パソコンを使っているとフィルターやフィルター処理ということばがよく出てきます。
同じフィルターという単語でも、いろんな意味や機能がありますが、ここではファイル管理におけるフィルターとそれに関連するワイルドカードという用語について紹介します。
この記事の目次
フィルターを使うと必要なファイルだけに絞り込める
ファイル名一括変更ソフトFlexible Renamerではフォルダ指定機能を使うとフィルタという設定がでてきました。
フォルダー内のファイルをすべてリネームするのではなく、フォルダーの中から必要なファイルだけをより分けるのがフィルター機能です。
フィルター機能を使うことで、フォルダー内に保存されているいろんなファイルの中から、Microsoft Office文書だけを選んだり、画像ファイルだけを選ぶことがでます。
拡張子によるフィルターは日常的に使っている
このようなフィルター機能は、実はアプリケーションではごく普通に使われています。
たとえばワープロで文書ファイルを開くときは、ふつうそのワープロで扱える文書ファイルしか表示されません。
画像ファイルや音楽ファイルをワープロで扱うことはできないから、ファイルを開くときに表示されていても意味がないからです。
逆に画像編集ソフトでファイルを開くときには、ワープロ文書や表計算のワークシートは表示されません。
このように、必要なファイルだけを表示するのがフィルター機能の役目です。
ここで使われているのがファイルの拡張子をもとにした絞り込みです。
ワープロだったら拡張子が.docやdocx形式のファイルだけ、表計算ソフトだったら.xlsやxlsx形式だけ、というようにそのソフトにいちばん関連のある形式だけを表示します。
利用頻度の低いファイル形式は、実際に読み込み可能であっても、ふだんは表示されないようになっているのがふつうです。
フィルター処理に使われる記号
フィルター指定でよく使われる記号が*(アスタリスク)です。
表記について
この記事の中ではつごうによりアスタリスクを全角文字で表記していますが、実際にフィルター処理に使うときは半角のアスタリスクを使います。
ファイル形式を指定するときに、"*.doc"や"*.xls"、"*.html"のような形で書かれていることがあります。
*(アスタリスク)のほかに?(クエスチョン)も使われることがありますが、あまり目にすることはないかもしれません。
ファイル指定のときに使う*(アスタリスク)と?(クエスチョン)を合わせてワイルドカードといいます。
ワイルドカードの役目は、トランプ(カードゲーム)におけるジョーカーと同じです。
ジョーカーは、どんなカードの代わりにも使えます。
*(アスタリスク)や?(クエスチョン)の役割も同じで、どんな文字の代わりもできます。
ただし、代わってあげられる範囲というか文字数がちょっと違います。
*(アスタリスク)と?(クエスチョン)の違い
*(アスタリスク)は、どんな文字の代わりにもなってしかも文字数は関係ありません。
それに対し?(クエスチョン)が代わりになれるのは1文字分だけです。
スクリーンショットを使って実例を見ながら解説していきましょう。
例題で使用するファイル
テキスト、doc、xlsの3つの形式でそれぞれ6つファイルを用意しました。
例題1.txt、例題2.txt、例題3.txt、例外1.txt、例外2.txt、例外3.txt
例題1.doc、例題2.doc、例題3.doc、例外1.doc、例外2.doc、例外3.doc
例題1.xls、例題2.xls、例題3.xls、例外1.xls、例外2.xls、例外3.xls
この後の説明のためWindows PowerShellという付属のツールを使って、ファイルを一覧表示してみます。
このように18個のファイルが表示されます。
ポイント
dirというコマンドを使ってファイルを一覧表示していますが、ここではコマンドについては気にしなくてかまいません。
ファイルが全部表示されたというところだけ押えておいてください。
アスタリスクは何文字でもOK
たとえば、"*.txt"と指定すると、ファイル名はどんな文字でも構わないけど拡張子はtxt形式のファイルという意味になります。
つまり拡張子がtxtのファイルぜんぶということです。
同様に、"*.xls"だったら、ファイル名に関係なくExcelで作ったワークシートぜんぶということになります。
ファイルを選択するときのフィルター機能はカンタンにいうとこれを使っています。
この指定方法がわかっていると、フォルダーの中からPDFファイルだけぜんぶコピーしたり、テキストファイルぜんぶを一気に削除するなんていうことができます。
ふつう、エクスプローラーでたくさんファイルを削除しようと思ったら、そのファイルをいちいちクリックで選択していく必要がありますが、ワイルドカードを使えばそんな手間はいりません。
Windows PowerShellを使って、テキストファイルだけ表示してみましょう。
このように*.txtで、ファイル名に関係なくすべてのファイル、ただし拡張子がtxtのものという意味になります。
続いてxlsファイルでもやってみます。
こんどは、ファイル名に関係なく拡張子がxlsのものという意味です。
クエスチョンは1文字だけ
?(クエスチョン)だと、ほかの文字の代わりをできるのは1文字分だけになります。
たとえば、サンプルで用意したファイルのなかからファイル名が"例題”で始まるものだけ表示するとします。
"例題?.txt"
この?(クエスチョン)の部分が数字の1~3の代わりになります。
これはファイル名が"例題"で始まって、3文字めはどんな文字でもOK、拡張子はtxtのファイルという意味になります。
ただこの指定は、テストという文字で始まって次の一桁はどんな文字でも構わないという意味なので、もし例題A.txtや例題B.txtという名前のファイルがあったら、それも選択されることになります。
もうひとつやってみましょう。
こんどは例題で始まるファイルも例外ではじまるファイルも表示します。
"例?1.xls"
2文字めが?なので"例題”も"例外"も含まれますが、数字の部分が1だけなので、2や3のファイルは表示されません。
ワイルドカードを組み合わせて使う
アスタリスクとクエスチョンを併せて使うこともできます。
"例?1.*"
この指定だと拡張子の部分が*(アスタリスク)なので、拡張子はなんでもいいという意味になります。
つまり、ファイル名の1文字めが"例"で始まり、2文字めはなんでもOK、3文字めは1のファイルですべての拡張子という指定です。
アスタリスクどうしの組み合わせでも構いません。
"例*.*"
フィルター指定を組み合わせる
ファイルを開くときや保存するときの指定では、実際にはフィルター指定がひとつだけということはまずありません。
"*.doc; *.docx; *.rtf;・・・"のような形で書かれていることがほとんどです。
これは「doc形式とdocx形式とrtf形式と・・・」という意味になります。複数のファイル形式を指定して、それに該当するものはぜんぶということですね。
このばあい、ファイル形式を並べて書くための区切り文字としてセミコロン(;)を使っています。
アプリケーションによってはカンマ(,)で区切るものや、スペース(空白文字)だけで区切っているものもあります。
どういう意味かだけわかっていればだいじょうぶ
ワイルドカードを使ったフィルター指定は、実際にはあまり使う機会がないかもしれません。
というのもエクスプローラーでのファイル操作とはちょっと相性が悪いからです。
実際に目にするとしたら、やはりアプリケーション上でファイル形式を指定するときぐらいでしょうか。
そのばあいは"*.拡張子”という形で使うことがほとんどでしょう。
?(クエスチョン)を使って実際に指定することは、ふつうのパソコンユーザーだったらあまりなさそうです。
だから、詳しい使い方までがんばって覚える必要はありません。
ただ、フィルター処理とワイルドカードということば、そしてどんなときに使うのかぐらいは頭に入れておいて損はないと思います。