツール」といわれるタイプのソフトです。
オンラインソフトのほどんどは書庫ファイルという形で公開・配布されていて、この書庫ファイルを通常の形式に戻さない限り使えません。
またオンラインソフト以外にも、イラストや写真などの素材、動画や音声などのファイル、情報商材などの多くは書庫ファイルの形で配布、流通されています。
書庫ファイル(アーカイブファイル)にはいろいろな形式がありますが、いま広く一般的に使われているのはZIP(ジップ)という形式です。
幸いWindows10ではZIP形式のファイルを扱うことができるので、最初は特別なツールは必要ありません。
ただし、将来的にはLZHやRARといったZIP以外の書庫ファイルを扱うことになるかもしれませんので、そのときはそれらの形式に対応したツール(アーカイバ)を入手しましょう。
これらのアーカイバもオンラインソフトとして配布されています。
オンラインソフトでパソコンはもっと便利になる
以上パソコン用オンラインソフトについて紹介してきました。
もういちどまとめてみましょう。
- パソコンのOSやアプリケーションの機能不足や操作性を補う
- 無料あるは低価格で購入できる
- インターネット上からダウンロードする
- インストールには多少の知識が必要
- 動作保証などのリスクがあり、自己責任で使用する
いまスマホアプリがどんどん登場して、パソコンの作業をかなり肩代わりしていますが、それでもパソコンはなくならないし大画面や大容量を活かしたクリエイティブな作業に特化していくと思います。その過程でまた新たなオンラインソフトが登場するでしょう。
当サイトでは、今後もパソコンをもっと便利にするツールとしてオンラインソフトを紹介していきたいと思います。