そこで、あらためてマニュアルを調べた結果わかったことをまとめます。
XF400での外部収録時の制限
XF400/405の記録設定には次のふたつがあります。
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本体記録優先
カメラ本体(メモリカードスロット)と外部レコーダーの両方で記録できる。
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外部記録専用
本体には録画せず、外部レコーダーのみで収録。
XF400はHDMI出力のみ、XF405ではSGI端子も利用できる(ただしFHDのみ、4Kは不可)
カタログスペック等では外部出力専用に設定すると4:2:2 10bit出力可能と表記されているので、てっきり4Kでも使用できるものと思い込んでいましたが、実際には10bit出力ができるのはFHDのときだけでした。
そこでマニュアルを改めて調べたところ、意外なことがわかりました。
4Kだと本体収録優先も外部専用も仕様は同じ
XF400/405の信号出力形式については、マニュアルの132~133ページにまとめられています。
それによると4K収録時に外部レコーダーで収録できるのは、本体記録優先時も外部記録専用時も、同じ4:2:2 8bitだったのです。
しかも注意書きをよく読むと、59.94fpsのときは4:2:0 8bitになるそうです。
今回59.94fpsで撮ることは考えていないんですが、ひとことでいうとちょっとがっかりでした。
Web情報やカタログでは、外部記録専用にすることで本体記録優先時(での外部記録)より画質面でアドバンテージがあるように読めます(少なくとも私はそう理解してた)が、実際には外部記録専用にしたからといってアドバンテージはないわけです。
もちろんこれは4Kでの話で、FHD収録の場合は外部記録専用にすることで4:2:2 10bit収録が可能になります。
が、4K撮影をメインにしようとしているユーザーにとっては、あまり意味がないことでした。
4K撮影なら、本体記録優先モードで充分
ただし、この差別化は単純にがっかり、失望というわけでもありません。
というのも本体記録優先というのは、ビデオカメラ本体のメモリカードに収録しつつ、外部レコーダーでも収録するわけですから、収録データのバックアップという意味では保険がかけられるわけです。
これが外部記録専用だとカメラ本体での収録はしないので、万一外部レコーダーにトラブルが起きると、データがまったく残らない可能性もあります。
いっぽう、本体記録優先にしておいて、さらにふたつのメディアスロットを同時記録にすれば、メディアスロットAに対して、メディアスロットBと外部レコーダーのふたつのバックアップを確保できることになります。
これは安心感の面でとても大きいのではないでしょうか。
外部収録と本体収録の画質の違い
もちろん、本体メディアスロットでの収録と外部レコーダーでの収録はまったく同じではありません。
外部レコーダーは4:2:2 8bitなのに対して本体メディアスロットのほうは4:2:0 8bit収録なので、画質からいうと外部レコーダーが本命で、本体収録のほうがむしろ抑えとなります。
つまり4Kでの外部記録は10bitでこそないものの、それでもビデオカメラ本体での収録より画質面にアドバンテージはあるわけです。
また長時間録画のことを考えると、本体メディアスロットはA、B同時記録ではなく連続記録のほうが実用的かもしれません。使えるメディアの容量しだいというところです。
外部収録は10bit出力あってこそ活きる
そんなわけで、4Kでの4:2:2 10bit収録は画に描いた餅というよりはただの思い込みでした。
ちょっと頑張って外部レコーダーを買えば超高画質収録できるよ、とお気楽にお薦めすることもできなそうです。
たぶん、素材フッテージを切ってつなぐだけの単純な編集ならカメラ収録の4:2:0 8bitで充分でしょう。
わざわざ外部レコーダーで収録するのは意味が薄いかもしれません(要はコストパフォーマンスが低い)。
一方、多少なりともグレーディング/カラーコレクションするなら(たとえば、マルチカメラでの色合わせとか)なら4:2:2 8bitの意味がでてきそうです。
もちろん、これはXF400の仕様では外部レコーダーの魅力をあまり引き出せないということであって、ATOMOS NINJA V自体の評価とは関係ありません。
ただ、4Kで4:2:2 10bitを出力できるカメラのほうが、ATOMOS NINJA V
- XF400での4K収録では外部録画のメリットをあまり引き出せない
- 4Kなら本体記録優先、外部記録専用どちらも4:2:2 8bit収録
- 画質が同じならカメラ側をバックアップに使える本体記録優先のほうが有利