分解のポイントやパーツの見分け方など初歩的な情報を手順を追ってまとめたので、パソコンに不慣れな方はメンテナンスの参考にしてください。
この記事の目次
突然のトラブルに慌てる
今回紹介するのはマウスコンピューターのDAIVシリーズ、Z9というモデルです。
2022年3月に前のパソコンが突然不調になったのを機に購入したもので、SSDの寿命にはまだ早いと思いましたが、突然死ということも考えられるので早めにドライブ交換の準備を進めておくことにしました。
というのも、現在主流になっているM.2 SSDを搭載したパソコンはこのZ9が初めてで、ドライブを交換した経験がありません。
IDEやSATA規格のドライブは増設も交換もなんどとなくやってきたので手慣れたものです。
ショップで適当なドライブを買ってきて空いているドライブベイに突っ込めばコピーも簡単にできます。
しかしM.2 SSDを増設できるようなスロットがあるかどうかもわからないし、間違えて規格が異なるパーツを買ってしまうミスも怖いので、事前にチェックしておくことにしました。
ちなみに、問題のZ9は今では普通に起動しており、ドライブ診断ツール(CrystalDiskInfo)の判定でもまだまだ健康な状態と判定されています。
原因の見極め
一時的に起動しなくなったときの状況を観察すると、PCの電源を入れたあとUSB接続しているBluRay/DVDドライブやUSBオーディオインターフェイスなどは動いているので、電源ユニットやマザーボードの問題ではなく起動ドライブであるSSDに原因があるものと判断しました。
マウスコンピューター Z9を空けてみよう
まずケースのサイドパネルを外して内部構造を確認します。
実は、購入直後すでにいちど空けてドライブベイのレイアウトその他を見ていますが、マザーボード回りはチェックしていないのでそこからスタートです。
これまではどうしてた?
実はこのZ9以前に買ったタワー型パソコンは、ショップブランドやBTOメーカーのものばかりでしかも組み立てられていないパーツセット状態のものばかりでした。
そういうパソコンはマザーボードのマニュアルが付属してくるので、分解などしなくても必要なパーツの仕様がわかります。
しかしZ9は完成品状態で購入したのでそういったマニュアルは付属しておらず、中身を直接確認する必要がありました。
ケースの背面側を見ると接続端子類が左側に固まっているので、写真左側(赤く示した部分)にマザーボードが配置されていると考えられます。
そこで反対の右側(青く示したほう)のパネルを取り外します。
背面にある2本のスクリューネジを外すことで簡単に取り外せました。
でかいフレームがじゃまをする
パネルを開けてみると中央から向かって左側にかけて大きなフレームがあり、空冷ファンがマウントされています。おかげでマザーボードの様子がよくわかりません。
ファンはちょうどグラフィックボードの真横にあり、GPU(GeForce RTX3070)の冷却を担っているようです。
これを取り外さないと確認できません。
先ほどの写真ではフレームの全体像が見えませんが、4箇所で止められているのでまずこのネジを外します。
赤丸で囲ったところにネジがありますが、左側のほう(矢印がついている先)はケースの背面側から固定されています。
ネジを抜いてもそのままフレームが取れるわけではなく、ケースに引っかかっているので少し捻りながら慎重に外します(ちょっとめんどうです)
取り外したフレームはこんな感じです。
空冷ファンがマウントされているので、フレームを外すとファンの電源コネクタがマザーボードからスポっと抜けます。あとでコネクタの位置を確認します。
マザーボードのレイアウトをチェック
この状態からマザーボードのレイアウトを眺めて、SSDの位置を探ります。
昔のIDEやSATAドライブはケースのドライブベイに装着するので見分ける手間もいらなかったんですが、M.2 SSDはマザーボード上にパーツのひとつとして配置されているはずです。
まず目立つのがmsi GEFORCE RTXと書かれているパーツですが、これがグラフィックボード(画面表示用のパーツ)でマザーボードの拡張スロットに突き刺さる形で装着されています。
上にある銀色のパーツは"COOLER”と書かれているのでCPU冷却用のファンでしょう。そのへんにパソコンの頭脳にあたるCPUが配置されているはずです。
グラフィックボードのすぐ下(赤枠で囲ったあたり)には、コネクタピンがいくつも並んでいます。
先ほど取り外したフレームの冷却ファンはこのあたりに接続されていたはずなので先に確認しておきます。
グラフィック用ファンの電源コネクタ
先ほどの赤枠のあたりを拡大表示してみました。
上の拡張スロット(PCI-Express規格)に短いカード(ボードともいう)が装着されていて、これがUSB増設用。
その下にあるちっちゃいスロット(青で囲ったところ)もPCI-ExressですがこれはX1という仕様かな。ここは空いているのでいろんなボードの増設に使えます。
さらにその下に見えているピン(赤で囲ったところ)が、フレーを取り外したときに抜けてしまったファンの電源コネクタでした。
コネクタのピンが4本なのとそのすぐ下に見えている黒い部分が、装着時のガイドになっているのですぐに特定できました。
最後に組み立て直すとき、ここにファンの電源ケーブルをつなぎます(忘れると冷却能力不足でたいへんなことに)。
怪しい黒パーツ
さて、ここまで見てきたところにはM.2 SSDらしきものはありません。
というわけで、グラフィックボードとCPUクーラーの間にある黒いパーツが怪しい、と推定
精密ドライバーを使ってネジを取り外しにかかりますが、パーツの間隔が狭くて手が入らないしネジもがっちり締め上げてあって廻せない・・・
これはグラフィックボードをいちど取り外す必要ありです。
ここからが難儀しました。
グラフィックボードを取り外す
グラフィックボードを拡張スロットから取り外すにはケースに固定しているネジを抜く必要がありますが、このケースはそれとは別にプレートがあって、まずそれを外しました。
プレートを外し、その下の固定金具(シルバーの部分)を留めているネジ2本を緩めます。
グラフィックボードは拡張スロット2段分の厚みがあるので、固定ネジも2本使われています。
固定ネジを外したらいよいよグラフィックボードを抜くわけですが、ここで次の困難が。
電源ソケットのところで紹介したマザーボードの拡大写真をもういちど見てみます。
先ほど説明を省いた緑の円で囲んだ部分は、拡張ボードが抜けないように固定するロックレバーです。
これと同じものがグラフィックボードの下にもあってボードを固定しているので、これを倒さないとボードを引き抜けません。
ところがグラフィックボードがでかすぎるおかげでレバーがほんの一部しか見えていないので、押すのに苦労しました。
レバー自体は本来軽く動くんだけど、片側しか見えていないので力をうまく掛けられない。
ここがいちばんの難所です。
SSDカバーを外す
しばらく悪戦苦闘して、グラフィックボードを抜くとこんな感じ。
緑の枠内が先ほど紹介したロックレバーなんだけど、ボードが挿さっているとほんのわずかしか手を触れるところがないのでうまく押せないというわけ。
さて、ボードが抜けたら、お目当ての黒いパーツを固定しているネジを抜きます。
精密ドライバーが必要なうえ、がっちり締めてあったんでここもなかな力がうまく入らず苦労しました。
特に向かって右側はキツかったんで、精密ドライバーのシャフトをラジオペンチでつかみ、テコの力をフル発揮して廻しました。ネジ山潰さないようにドライバーの頭をしっかり上から押さえ込んでおいて、ゆっくり廻します。
ようやくSSDとご対面
固定ネジを抜いて黒いパーツを外すと、SSDのソケットが現れました。
実は黒いパーツはおそらくカバー兼ヒートシンク(放熱板)で、熱伝導を良くするためグリースみたいなのが塗ってあり、SSD本体はパーツにくっついて取れてしまった次第。
青枠で囲った部分がコネクタで、赤丸で囲った2箇所は短いピンが立っています。
このピンは黒いカバーを取り付けるときのガイドなので、組み立てるときはそこに合わせてカバーを取り付ければOK。
取り外したSSDはこんな感じです。下は、黒いカバーの裏側で、ここに放熱用なのかグリースみたいなのが塗ってありました。
ちなみにソケットにSSDだけ挿しこむとこんな感じ。このままだと左側が浮き上がっているので、そこを押さえながらカバーの黒パーツを取り付けます。
おまけ - プロダクトIDを確認
分解してみて、使っているSSDの品番やサイズがわかったので、これで交換用のドライブを安心して購入できます。最後に元通りパーツを組み付けて今回の作業は終了。
冷却ファンにはほこりが溜まっていたので、きれいに拭き取っておきました。
元通りにちゃんと動くことを確認したら、ついでにWindows11のプロダクトIDを確認しておきます。
プロダクトIDは、万が一Windowsを再インストールすることになったときの保険。これがないと正規購入した(パソコンの一部としてですが)ユーザーとして認めてもらえません。
以前はWindowsの設定画面で表示できたように記憶していますが、Windows11ではちょっとしたコマンドを使わないといけないようです。
Windowsのコマンドプロンプト画面(またはPowerShellでもOK)を開いて、次のようにタイピングします。
wmic path SoftwareLicensingService Get OA3xOriginalProductKey
あとは【Enter】キーを押せばプロダクトキーが表示されます。
万一の非常時に備えて大事に保管しておきました。
あとはバックアップクローンの作成
さて、これでバックアップ用にどんなSSDを買えばいいのか、どこに装着すればいいのかのふたつが判明しました。
M.2 SSDの装着位置はパソコン(マザーボード)の機種によって違うはずですが、だいたいこんな流れでみていけばすぐに特定できると思います。
トラブル時(というよりその前の対策)の参考になれば幸いです。
バックアップ/クローンの作成については、また近いうちに紹介する予定です。