パッチメモリーが搭載されています。
パッチメモリーを使うことで、複数のエフェクターの組み合わせを登録し、そのセットを切り替えて使うことができます。
もちろん、ユーザーが独自のパッチメモリーを作成することも可能です。
この記事の目次
パッチメモリーとは
パッチメモリーは、ZOOM H8に搭載されている個々のエフェクトを組み合わせて登録したものです。
エレキギター用のエフェクターとアンプのセットだけでなく、エレクトリックベース用のセット、トランペットやサックス用のセット、ヴォーカル用のセットなどがあらかじめ用意されています。
個人的に特に魅力なのが、定番アコースティックギターの"鳴り"をシミュレートするエフェクトや、ボーカル用などのエフェクトがいくつか搭載されているところ。
アコギ用エフェクターはいまところ所有していないので、H8で試せるのは魅力ですね。
パッチメモリーは、H8本体上で切り替えて使用するほか、エフェクトの調整も可能です。
さらにパソコン用アプリGuitar Labを使うことで、デフォルトとは違う設定に変更したり、ユーザーが自分で組み合わせたパッチメモリーを登録できるようになります。
生ギターや管楽器もカバーする豊富なパッチ
H8にプリセットされているパッチメモリーを紹介します。
おもにエレキギター用ですが、アコギ向けのものもあります。
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MS Higain
マーシャル MS-800を使ったスタンダードな歪みサウンド。 -
DZ Drive
DZ DRVを使ったハイゲインサウンド -
Deluxe CRNCH
FD DLXRを使ったクランチサウンド -
A Wah
UK30AとAuto Wahを使ったオートワウサウンド。 -
POP Chorus
Chorusとコンプを組み合わせた、ポップスにピッタリのカッティングサウンド。 -
LusAcoust
ChorusとPlateを組み合わせ、広がりのある残響音を加えたアコースティックギターサウンド。 -
MatchClean
MATCH30を使ったスタンダードなクリーンサウンド。 -
ORG Glory
ORG120を使ったブリティッシュロックに最適なクランチバッキングサウンド。
ベース用(09~16)
エレクトリックベース用のサウンドです。
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Ba SansCLN
Bass DRVを使用した太いクリーンサウンド。 -
Ba MXClean
D.I. Plusを使用したタイトなクリーンサウンド。 -
BaDarkCRNC
Dark Preを使用したクランチサウンド。 -
Ba A Wah
ファンクに最適なオートワウサウンド。 -
Ba AMPG
AMPG SVTとSVT8×10を使用した基本サウンド。 -
Ba BMAN
BMAN100とFD-B4×12を使用した基本サウンド。 -
Ba SMR400
SMR400とSMR4×10TWを使用した定番のドンシャリサウンド。 -
Ba AG750
AG 750とAG4×10TWを使用した基本サウンド。
アコースティック(17~24)
生ギターの鳴りを再現するものから、バイオリンやサックスまで含まれています。
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AG D-28
アコースティックギターの基本スタイルであるMartin D-28サウンド。 -
AG J-45
ストロークに適した乾いた音が特徴のGibson J-45サウンド。 -
AG Singer
バランスの取れた音色でストローク、フィンガーピッキングでの歌のバックに適したサウンド。 -
AG HardCOMP
コンプレッサーを効果的に使ったバンドの中でも埋もれないサウンド。 -
Hm Juke
Hm Bulletを使った王道アンプリファイドハープサウンド。 -
Vn Orcchest
1人でもオーケストラのような重厚なサウンドに。 -
TP T.Brass
トランペット2本土ダビングしたようになめらかなコーラスと包み込むようなリバーブが相まって、カフェミュージックのような心地よいサウンドが得られる。 -
Sas forAlla
ライブ、レコーディングのサックスの基本の音はこれで決まり!
ボーカル(25~32)
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Vo Lead
リードボーカルに最適化されたブライトなサウンド。 -
Vo Warm
声の厚みを強めるウォームなボーカルサウンド。 -
Vo Double
同じフレーズを複数回重ねて歌ったようなダブルトラックサウンド。 -
VoEnsemble
オクターブ下を重ねたアンサンブルサウンド。 -
VoSlapBak
ボーカル用コンプに短めのディレイを組み合わせたサウンド。 -
Vo Echo
バラード向けのロングエコーサウンド。 -
Vo Radio
楽曲へのアクセントの付加に有効なラジオボイスサウンド。 -
Vo Drive
オーバードライブエフェクトで歪ませたボーカルサウンド。
センド(33~40)
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Send Hall
強めの反射を持つ小ホール。 -
Send Hall2
落ち着いた反射の中ホール。 -
Send Hall3
初期反射時間と減衰が長い大ホール。 -
Send Room1
空気感をシミュレートしたルームリバーブ。 -
Send Room2
部屋なりをシミュレートしたルームリバーブ。 -
Send Room3
タイル張りの反射をシミュレートしたルームリバーブ。 -
SendPlate1
減衰の短いプレートリバーブのシミュレーション。 -
SendPlate2
減衰の長いプレートリバーブのシミュレーション。
空白のパッチメモリー(41~50)
41~50番は空白なので、ユーザーが自由にカスタマイズできます。
パッチメモリーを使えるアプリ
ZOOM H8はレコーディング専用の小型コンピューターのようなもので、用途に応じてアプリを切り替えて使います。
野外での音声収録用のフィールド、楽器演奏収録用のミュージック、ネットラジオなどの番組制作向けのポッドキャストの3つのアプリがあります。
このうち、パッチメモリーを利用できるのはミュージックとポッドキャストのふたつです。
また、アプリのほかに、H8をパソコンにつないで使うためのオーディオインターフェイスモードと、GuitarLab接続専用のモードがあります。
ライブ配信に注意
3つのアプリはどれもH8単体でのレコーディング用です。
それに対しオーディオインターフェイスモードでは、H8をパソコン用のオーディオインターフェイスとして利用することで、複数のマイクや楽器を接続してPC上のDAWで録音/再生したり、ライブ配信を行うこともできます。
ただし、オーディオインターフェイスモードでは、エフェクトが使えません。
H8上で楽器にエフェクトをかけて、そのままそれをライブ配信するような使い方はできないということです。
H8にはアコースティックギター用のエフェクト(有名なギターの鳴り方をシミュレートする)もあるので、弾き語り生配信などに使ってみたくなりますが、その場合、H8はミュージックまたはポッドキャストアプリを使い、もうひとつオーディオインターフェイスを使って接続する必要があります。
実際の配線例
ライブ配信向きの定番インターフェイス、ヤマハAG03とH8をつなぐ場合の例を紹介します。
ZOOM H8のLINEOUT端子から、AG03のCH2/3(楽器用のステレオ端子)に接続します。
H8側はステレオミニプラグ、AG03側は標準のモノラルフォーンプラグ2本の分岐ケーブルを使用します。
AG03のAUX端子を使えば、ステレオミニーステレオミニケーブルでの接続も可能ですが、この場合音量の調整ができません。
楽器用のフォーンジャック経由で入力すれば、AG03側でゲインコントロールができるので、この方法をオススメします。
H8にオーディオインターフェイスを追加するなら
このように、H8のエフェクト/パッチをライブ配信に使いたいなら、H8はミキサー用途に割り切って、別途PC接続用のUSBオーディオインターフェイスを用意する必要があります。
そのとき重要なのは、ステレオ入力が可能なUSBオーディオインターフェイスを選択することです。
低価格なUSBオーディオインターフェイスの中には、ギターとボーカル用にそれぞれモノラル入力がひとつづつといった製品もありますが、これだとマイクや楽器をたくさん繋げるH8のメリットが薄れてしまいます。
とくにH8付属のXYステレオマイクXYH-6を活かしたステレオ配信がしたかったら、ぜひステレオのライン入力ができるものを用意しましょう。
ざっと調べてみましたが、低価格なものだとM-AudioのM-Track Soloなら、Line1とLine2を組み合わせたステレオ入力が可能なようです(その場合、マイク入力はH8側になるかと思います)。
マイクもつないでさらにフェーダーやミュートが必要だったら、もう少し高い機種を選ぶ必要がありますね。
H8活用の幅を広げよう
今回は、H8のエフェクト/パッチをライブ配信に活かすならという、ちょっと特殊な前提での紹介でしたが、ふつうにライブ配信を考えるならもっとほかの組み合わせももちろんあります。
とはいえ、せっかく入手したH8の機能をフル活用してみたいということで紹介してみました。
個人的にはアコギ用エフェクターを使ったライブ配信なんかいずれ試してみたいなと思っています。