OBS Studioのカメラ設定に続き、今回はオーディオの基本的な設定について紹介します。
Web会議的な使い方だったら、USBオーディオインターフェイスをつなげば自動でやってくれるので特に難しいところはありませんが、より大がかりな配信をめざすための基礎知識として覚えておきましょう。
ノイズゲートを活用しよう
空調の音など環境音をノイズゲートでカットすることで、さらに音声のクオリティがアップします。
以前はゲーマーがユーザーの多くを占めていたOBS Studioですが、リモートワークの需要が急増した2020年以来、ビジネス目的での利用も増えているようです。 ライブ配信で意外にというか ... 続きを見る
ライブ配信に入る環境音(雑音)をノイズゲートでカット【OBS Studio】
この記事の目次
オーディオ信号は4つに分けられる
OBS Studioで扱えるオーディオ信号は、基本的に2タイプに分けられます。
ひとつはシーンごとに登録できる音、もうひとつはシーンに関係なく配信全体に共通して設定される音です。
またオーディオ信号の入力ソースとしては、パソコンから流れる音とマイク入力の音のふたつがあります。
この2×2、4タイプを組み合わせることで配信に載せる音を作っていきます。
今回は、シーンに関係なくOBS Studio全体に共通する音について解説します。
配信会場の音を録る
Web会議やビデオチャットのような使い方だったら、パソコン内蔵のマイクやWebカメラに搭載されているマイクの音を使えば充分です。
このばあい、OBS Studio上では特に設定はいりません。デフォルトのままですぐに使えるはずです。
しかし、講演会やイベントを配信するようなばあいには、外部マイクを使用するか、あるいは会場のPAから音を分配してもらう必要があります。
なぜかというと、配信作業に使っているパソコンのマイクでは演者の声をきれいに拾うのは難しいからです。
会場全体で反響した音は聞き取りづらいし、周囲の雑音も入ってしまいます。
司会者や出演者それぞれにマイクを用意してそれをミックスした音をPAから分けてもらうのがいちばんでしょう。
次善の策としてはステージになるべく近いところにマイクを設置します。
USBオーディオインターフェイスは必須
どちらにしても、マイクの音をパソコンに取り込むにはUSB接続のオーディオインターフェイスが必要になります。
細かいことをいうと「サウンドカード」があればだいじょうぶですが、現在ではUSBオーディオインターフェイスを使った方が簡単でしょう(特にノート型パソコンのばあい)。
USBオーディオインターフェイスは、文字どおりパソコンとマイクやスピーカー(ヘッドフォン)を接続する装置です。
下の写真は私が使用しているYAMAHAのAG03というオーディオインターフェイスです。
この機械はちょっと特殊で、単なるインターフェイスではなくパソコンから流れる音とマイクの音(つまり自分の声)を混ぜたあとで、もういちどパソコンへ戻すことができます。
ちょっとややこしいのですが、AG03の方で音をミックスすることで、音量の調整がすばやくできるのがメリットです。
もしAG03がないと、音量の調整をOBS Studio上で行うことになるので、とっさのときに使いにくかったり操作ミスを起こしたりしやすくなります。
そういうトラブルを避けるために、ちょっと高いのを我慢してもわざわざ使っています。
同様の機能が欲しかったら「ループバック」というキーワードで探してみてください。
とはいえ、単にマイクやヘッドフォンをつなぐだけだったらもっと安いモノでも充分です。
以前はパソコン用周辺機器でおなじみバッファロー製のこんな小さいものを使っていました。
この製品はかなり古いもので、現在では機能を省いてさらに安くなった後継モデルが販売されています。
写真03
とっても小さなものなのでマイクの音量調整機能はなく、OBS Studio側で操作することになります(ヘッドフォン用ボリュームはあります)。
ただし、一時的にマイクを切るミュート用のボタンはあるので、自分の声がよけいな時に配信に流れてしまうようなミスは防げます。
USBオーディオインターフェイスをパソコンにつなぐと、基本的にはそちらを自動的に使用するように切り替わるので、特になにもする必要はありません。
ただし、今後のこともあるので基本的な設定方法だけは知っておいた方がいいでしょう。
OBS Studioの基本設定
まず、OBS Studioを起動して右下の[設定]をクリックします。
設定画面が開いたら、左のタブで「音声」に切り替えます。
上から2段めの「デバイス」というグループの中ににデスクトップ音声やマイク音声という項目が並んでいます。
デスクトップ音声は、パソコンから流れる音です。 講演の中でパソコンを使ってDVDを再生するとか、YouTubeの動画を再生するときに流れるような音声が、このデスクトップ音声になります(パソコンの通知音なども含まれます)。
マイク音声は文字通り外部マイクの音を扱います。
最初は「既定」が選択されているので、USBオーディオインターフェイスを接続した時点で自動的にパソコンの内蔵マイクからオーディオインターフェイスに接続したマイクに切り替わっています。
なのでふつうはなにもしなくていいんですが、なにかトラブルがあったときはここをチェックしてみましょう。
上の図では「ライン( 6-AG06/AG03)」というのを選択しています。これがYAMAHA AG03の指定です。
もし、USBオーディオインターフェイスを接続しているのに、あえてパソコン内蔵マイクを使いたいなんていうときには「マイク配列(Realtek High Definition Audio)」を選択しておきましょう。
マイクは、ほかにも2~4まであって、初期設定ではすべて「無効」になっています。
もしオーディオインターフェイスをたくさん接続して、パネルディスカッションの参加者すべてにマイクを用意できるようなばあいにはこれらも使ってください。
パソコン側の再生設定も確認しておく
USBオーディオインターフェイスを接続した時点で、パソコン内蔵マイクもスピーカーも一時的にオフになっています。
このため、もしマイクだけつないでヘッドフォン/イヤフォンがないと、パソコンからの音を聴くことはできません。
音は出ているんですが、パソコンにつないだスピーカーではなく、オーディオインターフェイスの方に出ているからです。
念のためパソコン側の設定も確認しておきましょう。
デスクトップ右下のシステムトレイアイコンでスピーカーをクリックすると、次の図のようなポップアップが開きます。
おなじみ、スピーカーの音量調整ですが、注目してほしいのはその上の「ライン(6- AG06/AG03)」というところ。
つまりパソコンの音はAG03を通ってヘッドフォンへ流れています。
この音をパソコンのスピーカーで聴きたかったら、名前の部分をクリックしてリストから「スピーカー(Realtek High Definition Audio)」に切り替えましょう。
これでパソコンのスピーカーから音が流れるようになります。
ただし、パソコンから出た音をマイクが拾ってハウリングを起こす可能性があるので、基本的にはあまりお薦めできません。
あくまで設定方法の一例ということで紹介します。
マイクを共通設定で使うメリット
設定画面で指定したマイクの音はシーン(カメラの切り替え)に関係なく共通です。
カメラを切り替えるたびに音の感じが変わってしまうようなこともなく、一定の音量、音質になるのでとても聴き取りやすいはずです。
合唱コンクールや演奏会などをライブ配信するんだったら、カメラが切り替わるたびに音の感じが違うととても不自然なので、そういうときは共通設定を使いたいですね。
一方で、使い方によっては臨場感重視で、カメラを切り替えるたびにその現場の音を配信したいこともあるはずですが、それについてはまだ設定を研究中なので後日改めて紹介したいと思います。
マイク音量の表示
OBS Studioにはマイクの音量を示すレベルメーターがあります。
ここには設定されているマイクすべてのレベルを表示することもできます。
その一方で、各ビデオカメラの内蔵マイクは使わないというのであれば、表示しなくてもいいですね。
次の画像は、シーンの映像ソースでビデオカメラを登録したときにたまたま、ビデオカメラのレベルメーターが表示されてしまいました。
このカメラの音は実際には配信に載らないので、レベルを表示していても混乱するだけで意味がありません。
こんなときは、レベルメーターを非表示にしましょう。
映像ソースでビデオカメラを選択してから右クリックしコンテクストメニューを開きます。
すると中に[ミキサーを非表示]というのがあるので、クリックします。
これでビデオカメラのレベルメーターは非表示になり、見間違えて混乱するという失敗を防げます。
もしレベルメーターが必要になったら、もういちど右クリックでコンテクストメニューを開いくとこんどは[ミキサーを非表示]にチェックが入っているので、これを外してください。
USBオーディオインターフェイス経由でマイクとヘッドフォンを使うのであれば、USBに接続した時点で自動的に切り替わってくれるので、特に難しいところはありません。
Web会議やビデオチャットだったらマイクも1台だけでしょうから、特に気にする必要もないでしょう。
ただ、今後カメラやマイクを追加することになると、今回紹介した基本設定、そしてシーンに追加する音声ソースの使い分けが重要になってきます。
OBS Studioの基本的なオーディオ設定 - まとめ
- マイク/ヘッドフォンはUSBオーディオインターフェイスで接続する
- マイク1台の接続であれば、USBを接続するだけで自動的に行ってくれる
- 音声をパソコンから流すばあいは設定の変更が必要
- OBS Studio全体の共通設定と、シーンに追加する音声ソース設定がある
- PC上の音は「デスクトップ音声」、外部音源は「マイク」で設定する
Amazonで「USBオーディオインターフェイス」を検索
楽天市場で「USBオーディオインターフェイス」を検索
ライブ配信関連機材の記事