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キヤノンXF400のステージ撮影用設定を考えてみた

注文しておいたビデオカメラ キヤノン XF400が届いたので、依頼者に納品する前に、動作チェックを兼ねてカメラの設定を行っておくことにしました。

舞台撮影用に望ましいセッティングを検討したので紹介しておきます。

おことわり

なお、今回の用途では露出制御をシャッター速度優先またはマニュアル露出で行うことを想定しています。プログラムオート、絞り優先オート、シーンモードについては説明を省略しています。ご了承ください。

この記事の目次

使いやすい設定を決めよう

フルオートで撮るのはろくなことにならないと私物のハンディカムで体験していたので、まずはどんな機能があるのかチェックして、これで行ってみようという設定を探ります。

撮影関係の機能をひととおりチェックしてひとまず次のような設定にすることにしました。

  • ホワイトバランス設定は現場でマニュアル設定
  • 露出はマニュアル制御
  • フォーカスはフェイスオンリーAF

どうしてこの設定になったかは後ほど説明します。

またこの設定を使いこなすためにいくつかのカスタマイズを行いました。

  • アサインボタン5をWB白取り込みに割り当て
  • アサインボタン2をフェイスオンリーAFに割り当て

このあとそこに至るまでの過程を紹介します。

 

カスタムボタンについて知っておこう

設定の詳細に入る前に、アサインボタンとカスタムダイヤル&ボタンについて説明します。

キヤノンXF400には、メニューを使わずに機能をワンタッチで呼び出せるボタンがあります。

  • アサインボタン1~5
    液晶パネルやグリップ部にあるボタンで、それぞれ初期設定で機能が割り当てられていますが、カスタマイズが可能です。

  • タッチアサインボタン
    物理的なボタンではなく、液晶モニタ上に表示されるタッチボタンです。 カスタム設定できる項目は、アサインボタン1~5とほぼ同じですが、WB白取り込みはできません。

  • カスタムダイヤル&ボタン
    ボディ側面レンズ付近にあるボタンとダイヤルで、ボタンのプッシュで機能のオン/オフを選択し、ダイヤルで調整します。絞りの設定や露出補正などに使えます。

すべての設定は液晶モニタ上のメニューで行えますが、特によく使う機能をこれらのボタンに割り当てて使いやすくします。

まずホワイトバランス設定

舞台撮影では照明の色などが変化するため、オートで撮影すると色味が変わりがちです。

そこでマニュアルを基本にし、その場で白い紙を使って設定するWB白取り込みを使います。

WB白取り込みはその場ですぐに使いたいのでボタン操作が望ましいのですが、XF400のカスタムボタンには割り当てがありません

これだと、ホワイトバランス設定のたびにメニューを操作しなくちゃならず、めんどうです。

そこでグリップ部のアサインボタン5をWB白取り込みにカスタマイズして、いわゆるワンプッシュホワイトバランスができるようにしました。

 

タッチアサインボタンの制限

タッチアサインボタンはもともと静止画撮影(PHOTO)用ですが、静止画撮影はまったく考えていません。

実は最初、タッチアサインボタンWB白取り込みを割り当てようと思ったのですが、調べてみたらこの設定ができませんでした。

そこでアサインボタン5のほうをWB白取り込みにして、タッチアサインボタンには拡大表示(MAGN)を割り当てています。

もちろんほかに使いたい機能があったらそっちを割り当ててかまいません。

 

露出設定はTvかMか

XF400の露出制御には、フルオートのプログラムのほか、Tv(シャッター速度優先オート)、Av(絞り優先オート)、マニュアル、スポーツ、夜景など9種類のシーンモードがあります。

露出設定も明るさがころころ変わるフルオートに任せたくないので、シャッター速度優先オート(Tv)かマニュアルで操作します。

 

シャッター速度優先オート(Tv)

シャッター速度はメニューまたはカスタムダイヤルで設定できます。

シャッター速度はフレームレート24fpsに合わせて48(1/48sec)とします。

カスタムダイヤル&ボタンの設定によっては、AEロックと露出補正もできます。

これにより実質的にマニュアル露出と同じように使えるかもしれません。

 

マニュアル露出

絞りとシャッター速度をユーザーが任意に選べます。

こちらもシャッター速度は48とし、画面の明るさを見ながら絞りを調節します。

場合によっては内蔵NDフィルターも使用します。

絞りやシャッター速度の値は液晶モニタに表示されます。

 

露出制御とカスタムダイヤル&ボタンの関係

取扱説明書を見ただけでは露出制御方式とカスタムダイヤル&ボタンの関係がわかりにくいので整理しておきます。

基本は、ボタンでモード選択・ダイヤルで設定値変更です。

使用できるモードは露出制御方式によって変わってくるので、そこだけまず押さえておきましょう。

 

カスタムダイヤル&ボタンで選べる設定

カスタムダイヤル&ボタンは初期設定ではオフになっていて、次の3つの機能を割り当てることができます。

  • Tv/Av/M

  • AGCリミッター

  • 露出補正

ここではTv/Av/Mと露出補正の使い方に絞ってまとめます。

だいじなことは、

  • マニュアル露出で撮る人はカスタムダイヤル&ボタンをTv/Av/Mに
  • オート撮影する人はカスタムダイヤル&ボタンを露出補正に

このふたつです。

 

シャッター速度優先オートでの撮影

露出制御がシャッター速度優先オート(Tv)のとき、カスタムダイヤル&ボタンの割り当ては露出補正にしておきましょう。

これでカスタムダイヤルを使って露出補正ができます。

もしカスタムダイヤル&ボタンをTv/Av/Mに設定してしまうと、カスタムダイヤルはシャッター速度の設定になります。

しかし、基本的にシャッター速度は48固定で使うつもりですから、ふだんは変更しないシャッター速度設定をダイヤルに割り当てておくのはムダでしょ?

だからオートで撮るならカスタムダイヤル&ボタンは露出補正です。

 

カスタムダイヤル操作で露出補正

露出補正はもちろんダイヤル操作で行います。

補正を行うと液晶モニター上に補正値が現われます。

補正幅は±2.0EVです。

プッシュでAEロック

カスタムボタンをプッシュするとAEロックがかかり露出が固定されます。

舞台の場合、照明が暗くなるのに合わせてカメラの露出を明るくするのではなくそのまま暗くなります。

舞台が標準的な明るさのときにロックを掛けておけば、暗転のときは自然に暗くなります。

これで実質マニュアル露出と同じように使うことができそうです。

AEロック中は、露出補正値の右側に*(アスタリスク)マークが現われます。

AEロックからの露出補正もできる

AEロックをかけた状態からダイヤルを回すと、その分だけ露出補正がかかります。

基準の明るさはロックしたいけど、場合によっては調整したいというときに使えます。

また逆に露出補正を掛けたあとでAEロックを掛けることも可能です。

 

マニュアル露出での撮影

マニュアル露出で撮影するのなら、カスタムダイヤル&ボタンはTv/Av/Mにしておきます。

これで、シャッター速度/絞り/ゲインをそれぞれ個別に操作できます。

カスタムボタンで選択→ダイヤルで値設定

絞り/シャッター速度/ゲイン(感度)の3つを、ひとつのダイヤルで操作します。

カスタムボタンをプッシュするたびに、絞り→シャッター速度→ゲインの順にモードが切り替わります。

液晶モニターを見ながらどのモードになったかを確認し、変更したいところの値がオレンジ色になったらその値をダイヤルで変更します。

今回、シャッター速度は48で撮るのが前提なので、主に絞り値を変更することになります。

絞りを開けたければ内蔵NDフィルターを使う

舞台撮影では、絞りを開いて被写界深度を浅くしたいケースはあまりないでしょうが、もしそのような場合は内蔵NDフィルターを使うこともできます。

 

露出オーバーの確認

XF400の液晶モニターにはヒストグラムの表示ができないようです。

なので画面上の明るさを基準に判断します。

ただしシャッター速度優先(Tv)モードの場合、ゼブラパターンを表示して白飛び領域を確認することもできます。

  1. 液晶モニターで[FUNC]ボタンをタップ

  2. 左のメニューで露出補正を選択

  3. 露出補正画面でゼブラパターンを選択

  4. 100%、70%、Offのどれかを選ぶ

100%は白飛びする領域、70%は白飛びに近い領域をゼブラ模様で表示します。

なぜかマニュアル露出モードでは、露出警告のゼブラ表示はできないようです。

代わりに、液晶モニターの下中央部に露出スケールが表示されます。

そのほか、外部モニターがあればHDMIで出力してフォルスカラーで判断することもできるでしょう。

結論、マニュアル露出でいこう

というわけでシャッター速度優先オートとマニュアル露出を比較してみました。

最初カスタムダイヤル&ボタンの使い方がよくわからなかったんで迷いましたが、いったん整理できてしまえば難しくありません。

今回の場合、舞台照明は基本的に光量が一定ですから(晴れたり曇ったりしない)、マニュアル露出でいいと思います。

もし野外ステージでの撮影だったら、シャッター速度優先にしてカスタムダイヤル&ボタンは露出補正にして使うでしょう。

 

フォーカス設定を使いこなす

XF400のデュアルピクセルCMOS AFは速度・精度ともに優秀なようなので、ピント合わせは基本的にオートフォーカスに任せるつもりです。

問題はフォーカスモードの使いこなしになります。

AF/MFを切り替える

まずオートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカスの切り替えですが、これは液晶モニターの左側にあるアサインボタン1で行います。

 

AFの基本はコンティニュアス

XF400のオートフォーカスは基本的に連続してAFが動き続けるコンティニュアスAFで、液晶モニターのスクリーンにタッチするとそこがフォーカスエリアになってピントを合わせます。

設定メニューでのオートフォーカスモードの表記は「連続」で、こちらがデフォルト設定になっています。

 

フェイスキャッチ&追尾で顔認識

人の顔を認識してピントや明るさを調整する機能がフェイスキャッチ&追尾です。

露出制御がマニュアルのときにどう働くのか、取扱説明書ではよくわかりませんが、舞台上の演者にフォーカスを合わせたいのでとりあえずこれはオンにしておくことにします。

 

顔認識したときだけオートフォーカス

そのほかに、人の顔を認識したときだけオートフォーカスが働くフェイスオンリーAFという機能があります。

顔を認識していないときはマニュアルフォーカスになります。

取扱説明書の記述を読んだ限りでは、これが私が欲しいモードのようです。

舞台に演者がいるときは演者の顔を追い続け、演者が舞台から消えるとそこでピントが固定になるはずです。

このフェイスオンリーAFを使うには、アサインボタンをカスタマイズして機能を割り当てる必要があります。

つまり、デフォルトで割り当てられている機能を捨ててフェイスオンリーAFに切り替える必要があります(カスタムボタンには割り当てできません)。

アサインボタン1はAF/MFの切り替えで必要だし、アサインボタン5はWB白取り込みに割り当て済みなので残る2~4のどれかに割り当てる必要があります。

 

アサインボタン2をフェイスオンリーAFに

そこでアサインボタン2のPOWERED ISフェイスオンリーAFに入れ替えることにしました。

POWERD ISは望遠撮影時に手振れ補正をより強力にかけるというボタンで、プッシュするたびにオン/オフを切り替えるモードと押している間だけ動作するモードのふたつがあります。

しかし、今回は舞台撮影用で三脚に据えるため、もともと手振れ補正の必要性がない、というか却ってパンやティルトのじゃまになります。

そこで不要なPOWERD ISを外してフェイスオンリーAFに入れ替えました。 これでアサインボタン2を押すたびにフェイスオンリーAFのオン/オフ切り替えとなります。

 

フェイスオンリーAFとフェイスキャッチ&追尾の関係

取扱説明書によると、人物以外の被写体を誤って顔と認識するばあいはフェイスキャッチ&追尾をオフにするようにと書かれています。

なお、フェイスキャッチ&追尾は設定メニューでオン/オフできますが、フェイスオンリーAFのほうは設定メニューに項目がありません。

オン/オフの切り替えはアサインボタンからしかできないので注意してください。

 

AFスピードとレスポンス

カスタム設定ではオートフォーカスの動作スピードとレスポンスを3段階で切り替えられます。

舞台上ではあまり俊敏に切り替わるより、少しゆっくりぐらいのほうが落ち着いた画になると思うので、どちらもローに設定しています。

ニュースの取材などでは逆にクイックに合焦したほうがいいでしょう。

 

その他の設定

ズームスピード

AFと同じようにズームのスピードもそれぞれ3段階で調整できます。これもできるだけゆっくり動いたほうがいいと思うので、どちらもローにしました。

グリップ部のシーソースイッチをちょっと触った限りでは、かなり微妙なコントロールが可能です。

私物のハンディカムでは、ゆっくり動かそうと思っていても急にスピードアップして扱いにくかったんですが、段違いに扱いやすいと思いました。

それでも動作はスローなほうが画として好ましいのではと思っています。

 

マニュアルフォーカス

基本オートフォーカスで使うつもりですが、マニュアルフォーカスのほうにも興味深い機能があります。

フォーカス位置のプリセット

マニュアルフォーカスでピントを合わせておいてプリセットに登録します。

その後さらにマニュアルフォーカスでピントを調整したあと、プリセットしたフォーカス位置にワンタッチで戻すことができます。

プリセットの登録やプリセット位置への移動は液晶モニター上のボタンをタッチします。

  1. FUNCボタンをタッチ

  2. 左のメニューでMFモードに入る

  3. フォーカスリングでピントを合わせる

  4. フォーカスプリセットボタンをタッチして位置を登録(PRESETボタンが現れる)

  5. マニュアル操作でフォーカスを移動

  6. PRESETボタンをタッチすると登録した位置にピントが移動

フォーカスアシスト

フォーカスガイド

設定メニューでフォーカスガイドをオンにすると、マニュアルフォーカス時にだけガイドが現れます。このガイドを使うと合焦したときだけでなく、ピントが合っていないときにもずれ量や前ピン/後ピンなどがわかります。

ピーキング

フォーカスガイドのほかに、おなじみのピーキング機能もあります。

ピーキングの色はレッド、ブルー、イエローから選択できます。

さらにピーキング時白黒をオンにしておくと、ピーキング(合焦)時に画面全体は白黒表示になるため、ピーキングに指定した色がよりはっきりと判別できます。

拡大表示

デフォルトでアサインボタン5に割り当てられている拡大表示(MAGN)機能を使うことで、画面中心部が2倍に拡大され、ピントがわかりやすくなります。

 

AFブーストMF

AFなのかMFなのか、名前からはわかりにくい機能です。

AFモードの一種で、コンティニュアスAFとAFブーストMFのどちらかを選択できます。

ピントを合わせたい位置をまずAF枠でタッチしておきます。

次にフォーカス/ズームリングで大まかにピントを合わせます。つまりこのときは手(マニュアル)で操作しています。

手で操作したピントが、ある程度合ってくるとそこから先はオートフォーカスが働いて自動でピントを合わせます。

室内でテストした感触では、複数の被写体との距離がそれぞれあまり差がないばあい効果がわかりづらい気がします。

近景の人物から遠景の山へなど、大きくピントが動くときは使いやすいかもしれません。

ただ、そのばあいタッチAFで操作するのと大差ないような気もします。

手持ち撮影でタッチスクリーンの操作が難しいときに有効な機能なのかもしれません。

AF操作をマニュアルでスタートする、スチルカメラでいうところの親指AF/ワンプッシュAFのようなものと考えると、常にフォーカスが動き続けるコンティニュアスAFに比べて安定した画が撮れそうです。

AFモードの選択に注意

AFブーストMFを使用する場合、AF枠サイズを大または小(Auto以外)にする必要があります。大または小にしないとAFモード設定オプション自体がアクティベートされないので注意してください。

 

基本設定は固まった、あとはテストあるのみ

以上、舞台撮影が快適になる設定を探して機能のチェックと設定のカスタマイズを行ってみました。

まだフェイスキャッチ&追尾AFブーストMFのふたつをどうししたらいいのかという点がつかめていないのですが、まずはこれを基準にテスト撮影を行って設定を煮詰めていきたいと思います。

実際の使い勝手、変更があった部分などは今後そのつど記事にしていく予定です。

現在の主な設定と今回行った変更

カメラ設定

  • ズームスピードレベル > ロー(変更

  • AFモード > AFブーストMF(変更

  • AF枠サイズ > 小(変更

  • AFスピード > ロー(変更

  • AFレスポンス > ロー(変更

  • フェイスキャッチ&追尾 > オン

  • フォーカスガイド > オン(変更

  • 手ブレ補正 > 切り(変更

記録設定

  • フレームレート > 23.98P(変更

表示設定

  • マーカー表示(液晶グリッド) > オン(変更

システム設定

  • アサインボタン1 > AF/MF

  • アサインボタン2 > フェイスオンリーAF(変更

  • アサインボタン3 > プレREC

  • アサインボタン4 > RECレビュー

  • アサインボタン5 > WB白取り込み(変更

  • タッチアサインボタン > 拡大表示(変更

  • カスタムダイヤル&ボタン > Tv/Av/M(変更

このほかに、動画やオーディオの記録形式、メモリカードスロットの記録方法、Slow&Fastモーション、記録コマンド、タイムコード、オーディオの入力チャンネル、HDMI出力、強制冷却ファン、各種LED表示、メニュー設定保存などの設定項目があります。

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