しかし、機材を常設できる環境でないと思い立ったらすぐに録音というわけにはいきません。
練習の途中でもっと手軽に録音できるできる方法はないか、と考えたらルーパーを使うという手がありました。
最近のルーパーにはかなり長時間録音できるものもあるので、フレーズの一部どころか、丸ごと一曲録音することも可能です。
さらには録音したフレーズをメモリに保存したり、PC側で作った音源を取り込んで再生できるものも。
そこで、1) 長時間録音できる、2) 録音したフレーズを保存、再生できる、3) USB接続でパソコンとファイルをやりとりできる、という3つの機能にフォーカスして機種をピックアップしてみます。
あくまでもギター初心者の目線で記事を作っているので見落としている部分もあるかと思いますが、もし気になる記述がありましたらアドバイスいただけると幸いです。
この記事の目次
そもそもルーパーを使うメリット
ルーパーは、演奏中の音をその場で録音/再生できる機材です。
その名の通り録音したものをその場で繰り返し再生するので、なんどでも同じ箇所を練習できます。
普通のオーディオレコーダーに比べると、再生/停止/頭出しを繰り返す必要がありません。
ルーパーは基本的に、コンパクトエフェクターと同じようなストンプボックス/ペダル型。ギターとアンプの間に接続するのでふだんからセットアップしておいても邪魔にならず、毎回接続する手間もいりません。
ボタンを足で踏むだけで録音、再生、停止を簡単に操作できます。
また、レコーダーと違い、音の重ね録り(多重録音)が簡単にできます。
ギター一本でベース、パーカッション、リズムの3回繰り返し録音し、それを再生しながらギターソロを練習するといった使い方も可能です。
複雑な演奏をひとりでこなせるというパフォーマンス面でのメリットもありますが、私のレベルでは無縁なのでYouTubeで人気の演奏例を紹介するだけにしておきます。
簡易レコーダーとしてのルーパー選び
楽器練習用の手軽なレコーダーという視点でほしい機能をピックアップしてみましょう。
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一曲まるごと録音できる
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録音したループフレーズを保存できる
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数パターンのフレーズを切り替えられる
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パソコンと接続してフレーズを相互転送できる
ループ記録時間が長いもの
実は、マルチエフェクターの多くにもルーパー機能がついています。
これを使ってみて、練習に効果的だなと思ったんですが、私が持っている機種だと残念ながら20秒しか記録できません。
マルチエフェクターでももう少し上位グレードの機種だと90秒ぐらいになるようですが、これくらいの長さでは一曲通して録音するにはとても足りません。
簡易レコーダーとして使うには、1フレーズあたり5分ぐらい記録できるといいですね。
というわけで基本的に単体製品としてのルーパーをチョイスすることになります。
ループフレーズを保存できるもの
いちど電源を切ったらデータが消えてしまうようなモデルだと、次に練習するときはまた録音しなおさないといけません。
練習のたびに一曲まるごと録りなおすのはたいへんなので、やはり保存機能は必須です。
幸い、単体で販売されているルーパーのばあい、特に保存操作をしなくても自動的に保存され、次回起動時にそのまま読み込まれるものが多いようです。
複数のフレーズを保存・切り替えできると嬉しい
フレーズを保存するばあいも、できればひとつだけでなく、複数パターンを記録しておいて、簡単に呼び出せるといいですよね。
その場合、明示的にどのスロット(保存エリア)に保存するかを指定する必要があります。
ざっと調べてみたところ、多いものだと99パターンぐらい記録できるようです。
それだけあればルーパーひとつにセットリストの伴奏トラックを丸ごと保存してコンサートができそう。
ま、そこまでは必要ないとしても、10パターンぐらい登録できると便利です。
パソコンとファイルを相互転送
ルーパーで録音したファイルをパソコンに転送できると、DAWに読み込んで音源の一部として使ったり、バンドメンバーに送って練習用に使ってもらうなどいろいろ応用できます。
逆も同様で、DAWで作ったバックトラックや、ほかのメンバーの演奏をルーパーに送って練習することもできます。
一曲丸ごと録音できると、こういうとき使い方が広がりますね。
お奨めルーパーをピックアップ
では、ここまで上げた条件に合いそうなルーパーを紹介していきます。
もうおわかりのとおりだいたい中級グレードのモデルにななります。
Ditto+ / TC Electronics
小型のシンプルなルーパーとして人気のDittoに追加された上位モデルです。
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最長60分録音
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ループスロット 99個
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Extend Loop機能
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USB接続でのインポート/エクスポート機能
オリジナルモデルと同サイズのコンパクトボディなので接続したまま床に転がしておいてもじゃまになりません。思い立ったらすぐに録音できそうですね。
最長60分、ループフレーズは99個まで保存できるので実用性は充分です。
注目なのがExtend Loop機能。
ルーパーは基本的に最初に録音したフレーズで長さが決まるものですが、このExtendLoop機能は最初の録音が短くても重ね録りの時により長く録音できます。
たとえば短いリズムパターンひとつだけ最初に録音しておいて、次に重ね録りするフレーズは基本パターンの2回分、3回目の重ね録りでは4回分というように、どんどんフレーズを伸ばしていけるわけです。
これなら1回目のリズム録りは短くて済みます。長く録ればそのぶん失敗の確率も増えるのでこれは助かりますね。
ベースとなったDITTOは定評あるモデルで安心できます。
気になるのは、なぜか今どきUSB端子がmini-Bだという点ぐらいです。
定番のDittoを外した理由は?
ルーパーの定番品といえばDittoのベーシックモデルですが、フレーズの録音(電源を切っても消えない)は可能なものの、複数フレーズの切り替えができないのとPCとの接続ができないのを理由に今回は敢えて除外しました。
録音タイムは最長5分なので、PCとの連携が不要で単純にギター練習用として使うには充分お奨めだと思います。
悪質業者に注意
2022年10月現在、AmazonにDittoをはじめとするTC ELECTRONIC製品を70%オフなど激安で販売している業者が複数います。
しかしよく見ると配送料金が製品価格以上に設定されています。中には4万円近い例も見受けられます。
商品価格だけ見て飛びつかないように注意してください。
Ditto X2 / TC Electronics
ふたつのルーパーを備えたDittoの上位モデル。
ループフレーズを同時に再生したり、順番に連続再生することができます。
ループタイムは最長5分。
保存とUSB経由での転送は可能ですが、ループパターンの切り替えは2つのみです。
フレーズを切り替えて演奏するパフォーマー向きという印象で、ギター初心者の練習用という視点ではあまり魅力的ではないように思いました。
LEF-332 Looper / ROWIN
中華系ブランドROWINの小型ルーパーです。
録音できるループフレーズはひとつだけなのでちょっと条件から外れますが、10分間の録音が可能なのと、PCとの連携が可能ということであえてピックアップしました。
ボリュームレベルとフットスイッチだけの超シンプルモデルですがそれなりにしっかりした製品のようです。
あまり欲張らなければ練習用としては充分使えそう。
FS21 / FLAMMA
最近エフェクター界ではとみに存在感を増している中華系製品ですが、2022年10月時点でAmazonで買えるものだと、複数フレーズの切り替えやPCとの連携をサポートしているものはあまりないようです。
その中で見つけたのがこちらのモデル。
ルーパーとは別に100パターンのドラムマシンを内蔵しているのが特徴です。
1フレーズあたりの最長録音時間は4分。
40パターン(スロット)の録音と切り替えが可能で、計160分の記録ができます。
USB接続によるインポート/エクスポートもサポート。
入出力ともステレオ対応。
外部コントロール端子にフットスイッチを接続して操作することもできます。
ドラムマシン側とルーパー側でボタンが独立しているので、それぞれ簡単に操作できるのはよさそうですね。
ただ、Amazonのユーザーレビューによるとドラムマシンはパターンが単純でいまひとつ魅力に欠けるようです。
個人的にはドラムマシンとまではいかなくてもメトロノーム的にビートを刻んでくれればいですね。
こちらの動画では、ギタリストの山口和也さんがFLAMMAのルーパー3機種を紹介しているのでチェックしてみてください。
Lekato (9ループモデル)
ギター用のワイヤレストランスミッターでよく見かけるLekatoもルーパーを数機種リリースしています。ただし、Amazonだと機種名がわかりません。
ノブとドット表示の数字を囲むように配置された青いLEDが特徴です。
数字からわかるように、このモデルはループフレーズ用のスロットが9つあります。
ほかに一見よく似た外観で3ループ対応モデルがあるので注意しましょう。Amazonの商品写真では数字が3になっているので注意してみればすぐにわかります。
1フレーズの記録時間は10分ですが、最長録音時間は40分です。
ということはすべてに10分録音していくと、半分以下のスロットしか使えない計算。
一瞬それあり?という気になりますが、実際は5分録音したとして×9スロットで45分ですから、実用上はあまり気にしなくていいかもしれません。
実際、ユーザーレビューを見てもそこに突っ込んでいる人はいません。
プロギタリストによる紹介動画もあります。
RC-5 / BOSS
数々のエフェクターでおなじみのBOSSはルーパーでも多数のモデルを展開しています。
その中で、下からふたつめのグレードがRC-5。とはいえ、ペダルサイズのものとしては上位機種なので機能はかなり充実しています。
ローエンドのRC-1が5分までなのに対し、RC-5はなんと一気に13時間へ拡大(1トラックの最長は1.5時間)。
ループフレーズは99個まで保存できます。
入出力ともステレオに対応。
ドラムマシンも搭載し、7つのドラムキットと57種のプリセットリズムを組み合わせ可能です。
しかもリズムパターンとドラムキットの組み合わせもフレーズといっしょに保存されます。
外部フットスイッチを接続してより使いやすくしたり、MIDI端子で制御するなど発展性でも抜かりがありません。
もちろんUSB接続によるPCとのファイル転送もサポート。
さらに決定打は、デジタル処理機能の精度。AD/DA変換は32bit、演算処理は32bit浮動小数点演算と、他の機種より頭ふたつぐらい抜け出した仕様です(他機種はほとんど24bit処理)。
これなら練習用の域を超えて、将来ルーパーを使ったパフォーマンスにも使えるでしょう。
中華系に比べるとぐっと高価になりますが、トータルで考えると長い目で見たらやはりこれかなという感はあります。
操作性のDitto+、C/PのFLAMMA、発展性のBOSS
というわけで、練習用の簡易レコーダーという視点からルーパーを探してみました。
今回チョイスした中では、DittoのX2が2万円台後半といちばん高く、Ditto+とRC-5が2万円台前半。中華系の中では高機能なFS21が1万円代半ばで、その他は1万円以下(5~6000円台)と、かなり開きがあります。
スペックだけで実際の音質、操作感などは無視した比較になりますが、ループ録音の操作性ではExtend Loopが使えるDitto+が優位。
ドラムマシンをあまり重視しなければFS21のコストパフォーマンスは魅力。手軽さ最優先だったらLekato(モデル名はなんなんでしょうか?)も捨てがたいですね。
ギター練習用のツールを検討している方は参考にしてください。