はクリップボード履歴と定型文入力のふたつの機能をもつフリーソフトです。
ふだんはWindowsのシステムトレイに常駐し、ポップアップメニューやキーボードショートカットですぐに呼び出せます。
クリップボードの機能を拡張してより使いやすくすると同時に、メールその他の文書作成、データの加工などにも使える多用途ツールです。
この記事の目次
Cliborの2大機能
Cliborの機能は大きくふたつに分けられます。
クリップボード履歴
クリップボード履歴はワープロや表計算ソフトなどのアプリケーションで切り取りやコピーコマンドを実行したときにクリップボードに転送される文字列を自動的に記録する機能です。
ふだん何気なく使っているコピー&ペースト機能は、クリップボードという場所にいったん文字列を保存しておいて貼り付けを行います。このためクリップボードに文字列が残っている間は同じ文字列をなんども繰り返して貼り付けることができます。
しかし、次に別の文字列をコピーすると(クリップボードに保存すると)もう前の文字列は消えてしまうので、貼り付けることはできません。もし貼り付けたいなら、コピーからやり直すことになります。
これに対しクリップボード履歴は、コピーされた文字列をいくつも溜めておけるので、その中からどれかを選んで貼り付けできます。
Cliborのクリップボード履歴は文字列を最大1万件まで記録できます(初期設定では108件までです)。
また、ふつうのクリップボードはパソコンの電源を切ると内容が消えてしまうのに、Cliborに記録した履歴は電源を切っても消えません。前日どころか数日前の作業でコピーした文字でも、すぐに貼り付けできます。
Windowsのクリップボード履歴との違い
Windows10でも2019年5月のアップデートからクリップボード履歴が使えるようになりました。
Windows10のクリップボード履歴で最大の特徴は画像を使えるところでしょう。履歴の中から画像を見分けられるように縮小イメージ(サムネイル)を表示できます。
しかし、サムネイル表示のスペースを確保するためにひとつひとつの履歴アイテムが大きくなってしまうため、いちどにたくさんの履歴を表示することができません。
これに対しCliborのクリップボード履歴はテキスト(文字列)専用です。文字しか表示できない代わりにたくさんの履歴を表示できます。
また、タブを切り替えることでより多くの履歴アイテムを表示したり、検索コマンドを使って目的の文字列を探せるなど、文書作成により適したものになっています。
そのほかに履歴アイテムの行頭に連番や記号を挿入する、半角/全角などの文字種変換を行うといった機能も備えているので、テキスト整形ツールとしても利用できます。
定型文入力
もうひとつの機能は定型文入力です。時候の挨拶、会社名や住所のように何回も繰り返して使うデータや文章をあらかじめ登録しておくことで、すばやく入力できます。
登録しておいた定型文から貼り付けたいものを選ぶと、まずいったんクリップボードにコピーされ、そこからペーストコマンドを使ってアプリケーションに貼り付けます。
もちろん、いったん貼り付けたあとも定型文はもとのところにちゃんと残っているので、なんどでも繰り返して利用できます。
また、クリップボード履歴と定型文機能は連携しているので、ワープロで作った文章をコピーしてクリップボードに記録されたら、そこから定型文に登録することができます。
インストール/アンインストール・起動
Cliborにはインストーラがありません。ダウンロードしたアーカイブファイルを展開し、実行ファイルclibor.exeを実行するだけですぐに利用できます。
ソフトの性格上、いつでもすぐに呼び出せるようにスタートアップフォルダに登録して、Windowsの起動と同時に常駐するようにしておくといいでしょう。
インストーラを使用しないのでレジストリに情報を保存することはありません。不要になったらCliborのフォルダごと削除してください。
Cliborの基本的な動作
Cliborのクリップボード履歴に文字列を記録するには特別な操作はいりません。ふつうに文字列の切り取りやコピーを行えば、クリップボードに転送された文字列をCliborが自動的に取得して履歴に記録します。
Cliborに記録した履歴を使って貼り付けを行うには、Cliborのリストを開いてアイテムを選択します。選択したアイテムはWindowsのクリップボードへ転送されるので、あとは[貼り付け]コマンドを使ってアプリケーションにペーストします。
定型文を挿入する場合も基本的には同じです。Cliborのリストをクリップボード履歴から定型文に切り替えると登録してある定型文の一覧が表示されるので、リストから選択してクリップボードから[貼り付け]を行います。
アイテムの選択~クリップボードへの転送には次の3つの方法があります。
-
マウスを使って直接クリックする
-
上下の矢印キーで選択→【Enter】キーでクリップボードへコピー
-
アイテムに割り当てられた数値/アルファベットを入力する
初期設定の状態では、クリップボード履歴のリストには36件のアイテムを表示可能です。36件以上の履歴が記録されているときは、ページの切り替えコマンドでリストを切り替えます。ページは3つで、最大108件の履歴を扱うことができます。
ページを切り替えるには履歴アイテムリスト上を右クリックして、コンテクストメニューの[ページ切り替え]からページを選びます。
Cliborの呼び出し方
履歴/定型文を貼り付ける場合
クリップボード履歴や定型文を貼り付ける場合は、Windowsのシステムトレイに常駐待機しているCliborのアイコンをマウスの左ボタンでクリックしてアイテムリストを呼び出します。
キーボードショートカットで呼び出す場合は、【Ctrl】キーを2回連続で押します。
設定画面やその他のコマンドを呼び出す場合
システムトレイアイコンを右クリックするとコンテクストメニューがポップアップします。設定画面の呼び出し、履歴やクリップボードのクリア、動作モードの切り替え、テキスト整形機能のカスタマイズ、登録済み定型文の編集などを行うことができます。
また、クリップボードの監視(履歴の登録)を一時停止することもできます。
クリップボード履歴の管理
クリップボード履歴の中からいらないものを削除したり、履歴すべてを削除することができます。
履歴アイテムを削除する
すべての履歴を削除する
システムトレイに常駐しているCliborのアイコンを右クリックし、ポップアップメニューから[履歴をすべてクリア]を実行します。
まとめ
Cliborの概要と履歴の基本的な操作についてご紹介しました。
Windows10のクリップボード履歴はなかなか便利ですが、表示数が限られているといった制約もあります。もっと本格的にクリップボード履歴を使いこなしたいと考えているならCliborを試してみる価値は充分あるでしょう。
テキスト編集や整形が主体の人にはお薦めです。
また、Windowsのクリップボード履歴とも併用できるので、テキストと画像それぞれ状況に応じて使い分けるのもいいと思います。
ただし、今回紹介したのはあくまで基本機能です。ほかにもFIFO/LIFOモードや履歴/定型文の検索、引用記号の挿入、文字種変換、除外リストや監視ウィンドウの指定など便利な機能がたくさんあります。これらについてはまた改めて紹介します。