週末、急にやることがなくなってしまったので、今回使用する予定だったオーディオ収録関係のセッティングについてまとめておきます。
この記事の目次
一人舞台用の音声収録セッティング
今回予定していたイベントは、久留米市出身で俳優/パフォーマーの徳永潤さんの、芸能生活30周年を記念したソロ公演です。
祝い芸、剣舞、和妻(日本伝統スタイルのマジック)、一人芝居、歌などを盛り込んだ約100分を予定していました。
一人芝居のときにBGMとして笛が入るのと、歌の伴奏で二胡が入るのを除けば完全に一人のステージです。
これを映像に残しておくのが今回の仕事です。
演者の声はモノーラルでくっきり
一人で演じる舞台ですから、演者の声についてはステレオ収録は必要ありません。
映像につける音としては、中抜けになるより、センターにきっちり定位してキレイに聴き取れる音がほしいところです。
音響担当者と演者の打ち合わせでワイヤレスのラベリアマイクを使うと決まったので、その音をXLRケーブル経由でもらうことにしました。
BGMやSEとはミックスした状態で、モノーラルです。
観客との掛け合いはステレオで録りたい
今回の公演では、演者がステージを降りて観客席とやりとりをするパートがあります。
そこで、せっかく4ch収録可能なビデオカメラが使えることだし、会場内の音を収録したいと考えました。
観客席内にステレオでマイクロホンを立てて、ミキサーからの音をもらうことを考えましたが、音響担当者によると、ミキサーから出せるのはXLR一本だけとのこと。
そこで、会場の音についてはXF400側で録ることにしました。
ただし、内蔵マイクは使えません。
というのも、撮影を担当する私がアレルギー性鼻炎持ちで咳をしがちなので、それを拾っては困るのです。
カメラの内蔵マイク、あるいは外部マイクでもカメラに直接装着したのでは咳き込む声を拾ってしまう可能性大です。
リニアPCMレコーダー投入
そこで、私物の機材から、ZOOMのリニアPCMレコーダーF1を使うことにしました。
単四電池2本で駆動するレコーダーですが、単なるマイクロホンとして使うこともできます。
コレをステレオミニプラグのケーブルで、XF400の外部マイク入力につなぎます。
ケーブルは3mのものがあるので、カメラからある程度離れたところに設置すれば、咳込む声を拾うことはないでしょう。
ちなみに、このZOOM F-1はレコーダー本体に装着するマイクを交換できるマイクカプセルというスタイルになっています。
私の手持ちマイクカプセルはMSH-6というM-Sタイプで、ステレオ効果のワイド感を30°~120°の間で変更したり、完全にモノラルにしてしまうことができます。
基本の4CH収録設定
機材と入力方法が決まったので、あとはXF400側の設定です。
まず最初に、オーディオの収録設定そのものを4CHに切り替えておく必要があります。
メニュー画面を開いて、記録設定の2ページめ先頭にあるオーディオ形式を4CHにします。
これで、リニアPCM 48KHz 16bit 4CH録音が可能になります。
オーディオ入力の割り当て
続いて入力の割り当て。
XF400に付属しているハンドルにふたつのXLR入力端子(INPUT1とINPUT2)がついているので、演者の声とBGM/SEをミックスした音を、INPUT1で受けます。今回INPUT2は使いません。
INPUT1からの信号は今回CH1に録音したいので、付属ハンドルの左側で設定を行います。
もちろん、INPUT2用のCH2は使いません。
上からゲインコントロールの設定、中段はINPUT端子と内蔵マイクまたは外部マイクの切り替え、3段めはINPUT端子につなぐデバイスの切り替えです。
ゲインコントロール
いちばん上は、入力ゲインの設定です。A(オート)とM(マニュアル)を切り替えます。
どちらでもいいんですが、今回はMを使うことにしました。
Mのばあい、ハンドル上面側のダイヤルでゲインを調整します。
インプットの選択
中段では、CH1に録音する音のソースを選択します。
INPUT1からの音を収録するのでスライドスイッチをINPUT1側にします。
デバイスの選択
3段めは、INPUT1端子に接続している機器の選択です。
今回はミキサーからのライン入力になるので、いちばん左のLINEを選んでおきます。
CH3、CH4はPCMレコーダーから
外部マイクとXF400の接続
会場内の音を録るZOOM F1からの入力はXF400の外部マイク端子で受けます。
外部マイク端子は、ボディ右側面、ハンドルグリップの前(レンズ側)にあるカバーの中にあります。
今回、会場内での実際のセッティング写真がないので、とりあえず、ZOOM F1をXF400のハンドルに装着した状態を紹介しておきます。
ZOOM F1の後ろ側にあるヘッドフォン端子と、XF400の外部マイク端子をステレオミニプラグのケーブルでつなぎます。
CH3、CH3の入力設定
CH3とCH4の入力設定はXF400のメニュー画面で行います。
メニューを開き、オーディオ設定のタブを開きます。
1ページめの先頭にあるCH3/CH4入力という項目をINT/MICにします。
これは、CH3/CH4に録音するソースを内蔵マイクまたは外部マイクにする設定です。
外部マイクが接続されていれば自動的に外部マイクの音、接続されていないときは内蔵マイクの音を自動的に収録してくれるので切り替えは必要ありません。
CH2の設定
これで、CH1、CH3、CH4の設定は終わりましたが、CH2の設定が残っています。
CH2は使わないんじゃないの?と思ったかもしれませんが、それはあくまでマイクなどを接続しないっていう意味です。
CH1しか録音しないと、ステレオ再生したときに左チャンネルしか音が出ないはずです。
そこで、CH1とまったく同じものをCH2にも録音したデュアルモノの状態にします。
これで演者のセリフが真ん中に定位するはず。
CH2の設定は、オーディオ設定1ページめのいちばん上にあります。
先ほど設定したCH3/CH4入力のすぐ上です。
このCH2入力の設定をINPUT1にしておくことで、INPUT1からの入力がCH1、CH2に同時録音されることになります。
CH2の入力ゲインはふつうハンドル部で設定するわけです。つまりCH1とCH2は独立してコントロールします。
しかし今回のようにINPUT1をCH2にも入れるばあい、CH1、CH2をぴったり同じ音量に揃えておかないとヘンなことになり、あとから調整がめんどうです。
そこでXF400のALC機能を使うと、CH2のゲインをCH1に合わせて連動制御してくれます。
この設定は、オーディオ設定の2ページめINPUT 1/2 ALCリンクにあります。
INPUT 1/2 ALCリンクをタップして、設定を連動にしておきます。
CH1のゲインはハンドル上のダイヤルで調整しますが、CH3とCH4の調整についてはモニター画面上で行います。
撮影画面の左下にあるFUNCボタンをタップして、撮影設定画面を開きます。
設定画面を下へスクロールすると、いちばん下にオーディオ設定の項目があります。
ここではCH3、CH4に内蔵マイクの音が入っています。
下のボタンを見ると録音レベルがオートなのがわかります。
マニュアル設定にする場合は[M]のアイコンをタップします。
マニュアル設定では三角形のスピンボタンをタップして、録音レベルを調整します。
音声出力チャンネルの選択
これで録音関係の設定は終わりですが、最後にもうひとつ、音声出力チャンネルも設定しておきます。
音声出力チャンネルは、XF400のモニタースピーカーや接続したヘッドフォンで音を聴くとき、どのチャンネルの音を流すかの選択です。
たとえば、CH1/CH2の音しか聴けないと、CH3/CH4の音がどうなっているのかわかりません。
そこで、左チャンネルにCH1とCH3、右チャンネルにCH2とCH4の音をそれぞれミックスして出力するように設定しておきます。
音声出力チャンネルの設定は、オーディオ設定3ページめのモニターチャンネルで行います。
モニターチャンネルのリストをスクロールして、CH1+3/CH2+4を選択します。
4CH収録のメリットを引き出せるか
以上が演者の声をモノラル(デュアルモノ)、会場内の声はステレオで収録するために考えたセッティング例です。
ただ、本当に使いものになるのかは実地にチェックする必要があります。
会場内のスピーカーから流れる演者の声をステレオマイクが拾ったときに、どんな感じになるかまだわかりません。
最終的には動画編集ソフト(ワタシのばあい、DaVinci Resolve)でトラックごとの音量などを調整することになるはずですが、それをできることが4CH収録のメリットですね。
公演そのものが延期で、確認が先送りになったのが残念です。