バージョンアップの目玉といえるカスタムピクチャー機能について、概要と基本的な操作方法を紹介します。
なお、ファームウェアのバージョンアップ方法およびカスタム設定のバックアップと復元方法については以前の記事をご覧ください。
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LOG収録も可能なカスタムピクチャー
従来、XF400/405の色調設定は、ノーマルとワイドダイナミックレンジ(WDR)、モノクロの3つにしか対応していませんでした。
このため、自分でいろんなルックを作りたいクリエイター指向の方にとっては、同クラスの他社競合機に比べると物足りなさを感じたこともあったのではないかと思われます。
しかし、ファームウェア1.0.5ではカスタムピクチャーに対応するという形でLOG収録が可能になりました。
より細かく言うと、カスタムピクチャー設定をオンにすることで6つのカラーモードを選択可能で、その中のCP3がCanon LOG3になっています。
またCP5と CP6のふたつはユーザー設定用でとても細かな設定が可能になっています。
さらに、ユーザー設定以外の設定についても調整が可能なので、自分のイメージに応じたきめ細かな画作りが可能でしょう。
ただし、設定がプロフェッショナル仕様に過ぎるので、アマチュアの映像クリエイターにとってはうかつに手がだせません。
無理に設定をいじるより、すなおにLOGで撮っておいてDaVinci Resolveのようなグレーディングソフトで処理する方がよいかと思われます。
カスタムピクチャーを有効にする
新しいカラー設定を利用するには、メニュー画面のシステム設定で、カスタムピクチャーを有効にする必要があります。
次の画面はファームウェア1.0.5ですがまだカスタムピクチャーはオフの状態です。
ルックは"2"(WDR:ワイドダイナミックレンジ)を選択しています。
カメラ本体のMENUボタンをクリックしてメニュー画面を開き、「システム設定」の4ページめを開いてファームウェアのバージョンが1.0.5.0であるのを確認します。
続いてカメラ設定の5ページめへ移動すると、[CP機能]という項目があります。
画面をタップまたはカメラのボタンを操作して機能をオンにしましょう。
カスタムピクチャーを切り替える
カスタムピクチャーの選択は撮影画面で行います。
メインの画面に戻ってくると先ほど”C2"だったところが”CP1"に変わっていました。
画面左下の[FUNC]をタップして、撮影メニューを開きます。
左側に縦に並んでいるメニューをスクロールするとカスタムピクチャーの設定があります。
最初はCP1となっています。
下の方にはカスタムピクチャーの設定がCP1~CP6まで並んでいます。
このうちCP2が従来のワイドダイナミックレンジ、CP3が新たに追加されたCanon LOG3。
CP4はEOS Std(スタンダード)なので、EOSシリーズのカメラと併用している方には便利でしょう。
CP5とCP6はユーザー設定用です。
詳細情報の確認とカスタマイズ
CP1~CP6のカスタムピクチャーを選択した状態で、スクリーン上の[i]ボタンをタップすると、それぞれの設定が出てきます。
ここではCP1の設定を写真で紹介しておきます。
カラースペース、カラーマトリックス、ブラックガンマ、ニー(Knee)、シャープネス、ノイズリダクション、ホワイトバランスなどの項目を細かく設定できるようになっています。
この画面は確認用なので、ここでカスタマイズすることはできません。
また、いちばん上のカスタムピクチャー名の横に鍵アイコンがついているのからわかるように、設定はロックされていて不用意に変更できないようになっています。
カスタマイズを行うには[i]ボタンの下にあった、スライドバーが3つ並んでいるアイコンをタップします。
次の画面はCP2の設定を開いたところですが、プロテクトがかかっていてこれを解除しないと修正できません。
プロテクトを解除すると、グレイアウトしていた項目がアクティベートされて設定を変更可能になります。
設定項目が多いのでGamma/Color SpaceとColor Matrixのふたつだけ紹介します。
ガンマ/カラースペースは、カスタムピクチャー設定でわかるようにノーマル/WDR/LOG/スタンダード/BT709スタンダード/EOS スタンダードから選択できます。
カラーマトリックスのほうは、ニュートラル/プロダクションカメラ/ビデオ/EOS スタンダードの4つがあります。
なお、これらの設定は、メモリカードのBスロットへファイルとして保存できるので、書き出した設定をほかのXF400/405に読み込むことでカスタムピクチャーの設定を統一できます。
動画収録用のSDカードとは別にこれらの設定専用の記録メディアを用意し、カスタムメニュー設定やファームウェアのファイルといっしょに保存しておくと便利でしょう。
中古機の魅力がアップした
どちらかというと質実剛健な実用機というイメージの機体でしたが、これでクリエイティブな画作りにトライしたい人にもアピールできるのではないかと思います。
もうじき新品の入手はできなくなりますが、これから減価償却を経て出回ってくるであろう中古機の魅力をアップさせるなかなか渋いアップデートではないでしょうか。
- ワイドダイナミックレンジ以外にLOG収録に対応
- 詳細なカスタム設定が可能
- カスタムピクチャーの切り替えはファンクションメニューから