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WZエディタの2ストロークキーをカスタマイズで使いやすく

ずいぶん前に愛用していたテキストエディタを久しぶりに使い始めましたが、最近買い換えたキーボードでの操作性を改善するため、キー割り当てをカスタマイズすることにしました。

そこで今回はこのエディタのキー割り当てを変更する方法を紹介します。同時に、なぜワープロではなくテキストエディタにこだわるのかを知ってもらえるきっかけになればと思います。

 

かつての愛用エディタをもういちど使いたい!

今回使い始めたのはWZエディタというソフトです。

いったん消滅したと思っていたのですが、実はまだ生き延びていることを最近知ってまた使い始めました。

キー割り当てのジレンマ

WZエディタはとても優れていて使いやすいのですが、Windows以前からあったテキストエディタの流れを汲んでいるため、Windowsのキーボードショートカットとは折り合いが悪いところがあります。

典型的なのが、ファイルを開く/保存するといった基本的な操作が【F1】キーに割り当てられていることです。

ご存じのとおりWindowsでは【F1】キーはヘルプの呼び出しになりますが、WZエディタを使っている間はメニューの呼び出しになります。

そのほかにも【Ctrl】+【C】が貼り付けではなくPageDownになっているなど違いが多く、Windowsでパソコンを使い始めた人にはかなり違和感があるでしょう。

しかしテキストを編集するという点に関しては、非常によく練られていてとても使いやすいものです。

 

コンパクトキーボードだとメニュー操作ができない

キー割り当てについてはもうひとつ問題があります。最近買ったコンパクトな英語配列キーボードには【F1】キーがないので、そもそもメニューの呼び出しができません。

【F1】キーの代わりには、【Fn】キーを押しながら数字の【1】を押すのですが、これだと瞬時に操作できないので、せっかくのWZエディタの利点を削いでしまいます。

ARCHISS ProgresTouch TINY 英語配列コンパクトキーボード CherryMX赤軸
ProgresTouch Tinyのキー配列

【Fn】キーとの組み合わせで代用します。

参考
キーボードイメージ
気になるもうひとつのキーボード「ProgresTouch」

メカニカルキーボードが気になりだしていろいろ調べていたら、先日紹介したLogicoolやFilcoのほかにもいろいろあることが判ってきました。 その中でも目に付いた国内メーカーの製品があったので紹介し ...

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2ストロークキーで補いたいが・・・

実はWZエディタにはファンクションキーのほかにも2ストロークキーといわれる操作方法があります。

2ストロークキーは名前の通りキーの2回押しでコマンドを実行できるようにしたもので、たとえば【Esc】キーを押してから【A】を押すというような連続操作になります。

1回めがメニューのオープンで2回めがコマンドの実行といった感じです。

2ストロークキーの1回めに使うキーとしては【Esc】のほかに【Ctrl】+【Q】【Ctrl】+【K】が利用できます。

これらのキーを使うことで、ファイルのオープン/クローズはもちろん、文字の削除やコピー/貼り付け、削除した文字の復活、検索/置換、ジャンプなど、ほとんどの操作を行うことができます

この2ストロークキーは、WZエディタの祖先にあたるVzエディタや同時代のテキストエディタにはよく見られた特徴で、ホームポジションからほとんどの作業をできる操作性の良さから、プログラマやライター、編集者に好まれました(ちなみに、キー割り当てそのものはソフトによって異なります)。

 

2ストロークキーのデフォルト設定がいまいち

今回、WZエディタを復活させることにしたのも、この2ストロークキーが使いたいからです。2ストロークキーが使えるエディタを探していたら、WZが実は生き残っているのを発見。試してみたらやはり手になじんでいるので、これしかないと決めました。

2ストロークキーで操作できれば、キーボードにファンクションキーがないことも、【Fn】+【1】キーが押しにくいことも問題になりません

ところが実際に使ってみたらひとつ問題があるのがわかりました。

2ストロークキーでのファイル保存操作には上書き保存がないんです。

2ストロークキーでの保存操作は【Esc】-【A】と【Esc】-【S】のふたつがあるんですが、【Esc】-【A】は[既存のファイルへ追加」【Esc】-【S】は[名前を付けて保存]でした。

【F1】で呼び出すメニューには上書き保存がありましたが、キーボードショートカットが割り当てられていません。

私の使い方だと既存のファイルに追加して保存はほとんど使わないので、【Esc】-【A】に[名前を付けて保存]を割り当て、【Esc】-【S】を[上書き保存]にすることにしました。

 

WZのキー割り当てカスタマイズ方法

WZエディタのキーカスタマイズは[ツール]メニューの[カスタマイズ]-[キー一覧]コマンドから行います。

ただし、キー一覧は名前の通り割り当ての表示が基本なので、そこからさらにユーザー定義を追加する必要があります。

また、キー定義の初期設定自体をカスタマイズするのではなく、ユーザー定義を追加するとそちらが初期設定より優先して割り当てられるようになっています。

言い換えると、ユーザー定義を削除してしまえば、すぐに初期設定に戻せます。

では、実際に2ストロークキーにユーザー定義を追加していきましょう。

 

初期のキー割り当てを確認

実はWZエディタではキー割り当てを直接書き換えることはできません。その代わりにユーザー定義を追加すると、元の定義はそのまま追加したユーザー定義のほうが有効になるという仕様です。

言い換えると、ユーザー定義を削除してしまえば、元のキー割り当てに簡単に戻すことができます。

キー割り当てをカスタマイズするための入り口はふたつありますが、ここでは[ツール]メニューの[カスタマイズ]から呼び出す方を紹介します。

step
1
[カスタマイズ]-[キー一覧...]を選択


[ツール]メニューを開いて[カスタマイズ]-[キー一覧...]を選択します。

キー一覧の表示

キー一覧を表示します

step
2
初期のキー割り当てが表示される


キー一覧ウィンドウで初期のキー割り当てとコマンド名を確認しておきましょう。

初期のキー割り当てを確認

キー割り当ての初期設定を確認しておきます。

【Esc】+【A】にはADDFIL、【Esc】+【S】にはSAVEASというコマンドが設定されています。

step
3
[カスタマイズ]ボタンをクリック


次に[カスタマイズ]ボタンをクリックしますが、実はWZエディタではメニューやツールバー、キー割り当ての3つについては初期設定を直接書き換えることができません。

カスタマイズボタンをクリック

[カスタマイズボタン]をクリックして設定を確認。

step
4
定義ファイルを参照する


ボタンをクリックすると「定義ファイルの内容を参照しますか」という警告メッセージが出るので、[はい]をクリックして設定の表示に進みます。

定義ファイル確認の警告

[はい]をクリックして進みます。

step
5
初期のキー割り当てを確認する


定義ファイルの画面が現れますが、ここでは編集できません。【Esc】キーの2ストローク設定がどのようになっているかだけ確認しておきます。

初期のキー割り当てを確認

キーの初期設定を確認します。

{Esc}A がADDFIL、{Esc}SがSAVEASとなっているのがわかります。

 

ユーザー定義を追加する

ここからがユーザー定義の本番です。

step
6
[ユーザー定義追加...]をクリックする


キー一覧に戻って[ユーザー定義追加...]をクリックします。

ユーザー定義を追加

ユーザー定義を追加します。

step
7
定義ファイル編集画面が現れる


定義ファイル編集画面が現れますが、ユーザー定義は行われていないので中は空です。ちなみに定義ファイルの名前はaddkey.keyです。

ユーザー定義画面

空白のユーザー定義画面が現れます。

step
8
定義するコマンドを選択


右のコマンド一覧から[ファイル]のツリーを開いて、[保存]グループの中から[名前を付けて保存]を選択します。

コマンドを選択

定義したいコマンドを選択します。

step
9
{Esc}キーを選択して追加


キー割り当てのドロップダウンリストで{Esc}を選択して[追加]ボタンをクリックすると、定義内容の画面に{Esc} SAVEASと追加されます。

キーを割り当てて追加

コマンドにキーを割り当てて[追加]ボタンをクリックします。

ここでひとつ問題があります。

実はドロップダウンリストだけでは2ストロークキーの割り当てができません

割り当てたいキーとそれに組み合わせる【Shift】【Ctrl】【Alt】のどれかを選択することはできますが、連続して入力する2ストロークキー指定はできないので、定義ファイルの内容を直接編集する必要があります

step
1
{Esc}の後ろにAを書き加える


最初に確認したとおり【Esc】-【A】の2ストロークキーは{Esc}Aと記述するので、{Esc}の後ろに直接Aと入力します。

{Esc}の後ろにAを追加

編集画面に直接Aを入力します。

これで[名前を付けて保存]のユーザー定義は終わりです。

step
11
上書き保存コマンドを追加する


続いて、先ほどと同じ要領で[上書き保存]コマンドも追加します。

ふたつめのコマンドを追加

さらに上書き保存コマンドを追加します。

step
12
{Esc}の後ろにSを書き加える


さらに{Esc}の後ろにSを書き加えて、【Esc】-【S】の2ストロークキーを設定します。

{Esc}の後ろにSを記入

{Esc}の後ろにSを書き加えます。

以上で、ふたつの2ストロークキー設定が終わりました。

step
13
ユーザー定義ファイルを上書き保存


定義ファイル編集画面で[ファイル]-[上書き保存]を実行して、先ほど追加したユーザー定義を保存します。

定義ファイルを保存

編集したユーザー定義ファイルを上書き保存します。

step
14
ユーザー定義の確認


キー一覧に戻って変更した設定を確認します。Esc-Aが「名前を付けて保存」、Esc-Sが「上書き保存」になっていれば設定完了です。

キー割り当てを確認

追加したキー割り当てが有効なことを確認します。

【Alt】キーでも保存はできるんだけど・・・

実は【F1】キーや2ストロークキーだけでなく【Alt】キーでもファイルの保存ができます。

【Alt】+【A】は既存のファイルに追加、【Alt】+【S】は名前を付けて保存なので、【A】と【S】の役割は、2ストロークキーの初期設定と同じです。

Altキーの割り当て

Altキーのショートカットについてはそのままにしておきます。

そこで最初はこの【Alt】キーを使ったキーボードショートカットも同じようにカスタマイズしてみたんですが、実際に使ってみると問題がありました。

【Alt】キーはもともとWindowsでは、マウスの代わりにメニューを操作するアクセスキーの呼び出し用に使われます。WZエディタで【Alt】+【S】を押すと、実際には【Alt】-【S】として動作するので、WZエディタの検索メニューが開いてしまいます。

これでは使えないし、2ストロークキーがあれば充分なので、【Alt】キーのほうはカスタマイズせずに初期設定のまま残すことにしました。

ちなみに【Alt】+【A】のほうはアクセスキーが割り当てられていないので、[既存ファイルへの追加]としてそのまま使えます。

結果的に2ストロークキーは[名前を付けて保存]と[上書き保存]、【Alt】+【A】のほうは[既存ファイルへの追加]と使い分けられるようになりました。

 

たかが[上書き保存]ひとつにもこだわる理由がある

これで【Esc】-【S】キーですばやい上書き保存ができます。

編集の途中に急いで保存したいとき、いちいちマウスに持ち替えてメニューを操作するなんていうムダは必要ありません。

軽快でスピーディーな動作というテキストエディタの持ち味を活かし、考えるのをじゃやませず、ひたすら入力と編集に集中できる環境になりました。

今回はWZエディタという特定のソフトのカスタマイズに絞って紹介しましたが、書くことにこだわるならぜひワープロではなくテキストエディタを使ってみることをお薦めします。

そうすれば、なぜ上書き保存コマンドひとつの操作性にこだわるのか、いずれわかっていただけるでしょう。

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