UVC-02という製品。
ちょっと見逃していましたが、じっくり調べるとなかなかおもしろいプロダクトだったので紹介します。
この記事の目次
Webプレゼンテーションドックってなんだ?
上の写真(公式サイトからお借りしました)で、ノートPCの手前にある小さい箱がUVC-02です。ちょうどタッチパッドと同じくらいの面積ですね。
Webプレゼンテーションドック(Web Presentation Dock)というキャッチコピーがついていますが、これがちょっとピンと来ない人も多いんじゃないでしょうか。
しかし、商品概要を詳しくチェックしていくと、なるほどこういうコピーを付けた理由が納得できました。
映像キャプチャー&音声入力をワンボックスに集約
この製品、簡単にいうとビデオキャプチャーボックスとUSBオーディオインターフェイスが合体した製品です。
つまり、これにカメラとマイクをつないでパソコンにUSB接続することで、映像と音を取り込みます。
オンライン会議やライブ配信をノートパソコン内蔵のカメラ&マイクに比べて数ランク引き上げてくれるプロダクトというわけです。
いまではキャプチャーボックスが劇的に安くなっているのでコストパフォーマンスの点で抜きんでているとはいえませんが、キャプチャーボックスとオーディオインターフェイスが一体なので、それぞれ別に買うよりコンパクトにシステムを組めて、セッティングが手軽になるのもメリットです。
カメラ音声、マイク、AUX入力の3つのオーディオソース
AUXやMIC、MONITOR OUTといったノブがあるので、見た目は簡易型のオーディオミキサーっぽいですね。
実際そのとおりなんですが、そのほかにHDMIノブもあるので、HDMI機器からの入力も可能だとわかります。
バックサイドをみるとHDMI入力端子がひとつありますね。
というわけで、HDMI接続のカメラ(ビデオカメラ、コンパクトデジカメ、ミラーレスカメラなど)を接続できるようになっています。
つまりカメラ1台を接続できるキャプチャーボックスとマイク入力、AUX入力を備えたオーディオインターフェイスの合体というわけです。
AUX入力端子はスマートフォンやオーディオプレーヤーからのBGM再生などに使えます。
中段右側のふたつのノブを見るとH.MICとPHONESになっているので、ヘッドセットも接続できます。
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カメラ1台をHDMIで接続
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XLR端子のマイク1本とカメラの音声をミックス
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AUX入力でBGM再生などにも対応
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ヘッドセットのマイクも利用可能
さらにエコーキャンセルやノイズリダクション、ディエッサー、イコライザーといった音質改善機能や、ワンタッチでマイクをオフにするミュートボタンなども備えているので、PC内蔵マイクより格段にハイクォリティーな音声を実現します。
画質アップ&カメラアングル自在
HDMI端子でビデオカメラやミラーレスカメラを接続することで、映像のクォリティもノートパソコン内蔵カメラやWebカメラよりはるかにあがります。
さらに重要なのが、カメラアングルを自在に設定できることです。
ノートパソコン内蔵カメラだと、画面を見やすくしたときにカメラのアングルがうまく決まらないといったことがよくありますが、カメラを三脚にセットすることでアングルを自在に設定できます。
もちろん、レンズの画角を自由に選んだり高精度のオートフォーカスが使えるといった点も魅力です。
マイク入力は3ピンのXLR端子(通称キャノン端子)なので、本格的なマイクを使えます。
背面スイッチでは+48Vのファンタム電源にも対応しているので、コンデンサーマイクの接続も可能です。
UVC-02に直接セットできる専用のスタンド型マイクCGM-30も発売されるのでぜひチェックしておきましょう。
マイクをセットすると、放送局のスタジオ機材っぽくなりますね。
手持ちで使えるマイクがない、あるいは専用マイクまで買う予算がないばあいでも、カメラの内蔵マイクが使えます。
ただし、カメラ内蔵マイクだと、セッティングによっては口元からかなり離れてしまうので、部屋の空調音などノイズが入りやすくなります。またカメラのオートフォーカス駆動音を拾ってしまう可能性もあります。
なので、できるだけUVC-02に接続できるマイクを用意しましょう。
でないと、せっかくUVC-02を導入するメリットが薄れてしまいます。
ひとつ残念なのは、XLR端子のみで標準フォーンジャックが用意されていないので、マイクの選択肢が少し限られてしまう点です。
もう少し価格があがってもいいので、XLRと標準フォーンジャックが合体したコンボジャックにしてくれたらよかったのに、と思います。
マルチカメラへの発展も可能
この製品はHDMI端子がひとつなので、基本的にはひとりでカメラ一台を使うことを想定しています。
そういう意味では、多人数出演の配信番組ではなく、メーカーの宣伝文句どおりWeb会議を高画質・高音質化したい方のための製品です。
最近ではガジェット系YouTuberなどでもマルチカメラ・マルチアングルでいろんな角度から製品を紹介する方が多いので、そいういう用途にはもの足りないと感じる方がいるでしょう。
しかし、UVC-02はそれだけではありません。
実は、iPadと専用アプリAeroCaster Switcherを組み合わせることで、ワイヤレスで最大4台のカメラを接続できるようになっています。
本体接続のカメラと合わせて5台まで拡大できるものと思われます。
もちろんカメラの切り替えはiPad上のアプリで行います。
AeroCasterとの違いは?
すでに紹介したAeroCasterより、UVC-02のほうがひと先に発売されます。
先にAeroCasterに注目していたこともあってどうしても比較対象とみてしまうわけですが、違いはどこにあるでしょうか?
まず、AeroCasterはパソコンなしでライブ配信できるところが特徴です。
一方、UVC-02はパソコンが必須です。
またAeroCasterにはピクチャーインピクチャーやトランジションなどの機能があり、番組制作的な使い方に適しています。
一方、UVC-02のほうにはそういう機能はなく、パソコン上のライブ配信アプリケーションに任せることになります。
メーカーではUVC-02をWeb会議用のツールと位置づけていて、公式サイト上でも、
いつものWeb会議やプレゼンテーションを高品質の映像と音声で届ける
というキャッチコピーが付いています。
そういう意味でWeb プレゼンテーション ドックなんです。
とはいっても、OBS Studioのようなアプリケーションを使いこなせる人であれば、本格的な番組ライブ配信にも充分使えるはずです。
UVC-02を選ぶポイント
さらにAeroCasterにはない特徴として、HDMI端子を備えているという点は重要です。
AeroCasterはすべてのカメラをスマートフォンで賄える手軽さの一方で、それ以上のクォリティへグレードアップすることができません。
今のスマートフォンは充分高画質だから関係ないと思うかもしれませんが、広角レンズにはない自然なパースペクティブ感や大口径レンズを使った背景のぼかし、単純な画素数以外にも画質、というより視聴者に与える印象を左右する部分はあります。
敢えて言えば画質というより番組自体の質を引き上げてくれるというところでしょうか。
みんながスマートフォンのカメラで配信する中、ひと味違うクォリティの高い映像で目を惹きたかったら、あえてUVC-02をチョイスするというのも充分ありなのです。
その上でマルチカメラが必要になったらAeroCaster Switcher Appを導入してパワーアップできますし、将来予算ができたら、BlackMagic DesignのATEM Miniのようなカメラスイッチャーを追加してもっと本格的に展開することもできます。
クォリティや発展性を求める人に
ごらんのように、AeroCasterとUVC-02ではかなり明確にターゲットが分けられています。
AeroCasterは、出演者が複数だったりマルチカメラが必要だけど、配信機材のセットアップはなるべく手軽にしたい人向け。
それに対し、UVC-02
また、配信に限らずPodキャストの番組制作や動画編集の補助機材(ナレーション収録など)といった使い方もできます。
ご自分の用途、将来の発展性などに合わせて検討してみてください。
UVC-02をオススメしたいのはこんな人
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内蔵カメラにはできないカメラアングルで配信したい方
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機材に詳しくないので手軽に済ませたい方
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カメラ一台でのひとり喋り番組を作りたい方
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ゆがみのない自然なパースやボケ味など、レンズ交換式カメラのメリットを活かしたい方
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