IPストリーミングという機能があります。
リモート会議やオンラインイベントで活躍するIPストリーミング機能の使い方について解説します。
XF400のファームウェアをVer.1.0.4にアップデートしたところ、IPストリーミングを受信できなくなりました。
ただしOBS Studioでは受信できているので詳細は不明です。
2020.8.19
この記事の目次
LAN経由で映像を送る
IPストリーミングは、XF400/405、およびXF705に搭載されているイーサーネットポートを利用して映像を送る機能です。
同じLAN上に接続したパソコンを使って映像を再生するだけでなく、OBS Studioのような配信ソフトを使うことでYouTube LiveやFacebook Liveなどでライブ配信を行うことができます。
今回は借用しているカメラ(XF400)を使って実際にFacebook Liveでのテストを行った結果をもとに解説します。
圧倒的高画質でライブ配信
いまではスマートフォンで簡単にライブ配信ができます。
オンライン会議程度だったらノートパソコン内蔵カメラや外付けのWebカメラでも簡単です。
しかし、XF400のような業務用ビデオカメラが使えれば、大型センサーによる圧倒的な高画質に加えて高倍率のズーム、高精度のオートフォーカスなど段違いにクォリティの高いライブ配信が実現します。
大きな会場でのセミナーなどでは特に威力を発揮することでしょう。
高価なカメラはレンタルでOK
もちろん、たまにしか開催しないイベント、セミナーのために高価な業務用ビデオカメラを買うのはリスクがあります。
しかし、そこはレンタルでカバーすればいいのです。
設定方法さえわかっていればやり方は簡単なので、ぜひこの記事を参考にして高画質な配信にチャレンジしてください。
ストリーミングで注意すべき点
IPストリーミングの設定を紹介する前に条件を説明しておきます。
XF400/405でのIPストリーミングには次のような制限があります。
- カメラ本体での録画はできない
- LANへの接続は有線のみ
- 映像フォーマットは1920✕1080 59.94iのみ
カメラ本体での録画はできない
特に重要なのは、本体での録画機能が使えないという点です。この場合の”本体”とは、HDMIケーブル接続での外部レコーダーへの録画も含みます。
つまりLAN経由でのPC接続専用になってしまうという点です。
映像を記録として残したいときはパソコン上で録画する必要があります。
LANへの接続は有線のみ
XF400/405にはWi-Fi接続機能があり、カメラ本体をアクセスポイントとして利用することができます。
しかし、このアクセスポイントモードを利用するのは、スマートフォンをカメラのリモコンとして操作するブラウザーリモート機能のみです。
IPストリーミングを行うには必ずルーターと有線LANで接続する必要があります。
広い会場で使うにはそれなりの長さのLANケーブルを用意してください。
映像フォーマットは1920×1080 59.94iのみ
IPストリーミングで利用できる映像は、MPEG-4 AVC/H.264、59.94iのみとなります。
映像ビットレートは9Mbpsまたは4Mbpsから選べます。
音声はMPEG-2 AAC 2ch、ビットレートは256Kbpsです。
IPストリーミングのカメラ側設定
XF400/405には本格的な取扱説明書が付属していません。
PDFファイルをダウンロードして呼んでみましたが、ネットワーク接続に関する設定がすべて網羅されているため非常に錯綜していて、どこを読めばIPストリーミングの設定ができるのか判然としません。
ここでは、実際にテスト運用を行った結果に基づいて、手順を紹介していきます。
設定の概要
まず最初に、カメラのイーサネットポートとルーター(ハブ)をLANケーブルで接続しておいてください。
次にカメラの設定メニューでシステム設定の中のネットワーク設定から各種設定を行っていきます。
関連する設定は次のとおりです。
- 接続設定
- IPストリーミング設定
- 機能
1.はXF400/405をネットワーク機器として使うための基本設定です。
2.はIPストリーミング機能を使って映像・音声を送出するための設定。パソコン側との連携に必要な情報です。
1.と2.ふたつの設定が終わって準備が整ったら、最後に実際にIPストリーミングを開始するときに3.の"機能"で切り替えを行います。
"機能"は通常のビデオ撮影モードとIPストリーミングの切り替え、と思っておいてもらえばいいでしょう。
1.接続設定
カメラ(XF400)をネットワーク経由で利用するための設定を一括管理する場所です。
今回はIPストリーミングでの説明だけにとどめますが、そのほかにブラウザーリモートで使う場合の設定もここに登録しておきます。
設定は4つまで登録できるので、IPストリーミング用の設定をひとつ登録します。
場合によっては異なるIPストリーミング設定を複数登録することも可能です。
次の画像はすでに登録済みの設定を表示したところです。
設定の名称は任意に指定できます。
step
1接続設定を登録する
接続設定画面に入ったら、4つの設定(最初はすべて空白)のうちひとつを選んで設定を登録します。
最初の画面でSSID、認証/暗号化方式、パスワードと表示されていますが、これは飛ばして[編集]ボタンをクリックします。
以後はカメラの[SET]ボタンをプッシュするたびに、ステップバイステップで設定が進みます。
step
2 接続方式で「イーサネット」を選択
「接続方法を選択してください」という画面が出たら、”イーサネット"を選択します。
step
3IPアドレスをマニュアル指定
「IPアドレスの取得方法を選択してください」で必ず”マニュアル”を選択します。
step
4IPアドレス/サブネットマスクの登録
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、優先DNSサーバーの4つの項目があります。
このうち優先DNSサーバー以外の3つを指定します。
IPアドレス
使用したいLAN環境の中で、カメラに割り当てるIPアドレスを登録します。
LAN上の他のパソコン/ネットワークデバイスのIPアドレスを確認した上で、それらと同じにならないように値を割り当ててください。
今回は”192.168.0.100”を使用しました。
サブネットマスク
サブネットマスクは"255.255.255.0”を割り当てておけばいいでしょう。
デフォルトゲートウェイ
LAN全体を管理しているルーターのIPアドレスを指定します。
これはネットワーク管理担当者に尋ねるか、ルーターの説明書で確認しましょう。
今回は"192.168.0.1”でした。
"192.168.0.”で始まるグループの中でも、いちばんの上役にあたるルーターに1番が割り当てられています。
なので、先ほどのカメラのIPアドレスもこれに合わせて、"192.168.0.xxx”の中から番号を割り当てます。
使用しているルーターによっては"192.168.1.1"になっていることもあるので、取扱説明書で確認しましょう。
この場合、カメラも"192.168.1.xxx”を割り当てます。
以上の設定が終わったら、最後にネットワーク設定名をつけます。
設定名が"未設定”になっているので[編集]をクリックして、判りやすい名前をつけましょう。
ここで付けた名前が、接続設定名として表示されます。
以上で、ネットワークへ接続するための準備ができました。
IPストリーミング設定
次は、IPストリーミング機能を使うための設定です。
”システム設定”>”ネットワーク設定”の中から、IPストリーミング設定を選択します。
ここには次の7つの項目があります。
- ストリーミング出力信号
- オーディオ出力チャンネル
- 送信先IPアドレス
- 送信先Port No.
- プロトコル
- FEC Port No.
- FEC インターバル
ストリーミング出力信号
映像の出力信号を選択します。
1920×1080 59.94iは共通でビットレート9Mbpsと4Mbpsのどちらかを選びます。
9Mbpsのほうが高画質ですがその分ネットワークに負担がかかります。
映像が途切れたり遅延が発生するときは4Mbpsにしましょう。
オーディオ出力チャンネル
CH1/CH2とCH3/CH4のどちらかを選択できます。
ふつうはCH1/CH2のままでいいでしょう。
外部マイクなどでCH3/CH4を使用したいときのみ切り替えてください。
送信先IPアドレス
IPストリーミングでいちばん重要なポイントです。
ストリーミングの信号を受け取るパソコンのIPアドレスをここに登録します。
IPアドレスはネットワーク管理担当者に訊くか、コマンドを使って自分で調べましょう。
LANの設定やどのパソコンを使用するかによって変わってくるので、配信環境が変わったら必ず確認してください。
いろんな環境で配信を行う可能性があるなら接続設定の4つにそれぞれ異なる設定を行っておいて使い分けるのもいいでしょう。
送信先Port No.
初期設定は5000です。ふつうは変更する必要はありません。
プロトコル
UDP/RTP/RTP+FECのいずれかを選択します。
今回はUDPとRTPのふたつをテストしましたがどちらでも利用できました。
受信側のパソコンと統一する必要があるので、忘れないようにしましょう。
FEC Port No. / FEC インターバル
今回は使用していません。
IPストリーミング設定のポイントは、ストリーミング信号を受ける(ライブ配信する)パソコンのIPアドレスを調べておいてカメラに登録することと、プロトコルを統一すること、ポート番号を覚えておくことの3点です。
特にIPアドレスは、事前にパソコン側で調べておく必要があります。
以上でストリーミング配信の準備ができました。
機能をIPストリーミング用に切り替える
ここまでの設定は、いちどやっておけば次からは必要ありません(ただし、配信環境が大きく変わったときは別。LANの環境が変わった場合、IPアドレスの再設定が必要になります)。
あとは、機能の切り替えです。
通常のビデオカメラとして使うのか、IPストリーミング用として使うのかを選択します。
つまり切り替えが必要になったときに切り替えればいいのであって、IPストリーミングだけで使うのだったらここも毎回切り替える必要はいりません。
ただし、接続設定やIPストリーミング設定を修正したり追加したりするときは、いったんIPストリーミングをオフにする必要があります。
IPストリーミングに切り替える
”システム設定”>”ネットワーク設定”から機能を選びます。
ブラウザリモート/IPストリーミング/切の3つの項目があるので、IPストリーミングを選びましょう。
「本体記録できません」というメッセージを確認の上で[はい]をクリックするとIPストリーミングモードに切り替わります。
メニューを閉じると、液晶モニターの右側にストリーミングを示す黄色いアイコンが表示されています。
黄色はまだ通信が確立していない状態です。あとはパソコン側で受信の準備を行います。
パソコン側の設定も終わって実際にストリーミングでの送受信が確立されると、アイコンの色は白くなります。
いちどIPストリーミングの通信が確立されてしまえば、パソコンやカメラの電源を切っても次に接続したときに自動で再接続されるので手間は入りません。
ネットワークの設定を変更するときや、通常のビデオカメラとして使うときは、”システム設定”>"ネットワーク設定”>”機能”と進んで[切]を選択してください。
IPストリーミングを停止して通常のビデオカメラモードに戻るにはしばらく時間がかかります。慌てず少し待ちましょう。
パソコン側でストリーミングを受信する
ここまで来たら、次はパソコン側の設定です。
まず受信確認用としてVLC Media Playerというソフトをインストールしておきましょう。
優秀で高機能なメディアプレーヤーとして有名なソフトです。
VLC MediaPlayerを起動したら[メディア]メニューで[ネットワークストリームを開く]を選択します。
「ネットワークURLを入力してください」と表示されているところに次のように入力します。
udp://@:5000
もしビデオカメラ側でプロトコルを”RTP"にしておいたときはrtp://@:5000
にしましょう。
"5000"はカメラ側で設定したポート番号です。
プロトコルとポート番号を統一しておくことが大切です。
あとは[再生]をクリックすれば、カメラ側からのストリーミング信号がVLC MediaPlayer上に再生されます。
うまく再生できなかったときは、IPストリーミング設定を間違えていないか、機能の切り替えを忘れていないかを確認してください。
残るは配信ソフト側の設定
これでIPストリーミング機能を使えるようになりました。
あとは、実際にどのように利用するかの問題になります。
OBS Studioでライブ配信するなら、OBS Studioの映像入力ソースとして「映像キャプチャデバイス」の設定を行ってください。
長くなるので、ここでは詳しい説明は割愛します。
OBS Studioと並んでライブ配信用ソフトとして人気のXsplitでは設定方法がわからず、今のところIPストリーミングを利用できていません。
ビデオカメラを使ったライブ配信の方法はIPストリーミングだけではありませんが、XF400/405とXF705をすでに使っていて活用したいと考えている人はぜひこれを参考にチャレンジしてください。
次回は、ライブ配信用ソフトでの映像ソースの指定方法について紹介します。
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IPストリーミングを受信するためのOBS Studio側設定
前回の記事では、キヤノンの業務用ビデオカメラ(XF400)を使って、カメラの映像と音声をPC側に送るIPストリーミングの設定を紹介しました。 今回は、送られてきた信号を配信ソフトOBS Studioで ...
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IPストリーミング機能 - まとめ
- キヤノン製業務用ビデオカメラの上級機で利用できる
- LANケーブル接続で映像と音をパソコン側に送る
- カメラ側にネットワーク機器設定と送信設定、機能の切り替えが必要
- IPストリーミング使用中は、動画の録画ができない
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