メカニカルキーボードが気になりだしていろいろ調べていたら、先日紹介したLogicoolやFilcoのほかにもいろいろあることが判ってきました。
その中でも目に付いた国内メーカーの製品があったので紹介します。
この記事の目次
ステーショナリーを追求するキーボード
メカニカルキーボードを調べはじめた頃には圧倒的ラインナップを誇るFilcoの影に隠れて気づかなかったのですが、そのうちアーキサイトという会社のアーキス(Archiss)というブランドが気になってきました。
日本国内で企画し台湾で生産したキーボードを販売しているようです。
最上位モデルのMaestro(マエストロ)と、ProgresTouch(プログレタッチ)の2シリーズを展開。どれもCherry MXシリーズのスイッチを採用し、いろんな軸から好みのものを選べます。
Maestroシリーズは昔のオフコン(オフィスコンピューター、企業で導入する事務処理用のコンピューター)を思わせるようなカラーリング。それに対してProgresTouchシリーズはブラックの精悍な印象です。
価格も安いのでProgresTouchに的を絞って調べてみました。
ProgresTouchシリーズの特徴
- 定評あるドイツZF Electronics社製Cherry MXシリーズスイッチを使用
- 摩耗に強く刻印が消えない2色成形キーキャップ
- タイピングの負担を減らすステップスカルプチャー構造
- 耐久性の高いガラスエポキシ2層基板
- 安定した打鍵を可能にするがっちりした鉄製シャーシ
- キーカスタマイズが簡単なDIPスイッチ
- ゲームでの高速入力にも耐えるNキーロールオーバー
- 着脱式のUSBケーブル
- USB、PS/2両対応接続
Cherry MXシリーズのスイッチをはじめとして、Nキーロールオーバーや、ステップスカルプチャーなどメカニカルキーボードによく見られる基本的なスペックはきちんと押えています。
その上で、しっかりした鉄製シャーシで打鍵が安定している点や、キートップの印字がすり減らない2色成形キーキャップ、キーの入れ替えが簡単にできるDIPスイッチの採用などが特徴といえるようです。
その一方で、鉄製シャーシのため重たく、コンパクトモデルでもモバイル用途での持ち歩いての利用には向きません。
また、ゲーミングキーボードのようなLEDの派手な演出がないこと、Bluetooth接続モデルがないことなどは、人によって評価が分かれるポイントでしょう(私個人としてはこのふたつはまったく不要なので、減点にはなりません)。
ProgresTouchシリーズのラインナップ
ProgreTouchシリーズはフルサイズのProgresTouch RETRO、テンキーレスのProgresTouch Retro TKL、コンパクトサイズのProgresTouch RETRO Tinyの3モデル展開で、それぞれ日本語JIS配列と英語ASCII配列が選べます。
各タイプを見ていきましょう。
ProgresTouch RETRO
タイプライタキーに加えてテンキーやファンクションキーを備えたフルサイズキーボード。
日本語JISモデルは右側の【Win】キーがない108キー、かなキーの印字はありません。英語ASCIIモデルは104キーです。
ファンクションキーを利用したメディア再生や音量調整が可能。
またUSB接続ケーブルの取り回しに便利なケーブルガイド(配線用の溝)を備えています。
キースイッチは、黒軸、茶軸、青軸、赤軸、静音赤軸(ピンク軸)の5タイプから選べます。
付属品としてUSBケーブル、USBからPS/2への変換コネクタ、交換用のキートップ4つ、キー交換用の引き抜き工具が同梱されます。
交換用キートップはDIPスイッチで【Ctrl】と【CapsLock】、【Win】と【Alt】をそれぞれ入れ替えたときに、視覚的にもわかるようにキーを入れ替えてしまうものです。
ProgresTouch RETRO TKL
数字入力用のテンキーを省いてコンパクト化したモデル。
日本語JISモデルは91キーでキートップのかな印字はなし。英語ASCIIモデルは84キーです。
サイズの違い以外はフルサイズモデルと同じ、といいたいところですがキースイッチのラインナップだけなぜか違い、TKLでは高速タイピングに適したシルバー軸が選べます。
高速入力にこだわるならテンキーを諦めるしかありません。
付属品はRETROと同じです。
ProgresTouch RETRO Tiny
ファンクションキーや【PageUp/Down】、【PrintScreen】、【ScrollRock】などの使用頻度の低いキーを省略して、テンキーレスのTKLよりさらにコンパクト化したモデル。
とはいっても4方向の矢印キーと【Ins】、【Del】キーのふたつは残してあります。キーピッチ(キー同士の中心間隔)も19mmで、ふつうのキーボードと変わりありません。
省略したキーは【Fn】キーとほかのキーとの組み合わせで使用できます。
【Fn】キーの位置はスペースキーの右側に配置されています。
図の黄色いキーが【Fn】キーで青が【Fn】キーと組み合わせて使うキーですね。
日本語JISモデルは70キーでキートップのかな印字はなし。英語ASCIIモデルは66キーです。
キースイッチはテンキーレスモデル同様に6種類。高速入力向きのシルバー軸が選べます。
DIPスイッチによるキーカスタマイズ、交換用のキーキャップももちろん付属します。
Tinyならではの特徴として、半角/全角【E/J】キーと【Esce】キーの反転機能があります。
日本語入力のオン/オフでは半角/全角キーをよく使いますが、コンパクト化を図ったTinyでは【1】キーの左側が【Esc】キーになっているので、半角/全角を入力するのに【Fn】キーと【Esc】キーを同時に押す必要があり、多少不便です。
そこで【Fn】キーと【Q】キーを同時に押すと、【Esc】と半角/全角の機能を入れ替えられるようになっています。
ふたつのモードの切り替えは【Ins】キーの下にあるLEDの点灯/消灯で確認できます。
MaestroよりモダンなルックスなのになぜRETROなの?
前に触れたとおり、最上位モデルのMaestroは私の目には古いオフコンっぽい印象でちょっと古くさく見えます。それに対しProgresTouchはモダンでシャープなルックスに思えるのですが、なぜかRETROというネーミングです。
なぜそうなのか最初はわからなかったんですが、スペックを見ているうちになんとなくこれが理由だろうというところに思い当たりました。
それは2色成形キーキャップです。
理由は手の込んだ2色成形キートップ?
ProgresTouchのキートップの文字は印刷ではなく、ふたつのパーツでできています。白いキートップの上に黒いキャップがかぶせてある2重構造なんですが、外側の黒いキーのほうでキーの刻印にあたる文字の部分が実はくり抜かれていて、下にある白いキートップのほうがそこから見えているという手の込んだ作りになっています。
この構造だと印刷じゃないので長年使っているうちにかすれてくるなんてことはありません。
そして実はこの2重構造は、昔のオフコンやパソコン用キーボードに使われていたものです。なのでそこをさりげなくアピールするために、一見ちぐはぐなRETROというネーミングにしたのでは?と思っています。
ちなみに、メカニカルキーボードのスペックにはよく出てくる「ステップスカルプチャー」という階段状のキー配列構造も、昔のパソコンのカタログにはキーの打ちやすさをアピールする要素としてよく登場していました。
派手な演出は不要、シンプルな書く道具が欲しい人に
以前の記事でも書きましたが、一時に比べてメカニカルキーボードが目立つのに気づいたのはゲーミングキーボードが店頭に並んでいたからです。
ゲーミングキーボードのいかにもメカニカルスイッチらしいタッチは気に入ったものの、LEDの派手な演出はじゃまだなぁと思って探してみたら、Filcoと今回のArchissブランドに行き当たりました。
しかもArchiss公式サイトには「ステーショナリーとしての素晴らしさを追求する、ARCHISSキーボード」という言葉が並んでいて製品作りへのこだわりが感じられました。
ブログやネットショップでのレビューを見ても、FilcoのMajestouchシリーズより評価する声も見受けられます。
めまいがするほど豊富なラインナップを誇るMajestouchシリーズに比べると控えめで地味めすが、その分選びやすいのも利点といえるかもしれませんね。
シンプルな執筆の道具こだわるならArchissのProgresTouchはぜひチェックして欲しいキーボードです。
ProgresTouchシリーズは、こんな方にお薦め
- 書くこと(タイピング)に集中したい方
- CtrlキーとCapsLockの交換などカスタマイズできるキーボードがほしい方
- 長く使えるしっかりしたキーボードがほしい方
ProgresTouchシリーズをお薦めしないのはこんな方
- モバイル機器用に持ち歩きたい方
- Bluetooth接続したい方
- かな入力でキートップにかなの刻印が必要な方
- LEDの派手な演出やカラフルな外見を重視する方
使用感をレポートしているのでそちらもご覧ください。
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