タスクマネージャーの「パフォーマンス」では、パソコンがいまどのように動いているかを監視することができますが、Windowsにはそのほかにも監視専用のツールがあります。
この専用監視ツール「リソースモニター」の基本的な使い方について紹介します。
この記事の目次
リソースはパソコンが処理につぎ込める能力
高速なCPUがあれば処理が早く終了するし、メモリをたくさん積んでいればいちどに多くの処理ができます。高速なハードディスクがあれば読み出しや書き込みがすぐに終わるし、ネットワークの性能が高いと高画質な動画もスムーズに再生できます。
このように、パソコンが仕事をするために使ういろいろな機能あるいは能力のことをひリソースといい、どれくらいリソースを持っているかがパソコンの処理能力を左右します。
リソースというのは資源のことですから、CPUやメモリという資源をいっぱい持っているパソコンほど性能にゆとりがある、というイメージで捉えてもらってイイでしょう。
リソース使用状況は常に変化する
ちょっとたとえ話をしましょう。
会社で10人の社員がいるとします。
ある仕事Aを請け負ったとき、10人全員を投入することもできますが、そうなると別の仕事Bを引き受けることはできません。
そこで10のうちから5人を仕事Aに回し、残った5人を新しい仕事Bに回せば、ふたつの仕事を同時に処理できます。
あるいは仕事Aに7人を割り当てて、仕事Bには3人を回すこともできます。
7人で仕事Aが早く終わったら、仕事Bへ回してあとは10人全員で片付けることもできるし、次の仕事Cを受けることもできますね。
このばあい、10人の社員がリソースです。
請け負った仕事の内容に応じて最適な人数を割り振ることで、複数の仕事も同時に進めることができます。
パソコンのリソースもこれにちょっと似ていて、ある処理をしている途中にCPUの能力が余っていたら別の仕事を同時に行わせることができます。
また、ある処理でファイルの保存に時間が掛かっていたら他の処理でファイルを読み込みたくても待たされる、なんてこともあります。
このように、パソコンでも決まった量のリソースをいろんな処理にそのつど分配しています。
リソースモニターはパソコンの状態を監視する
パソコンの中ではいろんな処理が同時に動いているので、そのときCPUやメモリをどれくらい使っているかは常に変化しています。
それをリアルタイムで監視するのがリソースモニターというツールです。
タスクマネージャーでも「パフォーマンス」というタブで、CPUやメモリの利用率、ディスクの読み書き速度、ネットワークの通信量などを見ることができましたが、リソースモニターではそれをさらにパワーアップして、リソースの状態を細かくチェックします。
リソースマネージャーを起動する
リソースマネージャーを起動するにはおもにふたつの方法があります。
- スタートメニューの[Windows管理ツール]から起動
- タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブから起動
スタートメニューから起動する
タスクバーの[スタート]ボタンをクリックし[Windows管理ツール]を選択します。
サブメニューの中に[リソースモニター]があるのでクリックして起動します。
タスクマネージャーから起動する
タスクマネージャーを起動して「パフォーマンス」タブを開くと、いちばん下に「リソース モニターを開く」というリンクがあるので、これをクリックして起動します。
リソース モニターの画面
リソース モニターには5つのタブがあります。
- 概要
- CPU
- メモリ
- ディスク
- ネットワーク
起動したときには、前回リソースモニターを閉じたときに選択していたタブが表示されます。
「概要」タブ
CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの4つのタブの主要な情報を、ひとつにまとめて表示するタブです。
4つのタブの内容がそれぞれグループに分けて表示されます。
それぞれのグループの見出しに相当する部分には、使用率や転送速度などの値と小さなグラフが表示されます。
各グループのリストはそれぞれリアルタイムで更新されていて、並び順や値が常に変化しています。
右側には各リソースの使用量をリアルタイムで表すグラフがあります。
[ビュー]ボタンの右側にある[▼]をクリックすると、グラフの大きさを変えるメニューがあり、3段階で変更できます。
グループの折りたたみやグラフサイズの変更は、ほかのタブにも共通する操作です。
「CPU」タブ
パソコンの頭脳にあたるCPU(中央演算処理装置)の実行状況を表示します。
CPU全体で利用率がどれくらいかをみるときは、右側のグラフのうちいちばん上のCPU - 合計を確認しましょう。
利用率が高いときはCPUの性能をかなり使っているので、逆にいうとそのほかのプログラムを動かすための余裕がない状態です。
最近のパソコンでは、複数の演算装置を内蔵したマルチコアになっているので、それぞれのコアの利用率もグラフで表示されます。
リスト部分にはプロセス、サービス、関連づけられたハンドル、関連づけられたモジュールの4つのグループがあります。
プロセス
いまパソコンで動いているプログラムや中断しているプログラムについて細かく調べることができます。
各イメージ(プログラムの名前)の右についているチェックボックスにマークすると、その項目はリストの先頭に移動して固定されるので、どのように変化するかを継続的に調べるのに役立ちます。
また動いているプロセスを終了したり、一時中断させることができます。
チェックした項目はほかのタブに切り替えてもそのままマークされているので、メモリやディスクの状態を調べるのにも役立ちます。
サービス
動いているプログラムのうち、Windowsの基本機能などユーザーが特に操作しなくても自動的に実行されるようなものはここに表示されます。
関連づけられたハンドル
ハンドルとは、Windows本体が持っている情報を呼び出すのに使う名前のようなものです。役所や会社の部署名みたいなものと考えるとわかりやすいでしょう。
「関連づけられたハンドル」のリストは、「プロセス」グループでなんらかのプロセスをチェックしたときに表示されます。チェックしないとリストは空欄です。
プロセスがなにか処理を使おうとしているとき、それがCPUにどれくらいの負担をかけているかがわかります。
関連づけられたモジュール
モジュールは、なにかの処理を行うときに必要となる外部部品みたいなものです。
Windowsにはいろんな部品が用意されていて、別々のプログラムが同じ共通の部品を呼び出して使うことがあります。
たとえばオフィスのフロアにコピー機が一台あって、複数の部署がそのコピー機を共用しているようなものだと思ってください。
「関連づけられたモジュール」のリストも、「関連づけられたハンドル」と同じように「プロセス」グループでなんらかのプロセスをチェックしたときに表示されます。チェックしないとリストは空欄です。
つまりなにかの部品(モジュール)を使おうとしているプログラム(プロセス)があるときそれがCPUにどれくらいの負担を掛けているかを知ることができます。
「メモリ」タブ
パソコンが利用できるメモリ(物理メモリと仮想メモリ)のうちどれくらいを使用しているかを表示します。
プロセスと物理メモリのふたつのグループがあります。
プロセス
実行中のプロセス(プログラム)ごとに使用しているメモリ量を表示します。
リストの内容にはコミット、ワーキングセット、共有可能、プライベートなどがありますが、難しくなるのでここでは割愛します。
物理メモリ
パソコンに実際に搭載しているメモリ(いわゆるRAM)をどれくらい使用しているかを帯グラフと数値で表します。
カンタンにいうと、グラフの青い部分が大きいほどメモリ容量に余裕があります。
青の部分が少なくなってくるとRAMだけでは処理できず、ディスクへの読み書きが増えるので、処理が遅くなります。
「ディスク」タブ
パソコンに搭載(あるいは接続)しているストレージ(記録装置、ハードディスクやSSDのこと)の状況を表示します。
右ペインに並んでいるグラフに、各ストレージ(ドライブ)へのアクセス状況がリアルタイム表示されます。
起動ディスク(システムドライブ)は、Windows本体が常になんらかの動作をしているので、ユーザーがなにも操作していなくても、常に少しずつアクセスが発生します。
データ保存用の増設ドライブや外付けドライブのばあい、ディスクアクセスがなにもないこともあります。
ディスク活動のプロセス
動作中のプログラム(プロセス)がディスクをどれくらい読み書きしているかがわかります。
読み取り/書き込み/合計の3つについて、1秒あたりのバイト数を表示します。
ディスク活動
各プロセスを使用しているファイル単位でのディスクアクセス状態を表示します。
記憶域
パソコンに接続しているハードディスクやSSDなど、ストレージごとの利用時間や総容量、空き領域などを表示します。
「ネットワーク」タブ
ホームネットワークやインターネット接続の状態を表示します。
ネットワーク活動のプロセス、ネットワーク活動、TCP接続、リッスンポートの4つのグループがあります。
ネットワーク活動のプロセス
ネットワークに接続して通信しているプロセス(プログラム)ごとに、送信・受信・合計のデータ転送速度を表示します。
ネットワーク活動
ネットワークに接続して通信しているプロセスごとに、アドレス、送信・受信・合計のデータ転送速度を表示します。
リアルタイムモニターのグラフに表示されているのは、このネットワーク活動のデータです。
TCP接続
インターネット接続に使われているローカル側(パソコン)とアクセスポイント側(プロバイダ)それぞれのアドレスやポート番号を表示します。
リッスンポート
プロセス(プログラム)がネットワーク接続に使用している出入り口(ポート)と、そこで利用しているプロトコルの組み合わせを表示します。
パフォーマンスや安全性の向上にも役立つツール
以上、リソースモニターの大まかな機能についてご紹介しました。
リソースモニターに表示されるCPU利用率とメモリのグラフを見ていると、やりたい仕事(処理)に対してパソコンが充分な性能をもっているかどうかがわかります。
また詳しくデータを読めるようになれば、パソコンに過大な負荷を掛けているプログラムを発見して処理速度を改善したり、不審なプログラムをつきとめてセキュリティを向上させるなどいろいろな役に立てることができます。
まずは、リソースモニターの起動法と基本的なグラフの見方を覚えましょう。
なお、リソースモニターにはひとつ弱点があります。
詳しい情報を表示できる代わりにウィンドウのサイズが大きいので、ふだんのパソコン作業をしながらついでにモニターをチェックするような使い方にはじゃまになるということです。
この弱点を補うツールについては、また後日紹介しましょう。