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「考える」と「書く」が一体になる2ストロークキー操作の魅力

WZエディタのユーザーインターフェイスを"VZライク"に変更すると2ストロークキーという操作ができます。

【Ctrl】キーと【Q】キーまたは【K】キーを同時に押すと、一種のコマンド呼び出しモードに入り、次に押したキーに割り当てられたコマンドを実行するというもので、2回の打鍵で操作するため2ストロークキーといいます(【Ctrl】+【Q】または【K】は同時打鍵なので、1ストロークと考えます)。

今回は、2ストロークキーの利点やその他のキー操作との違いに触れながら、どんな人・使い方ににお薦めするかを紹介していきます。

なお、WZエディタで"VZライク"なキー配列を使う方法については、別の記事で紹介しているのでそちらをご覧ください。

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実はWindowsでもできるメニューのキー操作

2ストロークキーという呼び名はあまりなじみがないため、特殊な操作方法に思えるかもしれませんが、実はWindowsにもちょっとだけ似た操作があります。アクセスキーです。

Windowアプリケーションのメニューを見るとコマンド名の脇にカッコ付きでアルファベットが書かれています。これをアクセスキーといい、対応するキーを押すとコマンドが実行されます。

アクセスキーを使うにはまず【Alt】キーを押します。するとアプリケーションのメインメニューが選択されて色が変わり、続いてアルファベットを押すとコマンドが実行されます。

たとえば「編集]メニューから[貼り付け]を実行する場合、【Alt】→【E】→【P】の順に押していきます。

 

アクセスキーはメニュー操作をなぞっただけ

ただしWindowsのアクセスキーは操作効率を追求したものではないので、あまり使いやすくありません。

元はといえばマウスが使えないときでもキーボードで操作できるようにキーを割り当てたものなので、メニューの階層を順にたどっていくことしかできないからです。

なので元々メニューコマンドの階層が深い場合は、アクセスキーも同じように操作する必要があります。

その点、2ストロークキーはメニュー階層に関係なく、目的のコマンドを2ストローク(2回の打鍵)で実行できます。

また、アクセスキーではキー入力のたびにメニューやサブメニューが開いていきます。マウスの代用としてはきちんと操作していることがわかりやすくていいのですが、スピーディーに操作できるわけではありません。

 

2ストロークキーは作業効率重視

このような操作の流れは、実はWindows以前のパソコンで当たり前だったキー入力によるメニュー呼び出しに似ています。

キー入力でメニューを呼び出し、そこから次のコマンドに割り当てられたキーを押します。その手順としては2ストロークキーも同じです。

ただし大きな違いは、あくまでメニューが表示されること。それに対し2ストロークキーではメニューは表示されず2回めの入力でいきなりコマンドを実行します。階層をたどって3回4回と押す必要はありません。

その一方で2ストロークキーはコマンドにどんなキーが割り当てられているか覚えていないと使えません。その代わり、必ず2回のタイプでダイレクトに操作できるので、慣れてくるとストレスフリーになります。

 

キーボードショートカットと似て非なるところ

Windowsにはアクセスキーのほかにもうひとつ、キーボードショートカットという操作もあります。たとえばおなじみ【Ctrl】+【V】のように修飾キーとアルファベットキーを同時に押します。

それに比べると2ストロークキーはもう一回キーを押さなければいけないので手間がかかるように見えます。

では2ストロークキーの利点はなんでしょうか?

それは割り当てできるコマンドが多いことと、その割に「ある程度」体系的に整理できるので意外に覚えやすいところでしょう。

 

2ストロークにすることでコマンド数を増やせる

実はWZエディタにも1ストローク(この場合2つのキーの同時押し)で実行できるキー操作はたくさんあります。

たとえば、誤字の訂正や削除には欠かせないカーソルの移動は【Ctrl】+【S】や【Ctrl】+【D】でできるし、文字列の削除も【Ctrl】+【Y】で可能です。

しかし、このような【Ctrl】キーとの同時押しの1ストローク操作だけでは、膨大なコマンドをすべてカバーできません。

そこで2ストロークの連続打鍵にすることで、もっと多くのコマンドをキー操作で扱えるようになります。

2ストロークキーでは、1回めのストローク(同時押し)でコマンド入力待ちになり、次の2ストロークめでコマンドを実行します。先ほど「メニューの呼び出し→実行に似ている」といったのはこのためです。

 

連続打鍵することでわかりやすくなる

2ストロークキーではキー操作が連続するのを利用して、関連性のあるコマンドをある程度整理してわかりやすくしています。

たとえば文字列編集に関する操作は1ストロークめが【Ctrl】+【K】になっていて、次に【K】を押せば文字列のコピー、【C】を押せばバッファを空にしない貼り付けといった感じです。

ちなみに、もっと使用頻度の高い文字列の削除(行の削除も)や、ふつうの(バッファを空にする)貼り付けは2ストロークではなく、1ストロークが割り当てられています。

 

いっぽう、Windowsのキーボードショートカットでは、【Ctrl】キーで賄いきれない分は、【Alt】に割り当てたり、【Ctrl】+【Shift】+文字や【Alt】+【Shift】+文字のような3キー同時押しに割り当てられることがあり、左手の小指や薬指に負担がかかります。

メモ

私のキーボードでは【Ctrl】キーと【CapsLock】キーを入れ替えてあるのでまだ楽なほうですが、標準の配列ではこのようなショートカットを連続操作するのはかなりつらいはずです。

 

テキストエディタならではの特殊性

Windowsのキーボードショートカットが連続操作に向いていないとはいっても、そもそもふつうのアプリケーションはそんな使い方はしません。

しかし、テキストエディタは別です。カーソルを移動して文字を選択→コピー、文字列の検索、登録しておいた位置にタグジャンプなど、いろいろな操作が連続します。

そのたびに手首や指に負担を掛けて押しにくいキーを操作したり、どのキーを押すか探していたら、肝心の作業が進みません。

こういったテキストエディタならではの特殊性も、2ストロークキーが好まれてきた背景にあります。

 

連続打鍵で無意識に打てるようになる

2ストロークキーを実際に使ってみるとわかりますが、多くの場合は連続して打ちやすいキーの順番が選ばれています。

たとえば【Ctrl】+【Q】の次に【Z】を押すといった、左手小指に負担を掛ける動きにはなっていません(【Ctrl】+【Q】だけの1ストロークというのはあります)。

また【Ctrl】+【K】→【J】への右手中指から人差し指への流れや、【Ctrl】+【K】→【C】のように右手中指から左手中指への流れのように、連続打鍵しやすい配置になっているため、ある程度タイピングの練習をした人ならすぐに無意識で操作できるようになります。

これが、思考をじゃましない考えながら入力・編集ができる理由です。

 

キーバインドを使い分けるメリットとデメリット

実はVZライクなキーバインドにも弱点があります。それはWindowsのキーボードショートカットと折り合いがよくないという点です。

Windowsでよく使う切り取り(【Ctrl】+【X】)はVZライクではカーソルの移動だし、コピー(【Ctrl】+【C】)はページダウンです。

そのため、WZエディタとほかのWindowsアプリケーションを併用するならVZライクなキー配列はあまり使いやすいとはいえません。

WZエディタの使用比率が低くて他のWindowsアプリのほうがメインなら、わざわざVZライクなキーバインドにするメリットは薄いでしょう。

しかし、原稿執筆や編集、テキストデータの整形・加工といったWZエディタ上で完結する作業、あるいは最終結果だけを他のアプリケーションに貼り付けたり読み込んだりするような使い方なら、VZライクキーバインドに割り切って、エディタ上での作業効率アップを追求したほうがいいと思います。

 

タッチタイプできる人への贈り物

以上、WZエディタを例に2ストロークキーの特徴と利点を紹介しました(2ストロークキーが使えるエディタはほかにもあります)。

2ストロークキーは暗記しないと使えないので、テキストエディタの使用頻度が低い人にはまったくお薦めしません。しかし、毎日長時間、テキストの入力・編集を行っているライターや編集者なら試してみて損はないでしょう。

なにも最初から丸暗記する必要はありません。いちばん使用頻度の高いコマンドからポツポツ使っていけばその内に、指が覚えて自然に動くようになります。

タッチタイプできる人ならすぐに手になじむはずです。

もし興味をもったら、WZエディタの公式サイトで体験版をダウンロードして実際にためしてみましょう。30日間無料で試用できます。

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