パソコンではだれもがよく使う切り取り、コピー&ペーストを、もっと便利にする機能がWindows10にはあります。その機能と使い方をご紹介!
この記事の目次
パソコンに欠かせないコピー&ペースト、だけど意外に不便だよね
コピペはパソコン操作の基本だけど・・・
パソコンやスマホを使ったことがあるならもちろんコピペということばは知ってますよね?
コピー&ペーストの略で、文字や数字などのデータをコピーしてほかのところに貼り付ける(ペースト)作業です。
このコピペ作業の中間で働いているのがクリップボードという機能です。
クリップボードはいわば一時預かり所で、コピーや切り取りはデータをクリップボードに預ける操作、ペーストはクリップボードに預けたデータを取りだして貼り付ける操作といえます(スマホだとクリップボードを操作するという感覚はあまりないでしょうが)。
ちょっと前にコピーしたデータはもうない・・・
パソコンのクリップボードは、いったん預かったデータなら繰り返し何回も貼り付けることができるのはご存じでしょう。ここがデータの移動と違うところで、コピーをいくつも作って別々のところに貼り付けられます。
だから同じデータを何カ所にも入力したいとき、まとめて作業すれば効率がいいのです。
でも、貼り付けられるのは直前にクリップボードに入れたデータだけ。ここが弱点です。次にクリップボードにデータを入れると今まであったデータは消えてしまいます。
2~3回まえにコピーしたデータをまた貼り付けなきゃならない・・・
そんなことになっても、もうクリップボードにデータはありませんから、またコピーするところからやり直しになります。
いろんな表からデータを集めて新しい表を作る、そんなときはコピー&ペーストの繰り返し。文字を選ぶときにボタンを押す指も、ドラッグするときに動かす肩や手首も疲れてしまいます。
クリップボード履歴があれば手間が省ける
そんな不便さを少しでも解消するために作られたのがクリップボード履歴といわれるアクセサリ。切り取りやコピーでクリップボードに入ってくる文字を捕まえて独自の場所に記録しておき、必要になったら呼び出せる便利なツールです。
記録できる履歴の数に上限はありますが、次に切り取りやコピーしてもすぐにクリップボードから消えることはありません。しかも記録した順番に関係なく自由に取り出せるし、いちど貼り付けたあとも履歴はまだ残っているので、次にまた貼り付ける必要がでてきたらすぐに呼び出せます。
ただし、このようなアクセサリは(たいていの場合)ユーザーが自主的に開発して公開しているオンラインソフトなので、自分でどこからか探してきて、自分でインストールして、自分で使い方を覚える必要がありました。
どれも慣れている人にはどうってことのない作業ですが、それでも誰もが気軽に使えるわけではなかったのです。
Windows10にクリップボード履歴があるの知ってる?
そんな便利なクリップボード履歴が、実はWindowsでも使えるようになりました。詳しいこというと2018年10月のアップデートからです。もうオンラインソフトを探さなくてもいいし、書庫ファイルを展開してインストールする手間もいりません。
パソコンの基本しか知らない初心者でも、クリップボード履歴を使えるようになったんです!
Win10のクリップボード履歴を使ってみよう
事前の準備が必要
こんなに便利なクリップボード履歴を使うには、実はひとつだけ準備が必要です。
このクリップボード履歴、最初はオフになっているんで、オンにしてあげる必要があります。
その手順を紹介しましょう。
step
1[スタート]メニューで[設定]を選び「Windowsの設定」ウィンドウを開く
Windows10のスタートメニューを開き、歯車(コグともいいます)のアイコンをクリックして[Windowsの設定]画面を呼び出します。
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2[システム]をクリック
[Windowsの設定]で左上にある[システム]アイコンをクリックします。
step
3左のリストから[クリップボード]を選択
ウィンドウの左に縦に並んでいるメニューで、下の方にある[クリップボード]を選択し、クリップボードの設定画面に切り替えます。
step
4[クリップボードの履歴]スイッチをオン
クリップボード設定の中にある[クリップボードの履歴]をクリックしてオンにします。
これでOK。いちど設定してしまえば、あとはいつでも好きなときにクリップボード履歴を呼び出せます。
クリップボードへのデータ登録は?
いったんクリップボード履歴をオンにしたら、あとはWindows上あるいはアプリケーションのどこでも[編集]-[切り取り]や[編集]-[コピー]を行うだけで、どんどん履歴として登録されていきます。
履歴を使わない普通のクリップボード機能だと、クリップボード内に残るデータはひとつだけ。つまりコピーや切り取りを行うたびに最後の1個しか残りませんが、履歴機能ではクリップボードにどんどんデータが溜まっていくのです。
つまり、履歴を使うための特別な登録操作はいりません。
履歴ウィンドウを使って貼り付けよう
いちど設定が終わってしまえば、クリップボード履歴の呼び出し方はかんたんです!
【Win】キー+【V】キー同時押しで呼び出し
キーボードの【Win】キーと【V】キーを同時に押すと、履歴のウィンドウが現れます。文書作成などキー入力に集中したいときは、マウスに持ち替えずにすむから便利です。
しかも編集しているカーソル位置のすぐそばに出てくれるから、視線を外さず入力や編集作業に集中できるのが嬉しいですね。
操作するキーの覚え方もかんたん。ふつうの貼り付け(ペースト)だと【Ctrl】+【V】だから【V】は共通で、ふつうの貼り付けと履歴からの貼り付けを【Ctrl】キーと【Win】キーで使い分けると覚えましょう。
ところで、このはじめて使ったときちょっとびっくりしたのは、履歴のウィンドウが意外に大きいこと。それまでオンラインソフトで慣れてきたクリップボード拡張ツールは、クリップボードに記録されたテキストが10個ぐらい並ぶスリムなリストといったタイプが多かったんです。
だから最初は、ポップアップウィンドウが大きすぎるし、そのわりに、表示される履歴は2個半といったところで中途半端。
でもこのデザインにはちゃんと理由があります。
大きなウィンドウに少ない表示アイテム数、その理由は?
クリップボード履歴というわりには表示数が少なく、その割には大きなウィンドウサイズ。一見中途半端なこのデザインのメリット。それは、履歴リストの中に画像も表示されるという点です。
画像データもサムネイルで確認して選べる!
オンラインソフトのクリップボード拡張ツールはテキストしか対応していないものが多く、もっぱら文書作成や表計算ソフトのデータ入力用という感じでした。
ところがWindows10のクリップボード履歴は、履歴リストの中に画像も表示されます。これが大きなウィンドウの理由です。ウィンドウが大きい分だけ大きめのサムネイルで表示されるから中身の確認が簡単。こういったところは、さすがメーカー純正といった感じです。
履歴のアイテムがテキストのときは、ブロック1個が大きい分だけ表示される文字数も多いんでこちらも中身の確認が便利です。
さらに便利な小技も!
そして地味に便利そうなのが、時刻表示。何時何分にコピーしたデータかすぐにわかるので、少し長めのテキストをコピー&ペースとして文書作成するときは助けになりそうです。
貼り付けはマウスとショートカットキーの二刀流
ではいよいよ貼り付け操作を紹介します。
スクロールバーで選んでクリックで貼り付け
いちばんオーソドックスなのは、履歴ウィンドウに表示されているアイテムをマウスでクリックします。
ただし履歴ですから、クリップボードの中にはそれまでコピーしてきたテキストや画像がたくさん入っています。直前にコピーしたものならすぐにクリックできますが、少し前にコピーしたものは履歴を遡って探す必要があります。
そんなときに使うのはもちろんスクロール。履歴ウィンドウの右端にあるスクロールバーで履歴を探してクリックします。
でも、キーボードでタイプ中だったらいちいちマウスに持ち替えるのはめんどうですね。
コピー/切り取りから、貼り付けまでキーボードでやってしまおう
そんなときのため、もちろんキー操作でも履歴の選択と貼り付けができます。
矢印キーで上下にスクロールして、[Enter]キーで貼り付け。これだけです。これなら文書の入力中でもキーボードからマウスに持ち替えなくてすみます。
コピーや切り取りをキーボードショートカットでやれば、流れがぐっとスムーズになりますね。
もちろんコピーは【Ctrl】+【C】、切り取りは【Ctrl】+【X】です。
履歴を使わない普通の貼り付けは【Ctrl】+【V】。
これまでショートカットキーを使ってこなかった人も、ついでですから【Win】+【V】とセットで覚えておきましょう。
さらに賢く使いこなそう
いらない履歴はきれいにクリア
いちどパソコンの電源を切ったり、再起動してしまえば履歴は消えてしまいます。しかし、Windowsが起動している間は、コピーや切り取りを行うたびにどんどん履歴をため込んでいきます。
とはいえあんまりため込んでしまうとメモリのムダ遣いだし、探すのもめんどう。
そこでいらなくなった履歴は削除しておきましょう。
履歴のアイテムひとつひとつについている[×](閉じる)ボタンをクリックすれば、一個ずつ個別に消すことができます。
全部の履歴がいらないときは[すべてクリア]をクリックして一気に消してしまいましょう。
必要な履歴だけ残しておこう
逆に、重要な履歴はプッシュピンのアイコンをクリックしてピン留めしておけば[すべてクリア]の対象からは除外されます。ときどきクリアしながら、大事なモノは残しておきたいという場合はピン留めしておきましょう。
ただしピン留めした履歴も[x](閉じる)ボタンをクリックすれば削除できます。間違って削除しないように注意してください。
惜しい部分もあるけど、普通の人ならこれで充分
こんなに便利なWindows10のクリップボード履歴ですが、長年この手の機能拡張アクセサリを使ってきたワタシとしては、多少の不満もあります。
ひとつは短文登録機能がないこと。
Windows本体にクリップボード履歴がなかった時代、いろんなユーザーが独自に工夫を凝らした自作ツールを公開して機能を補ってきました。そのなかでよく目にしたのが短文登録機能。つまりよく使う挨拶文や社名・部署名などをまるごと登録しておいてワンタッチで貼り付けられるようにしたものです。これがあると、定型文書の作成に大いにやくだちます。
もうひとつはFIFO/LIFO機能がないこと。
どちらも溜まった履歴からどんどん貼り付けていく機能です。
FIFOは「ファーストイン、ファーストアウト」の略で、A→B→C→Dと順番にコピーしたあと貼り付けていくときもA→B→C→Dと「先に入れた順に」貼り付けていきます。
LIFOは逆で「ラストイン、ファーストアウト」。A→B→C→Dと順にコピーしたら、D→C→B→Aの順に「後で入れたものから先に」貼り付けていきます。
こういう機能があると表計算ソフトでデータを書き込んでいくような場合にとても便利なんですね。そういう場合はまだまだ、オンラインソフトのお世話になる必要がありそうです。
とはいえ、履歴が使えるだけでも充分便利なのは間違いありません。皆さんもぜひ使ってみてください。