US-4×4HRについて、基本的なセットアップ例を紹介します。
この記事の目次
USBとACアダプターの2電源仕様
US-4×4HRは付属のACアダプターとUSBケーブル(USB-C to A)のどちらでも動作します。
入力4系統すべてにコンデンサーマイクを接続して電力が不足するばあいはACアダプターを使用しますが、そうでなければUSB給電だけで動作します。
接続するPC側の端子もUSB-Cであれば、コンデンサーマイク4本でもUSBケーブルを接続するだけで動作します。
最新ドライバーその他のダウンロード
ファームウェアやドライバーの最新バージョンは、製品公式サイトのダウンロードページで確認できます。
2022年4月時点の最新ファームウェアはV1.10です。
ページを下へスクロールすると取扱説明書、仕様書、アップデートマニュアル、ファームウェア最新版、設定ソフトの最新版などをダウンロードできます。
専用ソフトをインストールする
専用ソフトSetting Panelを使うことで、本体だけではできないより細かいセットアップが可能です。
ファームウェアのバージョン確認にも必要なので、ダウンロードページからファイルを入手してインストールしておいてください。
インストーラーの実行ファイルができるので、ダブルクリックしてインストールを行います。
ユーザーアカウント制御画面が現れるので変更を許可します。
使用許諾の説明が現れるので、同意して次へ進みます。
あとは画面の指示に従ってインストールを行います。
ファームウェアのバージョン確認とアップデート
簡単な動作チェックで音が出るのを確認したあと、ファームウェアの確認を行いました。
US-4×4HRを付属のUSBケーブルでパソコンに接続すると、自動でSettings Panelアプリが起動しました。
ASIOドライバーを設定するように、というメッセージが出るので「次からは表示しない」にチェックを入れて、[OK]をクリックします。
設定アプリTASCAM US-HR Setting Panelが起動します。
[Help]メニューから[About...]>[TASCAM US-HR]を選択するファームウェアと設定アプリのバージョン情報が表示されます。
ファームウェアのバージョンが1.00 0013なので、あらかじめダウンロードしておいた新しいファームウェアにアップデートします。
ファームウェアバージョン1.10のアーカイブファイルを展開。
展開したファイルの中から、”us-hr_firmware_1.10.exe"を実行。
アップデーターが起動します。
1.10へアップデートすることを確認して[Firmware Update]をクリック。
さらにメッセージボックスで1.00から1.10へのアップデートであることを通知してきます。
[OK]をクリックしてアップデート開始。
しばらく待つとアップデートが完了。
電源ケーブルとUSBケーブルをいったん抜いて、もういちど接続するようにというメッセージが出ます。
改めてAbout画面を開いて、バージョンが1.10になっているのを確認しました。
入出力接続例
まず、アンプ内蔵のパワードスピーカーに出力ケーブルを接続します。
LINE OUT 1~4の4つの標準フォーンジャックがあるので、1と2にそれぞれスピーカーへのケーブルを接続しました。
本来はバランス・ケーブルを使うとよりノイズに強く高音質になりますが、今回はケーブル長が50cm程度と短いこともあり、とりあえずあり合わせでふつうのケーブルを使用しています。
続いてフロントパネルにマイクとギターを接続しました。
4系統ともコンボジャックではなくXLR端子とは別に標準フォーンジャックがあります。
IN1にダイナミックマイク、IN3とIN4がギター(正確にはマルチエフェクター)からのステレオ信号です。
IN1のコネクターの左横にはファンタム電源用のスイッチがあります。
ファンタム電源はXLR端子共通で個別にオン/オフすることはできません。
ファンタム電源スイッチの上にあるLEDインジケーターはファンタム電源がオンのとき点灯します。
オフのばあいは常に点滅していますが、故障ではありません。
IN3とIN4にはマルチエフェクターからのステレオ分岐ケーブルを挿します。
IN3とIN4は本来ギター用(Hi-Z対応)ではありませんが、エレキギターからの直接入力ではないので、そのままジャックイン。
今回、IN2は使用していません。
マイク/Lineとインスツルメントの選択
フロントパネルの右端は、入力信号の切り替えとモニター関係のボリュームです。
IN1とIN2それぞれにスライドスイッチがあります。
ここでマイクまたはライン入力とINST(ギター入力)の切り替えを行います。
エレキギターから直接入力するときはスライドスイッチをINSTの方に切り替えます。
今回はIN1がマイク用なのでMIC/LINEのほうにしておきます。
IN2は使いません。
USBと書かれたインジケーターはUSBケーブルでの接続中に点灯します。
モニターバランスとボリュームセッティング
LINE OUT 1-2と書かれたシルバーのノブが音量調整用のダイヤルです。
パソコンで再生している音を聴くにはさらにMONITOR BALANCE(モニターバランス)のボリュームを”COMPUTER”側に上げてやる必要があります。
ダイレクトモニター機能を使用するには、設定ソフト上で"LINE OUT 1-2”または”LINE OUT 3-4”の設定が”Monitor Mix”になっている必要があります。
デフォルトでは”LINE OUT 1-2”が”Monitor Mix”になっています。
モニターバランスのボリュームノブをいっぱいに絞る(左へ回す)とUS-4×4HRに直接接続しているマイクや楽器の音しか聞えなくなります。
逆にめいっぱいに上げる(右へ回す)とパソコンからの音しか聞こえなくなります。
その中間ではどちらからの音も聞こえるので、パソコンで再生している音源を聴きながらいっしょに歌ったり楽器を演奏するときの音量バランス調整に使用します。
オーディオインターフェイスから入力した音をいちどPCへ通して聴くとわずかな遅れが生じるので演奏しにくくなります。
そういうときはノブをINPUT側にするとパソコンからの音量が下がり、パソコンを通さない=遅れのない音を聴きながら演奏できます。
一方、Syncroomのようにパソコンを通って届く相手の音に合わせて演奏するときはノブをCOMPUTER側にします。
ヘッドフォンのモニター音量
US-4×4HRにはヘッドフォン用ジャックがふたつあるので、二人で同時に音をチェックしたり、タイプの異なるヘッドフォンをつないで音の違いを聴き比べるのに役立ちます。
ステレオ設定のオプション
TSCAM US-HR Setting s Panelでは、入出力系統に関する設定が可能です。
いちばん上の”Direct Monitor Settings”では、4つの入力チャンネルをそれぞればらばらのモノラルチャンネルとして扱うか、1-2、3-4をそれぞれペアとして、2つのステレオチャンネルとして扱うかを選べます。
たとえば上で紹介したように、ボーカル用のIN1はモノラルとし、IN3とIN4のギターはステレオに割り当てることができます。
チャンネル1に入力したマイクは、PC上では左チャンネルになるようです。
4つのチャンネルを自由に割り当てたり、パンでステレオのワイド感を調節するといったことはできませんが、楽器を簡単にステレオにできるのは魅力です。
I/Oセッティング
I/O Settingsセクションでは、使用する入力チャンネルや出力チャンネルを設定します。
”Audio Input ON”では4つのチャンネルごとにオン/オフを選択します。不要なチャンネルはオフにしておくことができます。
”LINE OUT 1-2"と”LINE OUT 3-4”は、ラインアウト端子に出力する信号の選択です。
初期設定は”LINE OUT 1-2”は”Monitor Mix”、LINE OUT 3-4のほうは”Computer Out 3-4”に割り当てられています。
Monitor Mixがオンになっていることでパソコンで再生した音とUS-4X4HRに入力した音がミックスされ、ループバック機能が利用できます。
LINEOUT設定では、”Monitor Mix”のほかに”Computer Out 1-2”または”Computer Out 3-4”を選択可能です。
”Comuter Out 1-2”と”Computer Out 3-4”は、それぞれパソコンから送られてくる1-2チャンネルおよび3-4チャンネルの信号を出力します。
これにより、2系統のモニタースピーカーのどちらにどの音を送るかを選べます。
バッファサイズ
Windowsパソコンでは、パソコンとUS-4×4HRの間でデータをやりとりするときのサイズを指定できます。
バッファサイズを小さくするほど音の遅れが少なくなりますが、代わりにパソコンの処理能力が必要です。
もし処理能力が足りないと、音切れやノイズが発生する可能性が増えます。
逆にバッファサイズを大きくするとより安定して動作しますが、代わりに音の遅れが大きくなります。
US-4×4HRでは、バッファサイズを4~2048サンプルの間の11段階で選択できます。
初期設定は256サンプルです。
実際にオーディオインターフェイスで音を鳴らしてみて、ブツブツ音切れが生じたりノイズが出ているようだったら、バッファサイズを大きくします。
逆にノイズがないようだったらサイズを小さくしていき、ノイズが発生しない範囲でもっとも小さい値に設定するといいでしょう。
ループバック設定
Loopbackをオンにすることで、パソコンで再生した音をUS-4×4HRに送って再生するだけでなく、もういちど戻して(もちろん楽器や歌とミックスして)録音したりライブ配信することができます。
ループバックをオンにすると、入出力それぞれをモノラルにするかステレオにするかを選択できます。
BROADCAST Volumeのスライダーではループバックを使って配信/録音する音の音量を調整します。
ループバックはデフォルトではオフになっているので、ループバック機能を使いたい人はかならずSettings Panelをインストールして、設定を有効にしてください。
以上が、US-4X4HRの基本的な設定です。
4系統入力を活かして、1-2チャンネル、3-4チャンネルをそれぞれステレオに設定したり、モノラルとステレオの組み合わせで使ったりと、数パターンの使い方ができるのが魅力です。
4マイクをフルに使ってポッドキャスト的な番組を制作するならすべてモノラルにしておくのがお奨めです。
一方、音楽制作なら楽器用をステレオ、ボーカル用をモノラルにしておくのが自然で使いやすいでしょう。
次回は、Syncroomで演奏を楽しむための設定について紹介します。
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