ここでは描画ツールのおもな機能を紹介します。
この記事の目次
HyperSnap8の描画ツール
HyperSnap8の描画機能はリボンの「Edit」タブにまとめられています。
「Edit」タブのツールは、コピー/ペーストや整列、重ね順の変更などを行う"Edit"グループ、描画機能をまとめた"Drawing Tools”グループ、そしてカラーパレットの3つに大きく分けられます。
再編集可能なドロー形式
描画ツールでは、キャプチャ画像の上に図形を描いたりテキストを配置できます。これらは独立したオブジェクトとして配置されるため、いったん描画したあとも色や形などの属性を編集できます。
さらに保存形式をHyperSnap Drawingにしておけばオブジェクトとしての情報を保つことができるので、保存しておいたファイルをふたたび読み込んでさらに加工することもできます。
もちろん、JPEGやPNGといったビットマップ形式での保存も可能です。
ドロー系の描画ツール
"Drawing Tools”グループには18個の描画ツールに加えて、オブジェクトの選択、拡大/縮小表示、線の太さや線種の選択、消しゴムなどの機能があります。
これらのツールのほとんどはオブジェクトを描画するためのShape drawing modeで使用します。
選択ツール
描画した図形を選択して配置を移動したり、頂点を動かして形を変えることができます。
右クリックでコンテクストメニューを開くと、線の色などオブジェクトの属性を変更できます。
直線描画ツール(Line)
ドラッグした2点間を結ぶ直線を描きます。
ポリライン(Polyline)
クリックした点を順番に結んで折れ線を描きます。
フリーハンド(Freehand Draw)
マウスを自由に動かしてドラッグした軌跡を図形化します。
フリーハンドで描いた図形は、実際には非常に多くの点を結んだポリラインになっていて、頂点のハンドルをドラッグすることで変形できます。
テキスト(Add Text)
ドラッグで作成した矩形の領域内にテキストを入力します。
フォント、文字サイズ、色、配置(右揃え/左揃え/中央揃え)、装飾(太字/斜体/下線)の指定が可能なほか矩形領域の背景色と輪郭線を指定できます。
また、日付、時刻、ファイル名、パス、ユーザー名などを自動で描き込むメタ文字の指定が可能です。
吹き出し(Callout)
矩形の領域ではなく、吹き出し形の中にテキストを入力します。
フォントの指定や装飾などの属性はテキストと同じです。
円弧(Arc)
直線を描くときと同じようにドラッグしたあと、いったん左ボタンを放してからさらにマウスを動かすと円弧を描くことができます。
描画が終わった円弧を選択すると、ハンドルをドラッグしてカーブを変形させることができます。
矩形(Rectangle)
四角形を描画するツールです。ドラッグした2点間を対角線とする矩形を作成します。
ポリゴン(Polygon)
クリックした点を結ぶ多角形を描きます。ポリラインとの違いは、始点と終点を自動的に結んで閉じた図形を描く点です。
角丸矩形(Rounded Rectangle)
矩形の4つの角を丸めた図形を描きます。
角の丸みはハンドルで調整できますが、各ハンドルを独立して動かすため4つの角すべての丸みをすべてキレイに揃えるのは難しいでしょう。
楕円形(Ellipse)
楕円形を描きます。【Shift】キーを押しながらドラッグすると、正円になります。
矢印(Arrow)
矢印を描きます。オプションで双方向の矢印や、先端の形を選ぶことができます。
ただし矢印の形をあとから修正することはできません。
塗りつぶし(Flood Fill)
オブジェクトの中や連続する色でつながっている領域内を、選択した色で塗りつぶします。
ドロー系ツールで描いたオブジェクト、スクリーンショットのようなビットマップ画像のどちらにも使える特殊なツールです。
塗りつぶし図形
塗りつぶし矩形(Filled Rectangle)、塗りつぶしポリゴン(Filled Polygon)、塗りつぶし角丸矩形(Filled Rounded Polygon)、塗りつぶし楕円形(Filled Ellipse)の4つを描けます。
ハイライト(Highlight)
矩形の領域を半透明で塗りつぶします。蛍光マーカーで塗ったようになります。
塗りつぶし色は、イエロー/グリーン/シアン/マゼンタ/グレーの5色を簡単に選べるほか、カラーパレットの前景色/背景色も指定できます。
ビットマップ編集モード
HyperSnap8にはドロー系とは別のDrawing directly on image modeというモードがあります。
このモードに切り替えると、ドロー系ツールで描いたオブジェクトは一時的に非表示化されます。同時に上で紹介した描画ツールはオブジェクトを描くのではなく、ビットマップ画像として直接描き込まれます。
このためあとから位置を動かしたり、変形させることはできません。
また、ビットマップ編集時だけに使える特殊な描画ツールと描画モードの切り替えツールがあります。
ドローイングモード切替
Drawing Mode Toggleボタンをクリックすると、ドローモードとビットマップモードが切り替わります。
エアブラシ(Air Brush)
スプレーを吹いたようにフリーハンドで描画します。左ボタンを押しながらドラッグしたときはカラーパレットの前景色での描画、右ボタンを押しながらのドラッグでは前景色と背景色を混ぜた色での描画になります。
描画モードがShape drawing modeの状態でこのツールを選ぶと、ビットマップ編集モードでしか使用できないという通知のメッセージボックスが現れ[Dismiss]ボタンをクリックするとビットマップ編集モードに切り替わります。
消しゴム(Freehand Erase)
いわゆる消しゴムツールですが、実際には、背景色で塗りつぶすという動作になります。
また右ボタンを押しながらドラッグした場合は逆に、前景色で塗りつぶすという動作になります。
描画モードがShape drawing modeの状態でこのツールを選ぶと、ビットマップ編集モードでしか使用できないという通知のメッセージボックスが現れ[Dismiss]ボタンをクリックするとビットマップ編集モードに切り替わります。
カラーパレット
色の選択を行うカラーパレットには、8列×5行の計40色が配置されていて、さらに右側のスライダーではRGB各色とアルファチャンネル(透明度)を指定して好みの色を作り出せます。HTMLでのカラー指定に使われる16進数での設定も可能です。
作成した色はカスタムカラーに登録しておくことですぐに呼び出せます。
スポイトツール(Color Picker)を使って編集画面上の色を抽出(前景色としてセットする)ことができます。
そのほか、前景色と背景色を入れ替えたり、背景色を透明化することができます。
ラインスタイル
ドロー系ならではの編集ツール
編集ツールではカット/コピー/ペースト、アンドゥ/リドゥ、クリアなどの一般的なコマンドのほかに、ドローツールならではの機能として以下のようなコマンドがあります。
View
選択したオブジェクトを非表示化したり、すべての非表示オブジェクトを表示させることができます。
なお、ここでいう非表示はビットマップ編集モードに切り替えたことによる非表示とは関係ありません。
Align
複数のオブジェクトを選択して、左右や上下の位置を揃えるのに使います。
Forward/Backward
オブジェクトの重ね順を変更します。Forwardをクリックすると前面に、Backwardをクリックすると背面に送られます。
Imprint
描画したオブジェクトに対して[Imprint]を実行するとビットマップ化して背景と合成されます。このため、実行後は変形や移動ができなくなります。
選択のモード
HyperSnap8はビットマップ編集、ドロー編集両方の機能をもつため、選択モードも独自の切り替えができるようになっています。
ふつうは選択ツールでクリックすればオブジェクトの選択、ドラッグで矩形を選択すればビットマップモードでの選択となるのであまり意識する必要はありません。
ただし、[Select]ボタン右側にある▼をクリックしてドロップダウンメニューからモードを切り替えることもできます。
ビットマップ編集用の選択モード
キャプチャ画像から一部を切り抜いたりぼかし処理を掛けたりするような場合、次のふたつのモードが使えます。
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Freehand selection
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Rectangle selection
Freehand selectionはクリックしたポイントを頂点とする多角形の領域を選択します。それに対しRectangle selectionではドラッグした矩形の領域を選択します。
ドロー編集用の選択モード
ドロー編集では次のふたつのモードが使えます。
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Shape to selection
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Selet all shapes
ただし、ふつうは選択ツールを使ってクリックしていくので前者を意識的に使う必要はありません。すべてのオブジェクトをまとめて選択したいときは後者を使うといいでしょう。
HyperSnap8の描画機能 - まとめ
以上、HyperSnap8のおもな描画系ツールについて紹介しました。
キャプチャした画面はビットマップ画像ですが、そこへ矢印やポリゴンなどの図形を描いたり、テキストを入力するときはドロー系のオブジェクトになるので、あとから自在に編集できるのが魅力です。
ただし弱点もあります。
たとえば矢印の形が限られていてあとから変形させることができないところや、テキストの文字間隔/行間隔を指定できないところは個人的には大きな不満で、ほかのグラフィックツールが完全に不要というところまでは残念ながらいきません。
それでも単なるキャプチャツールよりは便利なので、最低限の加工と割り切ればそれなりに使えます。ぜひ試してみてください。