ZOOM G1fourとPC(Windows)版のGuitar Labでの音作りにハマって(嵌まり込んで)ましたが、ついにコレというのを探り当てました。
その過程で発見したポイントを紹介します。
この記事の目次
きっかけはジュリアン・ラージ
テレキャスタータイプのギターを使っているんで、しゃきっと、パリッと、カリカリした音は割と簡単に出るんですが、あるときジュリアン・ラージの演奏動画を見てしまい、「テレでこんな音が出るのか」とショックを受けました。
なんか、すごく落ち着いたまろやかなトーンで、これがテレキャスターから出ているとはにわかに信じられません。
ハイポジションのプレイでも鋭さを削りつつ、まろやかな中にきらびやかな高音が残ったような、とても心に残る音です。
テレキャスターのネック側ピックアップでジャズに使われるような音ともだいぶ違うようで、なんか、ホロウボディのギターっぽさも感じます。
そこで、自分のギターで、少しだけでもホロウボディっぽい味付けができないか試してみまることにしました。
分解能が足りない?
アンプとキャビネットは、いちばん使い慣れているFender BASSMANのモデリング。
そこに、これもお気に入りの"Air"というリバーブエフェクトを掛けます。
この”Air”を使うと、部屋全体が鳴っているようなふつうの残響とはひと味違う、ふくよかさみたいなのが出ます。
”SIZE”、”Reflection”、”MIX”の3つのパラメーターをどれもたっぷりかけてやると、それなりに「箱鳴り」っぽくなりました(あくまでそれなり)。
それなりの雰囲気はできたと思っていちおう満足したんですが、テストでオーディオインターフェイスにつないだ音を聴いていると、どうもエフェクター直のヘッドフォンで聴いた音とはかなり印象が違います。
特にベンド(チョーキング)したときの音は、妙な「変調感」というか、いやな音色が耳につきました。
歪みを入れてコードをストラミングしたときも、なんかザラッとした感触です。
たとえて言うなら、低解像度のビットマップ画像をムリヤリ拡大すると、ジャギー(ギザギザ)だらけになって画質が低下する、そんな感じ。
主な原因はリバーブ?
最初は、マルチエフェクターからオーディオインターフェイスに接続するケーブルが本物のギター用じゃないのが原因(ステレオ入力テストのために、オーディオ用の分岐ケーブルを使用)かと思って、ギター用のシールドケーブルに換えてみましたが、結果は変わりません。
そこで調べてみると、お気に入りのエフェクトだった”Air”が主な原因とわかりました。
このエフェクトで、特に”Size”のパラメーターを大きくするとあの妙な「変調感」が増幅されるようです。
ただし”Air”だけが悪いわけではなく、”Room”などほかのリバーブエフェクトでも同じような変化があるのがわかりました。
加えて、音作りでイコライザーのエフェクトをセットしているのも一役買っているようです。
さらにいうと、エフェクターにヘッドフォンを直挿しするのに比べ、オーディオインターフェイス(ZOOM LiveTrak L-8)からモニターするほうがよりキツく感じます。
Syncroomでの演奏用にと、音を作ってきただけにちょっと残念。
デラックス・リバーブを試してみる
話は戻ります。
ジュリアン・ラージがどうやってあの音を出してるんだろ?と不思議に思って、検索してみたらなんとアンプはほぼ、フェンダーのデラックス・リバーブを使っていました。
実は、アンプシミュレーター上では歪みの掛かり方や音質の調整がうまくできなくて敬遠していたんで、ますます「なんであの音が出る?」と困惑です。
私にとっては、Bassmanがいちばん音作りしやすく、Twin Reverbはそれに比べると音が決まらない感じ、Deluxe Reverbはいちばん扱いづらいという評価です(もちろん、エフェクター上でのアンプシミュレーターでの評価。実機はどれも見たことすらありません)。
しかし「ジュリアンがあんな音を出せるんだからなんとかならんものか」と思って、再チャレンジ。
いまにして思うと、Deluxe Reverbが扱いにくかったのは、Line6 Spider V20 MkIIのモデリングのほうで、それが原因でZoom G1fourでは最初から避けてたんですね。
で、結論からいうと、G1fourのDeluxe Reverb、これがドンズバで、見事に好みの音が出るセッティングを探り当てました。
ドライブするロックンロール用サウンドも、軽快なリズムカッティング用のトーンも、Bassmanでいままで作ってきたトーンよりお気に入りです。
さらになんと、ホロウボディっぽさを感じさせるふくよかなトーンまで出せてしまいました。
Guitar Labで気をつけたこと
ポイントはふたつかなと思います。
ひとつは、ボリュームとゲインを上げめにすること。
Deluxe Reverbに限らずどんなアンプでも同じだと思いますが、ボリュームやゲインはかなり上げたセッティングにしたほうが、アンプ本来の魅力的な音が出るようです(これはSpider V20 MkIIでも経験済み)。
さらに、ギター側のボリュームとトーンもフルに上げた状態で、基本の音作りをします。
これも、ギターから出る信号が最大のほうがいい音になるからです。
もうひとつは、ミッドの音量調整。
BassmanやTwin Reverbだと、バス、ミッド、トレブル、プレゼンスという4つの帯域で音質を調整できるのに対し、Deluxe Reverbはバスとトレブルの2ポジションしか使えません。
これもDeluxe Reverbを避けてきた理由のひとつです。
マスターボリュームで基本的な音量調整
まず音量調整ですが、先ほど書いたとおりにゲインとボリュームをどっちも上げると音が大きすぎます。
そこで、Guitar Lab上でマスターの音量を絞ります。
つまり、エフェクトパラメーターの方のボリュームとゲインはあげつつ、パッチ全体のマスターボリュームのほうは適当なところまで下げます。
こうすることで、アンプシミュレーター上でいい音が出るところを使いつつ、演奏に最適な音量を選べます。
もちろん、演奏時の基本的な音量調整は、G1four側のボリュームノブで操作します。
ただし、実際に今回のセッティングではマスターボリュームをあまり絞っていません。
Deluxe Reverbの実機は、Twin ReverbやBassmanに比べると出力が低いのでそこらへんが影響しているかも。
ひとつ、まだよくわからないのが、Guitar Lab側のマスターボリュームと、G1four本体のボリュームの関係です。
Guitar Lab側でマスターボリュームを操作すると、G1fourの設定もそれに従って変化します。
ところが、G1fourのノブを操作してもGuitar Lab側には変化がないようです。
ポイント
その後さらにパッチの設定を見直した結果、マスターボリュームはパッチごとの音量を揃えるのに使っています。
あらかじめパッチごとに音量を揃えておくことで、いちいちエフェクターのボリュームやインターフェイス側の入力ゲインを調整しなくてもいいようにしておくことで、Syncroomやライブ配信でのムダな時間を削るのが狙いです。
ともあれ、これでヘッドフォンで聴くのに最適な音量に抑えながら、活きのいいドライブ感たっぷりのサウンドが楽しめるようになります。
歪み量のコントロール
適当な音量が決まったらこんどは歪みの量を決めていきます。
エフェクト上のアンプ設定で、ゲインを大きめ+ボリュームを控えめ、にすれば大きく歪ませながらも音量は抑えることができます。
逆にクリーンな音が欲しかったら、ゲインを控えめにしてボリュームはやや上げる、といった感じ。
私は後者のセッティングです。
歪み量の基本が決まったら、こんどはギター側のボリュームを少し下げてみて歪まなくなるポイントを探しました。
これで演奏中でも手元で歪みとクリーンの使い分けができます。
ミッドを削る
もともとDeluxe Reverbを避けていたのは、デフォルト設定だと歪みがきつい割になんとなく音がしゃきっとしないという感触からでした。
その後、Bassmanで音を作っていくうちにミッドを下げるとすっきりするのは発見しましたが、Deluxe Reverbには前述のとおり、ミッドのトーンコントロールがありません。
低音域も出過ぎているのでとりあえずバスを絞ってみましたが、改善はされません。
しかたなく、こんどはトレブルを上げて、バスもやや上げ気味にしてみたところ、コレが嵌まったようで音が急にすっきりしました。
シャープなカッティングも、ジャズっぽい軽快なリズムギターもいけそうな感じ。
トーンコントロールが効くようになった
想定外だったのは、ギターのトーンコントロールがよく効くようにこと。
これまで作ってきたパッチだと、ギターのトーンコントロールを絞ってもあまり音質に変化がなく使いづらかったんですが、今回作ったパッチは中間部分での変化がより明確で使いやすくなりました。
具体的にいうと、歪みが欲しいボリュームフルアップの時は高域が出過ぎるので少しトーンを絞ります。
歪みがいらないときはボリュームを下げますがこのとき同時に高域も削れていくので、その分トーンを上げて補ってやります。
こういう使い分けがぐっとやりやすくなりました。
なぜかふくよかな音まで手に入る
もうひとつ想定外だったのは、ホロウボディっぽい設定で手探りしてたような、豊かでふくよかな音が出るようになったことです。
これはギターとの相性もあると思うんですが、とにかくうちではそんな感じ。
実は、ピックガード下にあるピックアップ用の「ザグリ」がとてもデカイので、これが関係しているのかもしれません。
しかも、ネック側ピックアップだけじゃなく、ブリッジ側でも鋭いだけじゃないそこそ艶っぽい音がします。
試しに”Room”や”Air”などのリバーブも掛けてみましたが、結論としては「いらない」ということなりそうです。
これは本当に驚きでした。
さらに、です。
これまで音の太さを出すのにクリーンブースター(RC Boostがお気に入り)をおもに使い、そのほかにディレイを使ったダブリングやコンプレッサーも試してきましたが、どうやらこれらもいらないなぁと思っています。
自分の好みの音については、ホントにギターのボリュームとトーンコントロールだけでカバーできそうな感じ。
それだけ音楽嗜好が偏っているってことではあるんですが、助っ人を頼まれるような腕利きギタリストを目指すわけじゃないんで、そこんところはどうでもいいですね。
ムダになったこと
ついでですから、ここにたどり着くまでに試したこともちょっと振れておきましょう。
RC Boostを使って張りと音のつやを出すのがこれまでの基本でしたが、よほどゲインを稼ぎたい場合を除いていらなくなりました。
Bassmanでは、倍音を豊かに鳴らすのにプレゼンスが効くんじゃないかと思って試していましたが、Deluxe Reverbにはプレゼンスがないんで、これも不要です。
ホロウボディぽいまろやかさを出すのにイコライザーを使うとか、ディレイにEchoplexを入れて音質を調整するというのもトライしましたが、これも要りません。
特にイコライザーで調整した音に”Air”をたっぷり掛けると、例のベンドでの「変調感」が強調される気がするので今後は絶対やらないと思います。
実は、G1fourで音作りするときエフェクトのスロットがあともうひとつあればなぁと思い始めていたんですが、アンプシミュレーターをDeluxe Reverbに変えただけでこれがふっとんでしまいました。
アンプ+キャビネットとあとはノイズリダクションの計3つあれば、私にはいまのところ充分。
となると、Deluxe Reverbのシミュレーターさえあれば、マルチエフェクター自体、ほんとは要らなかったのかも。
というわけで、次はシールドケーブルに縛られず手軽にどこでも演奏できるのがいいかな。