細かいことをいうと、うちで預かっているビデオカメラやマイクなどの機材を借りたいということなので、そのオペレーターです。
うちに貸してくれている方(友人)に相談したところ、機材に慣れる意味もあるのでどんどん活用してほしいという意向だったので、ありがたく使わせていただきます。
ということで、今回は収録の裏側をちょっとご紹介。
YouTube用に座談形式の番組を作成
今回制作するのは、佐賀県の某お寺が取り組んでいるプロジェクトを紹介するYouTube配信。
司会進行兼インタビューアーがご住職に話を伺う対談形式です。
Fukuzumiの方で持ち込んだ機材はこんな感じ。
- カメラ:キヤノン XF400
- マイク:ロード NT5 マッチドペア
- ケーブル:XLRオス-メス 2本(約10m)
- マイクスタンド
- リニアPCMレコーダー:ZOOM F1+MSH-6
- モニター用ヘッドフォン
リニアPCMレコーダーとマイクカプセル、音声チェック用のヘッドフォンだけは私物で、あとは全部、うちで預かっている借り物。
このほかに、仕事を回してくれた方が、サブに使う小型ビデオカメラとLED照明2基。
座談スタイルなので、出演者の間に透明アクリル板を立てての収録。
収録会場となるカフェの長いテーブルを挟んで、いちばん奥に出演者おふたりが座り、反対側にXF400をセットしました。
高音質収録で差を付けろ
仕事の打診を受けたときに、ポイントだなと思ったのが音声の収録方法。
出演者の声をどれだけきれいに収録できるかが番組のクォリティを左右します。
収録場所しだいでは声が反響して聞き取りづらくなったりするので、出演者から遠く離れてしまうカメラの内蔵マイクは論外。
そこで元々の依頼では、単なる動画撮影だったのに対して、NT5を使った2マイクでの収録をこちらから提案しました。
RODEのNT5は単品でも販売されていますが、マッチドペアというのは、感度や特性が揃ったマイク2本をセット売りにしたものです。
楽器演奏や合唱の収録を想定して入手してあったんですが、1年以上活用の機会がなく簡単な動作チェックをやったあとは死蔵されていたもの。
2人での対談にはこれがぴったりだろうということで、これを投入します。
マイクスタンドはブーム式のものを一本持参したのですが、たまたま収録したカフェに小型のテーブルトップスタンドがあったので、そちらを使わせていただきます(お寺での行事に使っていたものだそうです)。
マイクを2台装着できるステレオバーは、もともとギターなどの収録を想定して買ってあったのですが、これを使って出演者お二人の方へマイクを向けます。
ビデオカメラの音声入力設定
マイクからの入力はXF400のハンドルについてるXLR端子へ。
左に座る司会進行用のマイクをカメラのINPUT1端子へ、右に位置するご住職用のマイクをINPUT2端子につなぎます(INPUT1が左チャンネル、INPUT2が右チャンネルになるため)。
カメラのハンドルについているオーディオ設定で、CH1(左)への入力をINPUT1、CH2への入力をINPUT2(右)に設定。
NT5のようなコンデンサマイクはファンタム電源が必要なので、さらにマイクを+48V側にセットします。
これでマイクの接続は終了。
あとは念のため、設定画面でCH2の入力がINPUT2になっているのを確認します。
これはステレオ収録のための重要な確認。
モノーラルのショットガンマイクを使うときは、CH2にもINPUT1を入力することで左右のチャンネルに同じ音を録音しますが、今回はマイクを2本立てるのでちゃんとふたつに分ける必要があります。
マイクの設定ができたら入力レベルの確認。
出演者のうちお一人は高齢のご住職、いっぽう司会進行兼インタビューアーは映画出演の経験もある本職の役者さんということで、声量や発音などに相当の差があることが予想されるため、CH1、CH2それぞれマニュアルに設定し、テストで少ししゃべっていただいてから、左右チャンネルの入力バランスを決めました。
野外も同じセットで収録
番組2回分を収録したあと、午後は最近150年ぶりに復興されたという近くの神社へ場所を移しての野外収録。
マイクスタンドだけ、小型のカメラ用に変更しましたが基本的なセッティングは同じ。
あとは、野外ということでマイクの入力ゲインだけ再調整して収録です。
高音質収録をどこででも
帰宅して動画をチェックしましたが、音質はまったく問題なし。
もともとメーカーによる商品紹介でも次のように書かれているくらいです。
映画製作のための屋内での対話用マイクとしてマイクスタンドやブームに装着して録音するのが理想的です。
たまたまですが用意したケーブルが10m近くあり、出演者のそばにマイクをセッティングできたのも好結果につながりました。
XLRケーブルで接続しているので、ホワイトノイズもまったく聴き取れません。
設置にはそれなりのスタンドと準備が必要なので手軽とはいえませんが、コンパクトなので今回のように野外に持ち出すのもさほど苦ではありません。
スタジオ収録専用だともっとほかの選択肢もあるでしょうが、いろんなロケーションで使えるのは大きなメリットだと感じました。
もう少し低価格なモデルとしてM5マッチドペアという製品もあるので、予算が限られている方はそちらもチェックしてみてはどうでしょうか。