XTONE Proのマニュアルに書かれている内容を読んでもぜんぜん実感できなかったのですが、BOME MIDI Translatorを使って実際の信号を確認したことでようやく理解できるようになりました。
マニュアルではわかりにくいところも、できるだけかみ砕いて紹介します。
この記事の目次
XTONE Proのインターフェイスと基本設定
MODEインディケーター(LED)
iPhone/iPadなどのスマートデバイスやパソコンとUSB接続すると、MODEインディケーターが一瞬点滅し、その後点灯します。
これで正常に動作していることを表します。
初期状態ではLEDはブルーですが、その後グループを変更することで色が変わります。
そのほかには、MIDIのコマンドグループを色の変化で通知します。
商品情報ではこの部分の説明がもう少し判りやすかったら、と思います。正直、MIDI未経験者には辛い。
スイッチの動作とMIDIコマンド
XTONE Proには6つのフットスイッチがあり、さらにエクスプレッションペダル用の端子を加えると7つのコマンドを操作できます。
なお各フットスイッチはいちど押したあと、放した瞬間に信号を送るようになっています。
タイミングが重要な操作では注意してください。
ファンタム電源オン/オフ切り替え
Fスイッチ長押し
コンデンサマイクを使用するとき、+48V電源をオンにします。
ダイレクトモニター機能オン/オフ切り替え
Eスイッチ長押し
オーディオインターフェイスに入る前のアナログ信号をモニター再生します。
遅延(レイテンシー)のないリアルタイムの音を聞きたいときにオンにします。
グループ/モードの理解がポイント
XTONE Proのいちばんわかりにくいところが、動作モードの切り替えです。
商品説明やPDFのマニュアル(日本語化されています)だけではピンと来ないひとも多いのではないでしょうか。
MIDI初心者がここを理解するには、コマンドグループとMIDIコマンドモードのふたつをきちんと整理しておく必要があります。
特にマニュアルを適当に流し読みしていると、コマンド表の色分けだけに惑わされて混乱します(オレのことだ)。
コマンドグループ
コマンドグループはいちばん上位の概念です。
ですが、コマンドグループを切り替えてもスイッチ類の機能が変わるわけではありません。
どのグループでもスイッチの動作は見かけ上は同じです。
コマンドグループの色分け
3つののグループがあり、MODEボタンのLED色で表されます。
つまりMODEインディケーターのLEDはモードだけでなく、どのグループを選択しているかも表しています。
コマンドグループA グリーン
コマンドグループB ブルー
コマンドグループC レッド
コマンドグループを表すLEDは常に点灯しています。
つまりふだん目にしているMODEボタンの色が、グループを表します。
コマンドグループの切り替え
コマンドグループを切り替えるには、A~Cの3つのスイッチを長押しします。
スイッチAを長押しするとコマンドグループAとなりLEDがグリーンで点灯、スイッチBを長押しするとコマンドグループBとなりブルーが点灯、スイッチCを長押しするとグループCとなりレッドが点灯します。
初期状態はコマンドグループBなので起動後にブルーのLEDが点灯します。
コマンドグループの違い
フットスイッチの動作はどのグループを選択した場合も共通です。
異なるのはMIDI信号のうちCCナンバーだけです。
下の表でチェックしてください。
FSはフットスイッチ、EXPはエクスプレッションペダルを表します。
コマンドグループBを選択している間は、上の表の青い部分しか使われません。
つまりCC10や22、CC70や71などを使うには、コマンドグループ自体を切り替える必要があるというわけです。
MIDIコマンドモード
MIDIコマンドモードは、上記各コマンドグループの中のモード切り替えです。
コマンドグループとMIDIコマンドモードの関係
各コマンドグループにそれぞれモード1~モード3の3つがあるので、合計では3×3=9のモードがあります。
しかし前述したようにコマンドグループの違いはCCナンバーだけなので、9つのモードをすべて異なる動作設定にして使い分けるといったことはできません。
結局、ふだん使うときは3つのMIDIコマンドモードを使い分けることになるかと思います。
コマンドモードの表示と色分け
MIDIコマンドモードの切り替えは、A~Cの3つのボタンの組み合わせで行います。
各モードに切り替えると一時的にLEDがそれぞれの色で点滅します。
A+B同時押し → モード1 LEDグリーン
A+C同時押し → モード2 LEDブルー
B+C同時押し → モード3 LEDレッド
このとき常時点灯しているコマンドグループのステータスとの関係を理解しておく必要があります。
初期状態はコマンドグループBで、このときはブルーが点灯しています。
そこでMIDIコマンドモード1を選択すると、一瞬グリーンが点滅したあとブルーに戻ります。
つまりコマンドグループB内でMIDIコマンドモード1を選択した状態です。
同様にMIDIコマンドモード3に切り替えると、一瞬レッドが点滅したあとブルーに戻ります。
あとは同様で、コマンドグループA(グリーン点灯)の状態でモード1にすれば、グリーンが点滅したあとグリーンが点灯。モード2にすればブルーが点滅したあとグリーンが点灯という形になります。
各コマンドモードでのスイッチ動作
続いて各モードでの動作の違いを説明します。
なお、EXPペダルについては所有していないので未確認です。ご容赦ください。
どのモードでもすべての信号はMIDIチャンネル1に送られます。
ココに注意
CCナンバーは、どのコマンドグループを選択しているかによって異なるのでここでは説明は省略します。
MIDIコマンドモード1(切替時にLEDがグリーン点滅)
A~Fボタンはすべて排他動作となります。
つまりどれかひとつをオンにすると他は自動的にオフになるモードです。
スイッチA~Cの3つはValueが"127"になります。簡単にいうとオンになるということです。
同じスイッチを連続して押すと”127”が繰り返し送られます。
D~FはProgramの信号を送ります。
これは裏モード的な動作のようです。詳しくは後ほどカコミ記事で。
コマンドグループが1のときはD~EがProgram0~2、コマンドグループ2ではProgram3~5、コマンドグループ3ではProgram6~8が使われます。
フットスイッチ | Value | Prog No. |
---|---|---|
A | 127 | |
B | 127 | |
C | 127 | |
D | Program0/3/6(グループモードによる) ※詳細後述 | |
E | Program1/4/7(グループモードによる) ※詳細後述 | |
F | Program2/5/8(グループモードによる) ※詳細後述 |
モード2(切替時にLEDがブルー点滅)
A~Fボタンはすべて排他動作です。
どれかひとつをオンにすると他は自動的にオフになります。
フットスイッチ | Value | Prog No. |
---|---|---|
A | 127 → 0 | |
B | 127 → 0 | |
C | 127 → 0 | |
D | Program0/3/6(グループモードによる) ※詳細後述 | |
E | Program1/4/7(グループモードによる) ※詳細後述 | |
F | Program2/5/8(グループモードによる) ※詳細後述 |
モード1との違いはA~Cスイッチを押したときの動作です。
これらのスイッチを押すとまず”Value:127"が送られ、続けて”Value:0”が送られます。
MIDI初心者の私は、このような連続動作にどういう意味があるのかよくわかりません。
コマンドグループが1のときはD~EがProgram0~2、コマンドグループ2ではProgram3~5、コマンドグループ3ではProgram6~8が使われます。
これは裏モード的な動作のようです。詳しくは後ほどカコミ記事で。
モード3(切替時にLEDがレッド点滅)
A~Cスイッチはトグル動作で、押すたびにオン/オフが切り替わります。
つまり、最初にスイッチを押すと”Value:127”が送られ、次に押すと"Value:0"が送られます。
一方、D~Fスイッチは排他動作です。どれかをオンにすると他は自動的にオフになります。
コマンドグループが1のときはD~EがProgram0~2、コマンドグループ2ではProgram3~5、コマンドグループ3ではProgram6~8が使われます。
これは裏モード的な動作のようです。詳しくは後ほどカコミ記事で。
フットスイッチ | Value | Prog No. |
---|---|---|
A | 127 / 0 | |
B | 127 / 0 | |
C | 127 / 0 | |
D | Program0/3/6(グループモードによる) ※詳細後述 | |
E | Program1/4/7(グループモードによる) ※詳細後述 | |
F | Program2/5/8(グループモードによる) ※詳細後述 |
このモード3が一般的にはいちばんイメージしやすいのではないかと思います。
マルチエフェクターの場合、D~Fボタンでプリセットトーン3つの切り替えを行い、A~Cボタンではプリセット内のエフェクトオン/オフを切り替えるといった使い方が考えられます。
注意
表を見ておわかりのとおり、当記事作成に当って行なったテストでは、どのグループでもスイッチD~FはProgramという信号を出しています。
これはメーカーのマニュアルに記載されている内容とは異なっており、思ったような設定ができませんでした。
この点については、国内代理店のHookupに問い合わせを行い、併行していろいろいじくっていたら偶然解決策を発見しました。
スイッチD~Fでprogram信号を送るのはどうやら裏モード的なもののようです。
スイッチAを押しながらでUSBケーブルを挿して電源をオンにすると、本来の#CCを送るモードに切り替わりました。
もういちど同じ操作をするとprogramを出力するモードに戻り、再現性があることを確認できました。
モードの組み合わせ使用
マルチエフェクターを使ったギター演奏を想定したばあい、曲の間にモード1でプリセットの選択を行い、演奏中はモード3に切り替えてA~Cボタンでエフェクトのオン/オフを操作という使い分けも可能だと思われます。
この場合、排他選択できるモード1には1ステージで使うプリセットを6つまで登録しておき、曲の途中ではA~Cボタンで各エフェクター(歪み系、ディレイ、リバーブなど)を個別にオン/オフ切り替えといった使い方になるでしょうか。
また、ひとつのプリセット(パッチ)の中に複数の設定を持てるような機種では、D~Fのスイッチを使って一気に複数のエフェクトを切り替えるといった使い方ができるかもしれません。
上で述べたモードの切り替えについてはあくまで仕様から想像したものです。実際にそんな使い方が可能なのかはまだ判りません。今後検証していきます。
推奨アプリと対応モード
マニュアルには、XTONE Proでおもに利用されているアプリとモードの対応例が掲載されています。
モード1
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JamUp
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BIAS FX
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AmpKit+
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Amplitube(Windows版)
モード2
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GuitarRig(Disable Holdモード)
モード3
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VocaLive
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GuitarRig(Enable Holdモード)
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Amplitube(iOS版)
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ToneStack
以上のようなアプリケーションであれば、簡単に利用できるものと思われます。
まとめ
3つのコマンドグループ、3つのコマンドモード、6つのフットスイッチ+エクスプレッションペダルの組み合わせで単純計算では63パターンの操作ができます。
ただし、コマンドグループはもっぱらCCナンバーの選択に使われるもので、フットスイッチの動作そのものを切り替えられるわけではありません。
また、各コマンドモードもスイッチの動作は固定されていて自由にカスタマイズできるわけではありません。
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コマンドグループの切り替えはA~Cスイッチの長押し
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コマンドグループのステータスは”MODE”インディケーターの点灯色で確認
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コマンドモードの切り替えはA~Cボタンの組み合わせ
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コマンドモードのステータスは、”MODE”インディケーターの点滅色で確認
まずは上記4つの原則を理解するのが大切です。
ようやくXTONE Proの動作ロジックが判ったので(こうして記事にすることで頭を整理してます)、次はATEM Mini Proを操作するにはどのモードがよいかを研究してみようと思います。