「業務用カメラで高画質なストリーミング配信](https://technote.flyingjunk.net/5595/)とでは、高価な業務用ビデオカメラをLANで接続するというちょっと特殊な方法でのライブ配信を紹介しました。
そういった機能がない普通の家庭用ビデオカメラでもキャプチャーボックスやキャプチャーユニットと呼ばれる装置を組み合わせることで、ライブ配信機材として使えます。
今回はキャプチャーボックスを使うばあいの設定例を紹介します。
この記事の目次
キャプチャーボックスでカメラを接続する
キャプチャーボックスを使うには、ビデオカメラがHDMI信号を出力できる必要があります(いまどきの製品だったらだいじょうぶでしょう)。
逆にいうと、HDMI信号を出せる機器であれば、別にビデオカメラでなくてもゲーム機やテレビ、DVDデッキなどの映像もライブ配信のソースとして使えるということです。
今回はいちおうビデオカメラの接続ということで紹介しますが、実際には「キャプチャーボックス」の接続方法であり、元の映像ソースはHDMIであればなんでもかまいません。
Elgato HD60 S
Fukuzumiが使用しているキャプチャーボックスは、のというモデルです。
薄くなった石鹸くらいの大きさで、HDMI機器とパソコンを中継するのに使います。
もともとはゲーム機でのプレイをパソコンでライブ配信するためのものなので、外観はわりとシンプルで業務用放送機器のようなゴツさはありません。
価格も業務用放送機器に比べるとかなり手頃ですが、この機械が登場したとき業務用機器の多くは720Pでの配信しかできないのに対して、ゲーム用機器は1080P(フルHD規格)での配信ができるという、一種のねじれ現象が起きていました。
現在ではさらに高機能になったや4K対応になったモデルも登場しています。
キャプチャーボックスで注意すること
HD60 Sのような外付けのキャプチャーボックスを使用するばあい、HDMI機器とPCの間をケーブル接続します。
このため取り回しがめんどうなところはありますが、逆にいうとノート型PCといっしょに持ち運んで使えるので、特設会場からのライブ配信なんかには適しています。
キャプチャーボックスの中にはパソコンの拡張スロットに装着するものもあります(など)が、そのばあいデスクトップやタワー型パソコン用なので、簡単に持ち運んで使うというわけにはいきません。
また、キャプチャーボックスには1台のHDMI機器しか接続できないので複数のカメラを使い分けるには、カメラの数と同じだけキャプチャーボックスを用意する必要があります。
筐体が大きいタワー型パソコンで拡張スロットに余裕があれば、何枚ものキャプチャーボックス(この場合はボード)を増設することもできますが、ノートパソコンでの使用では1台かせいぜい2台どまりでしょう。
Elgato HD60 Sの接続例
HD60 Sに限らずキャプチャーボックスの接続は簡単です。
まず、ビデオカメラとHD60 SのHDMI InポートをHDMIケーブルで接続します。
今回使用したカメラはmicroHDMI端子だったので、microHDMI(タイプD)と通常HDMI端子(タイプA)のケーブルを用意しました。
ビデオカメラにもともと附属していますが、カメラの設置を考慮すると少し長いものがあったほうがいいでしょう。
HD60 SからPCへの接続にはUSB3.0仕様のケーブルが必要です。
当然パソコンのUSB3.0ポートへ接続します。ポートに見えているコネクタのプラスチック部分が青いものか、またはSSと書かれているところへ接続しましょう。
HDMIパススルー出力
HDMI INの反対側には、出力用のHDMI OUT端子があります。
公演会場の大型モニターやプロジェクターに映像を映しながら、同時にライブ配信するといった利用も可能になります。
OBS Studioで映像ソースを指定する
では、HD60 Sを使ってOBS Studioに映像ソースを設定していきましょう。
シーンを追加する
まずOBS Studioにビデオカメラ専用のシーンを追加します。
シーンには複数のカメラを設定したり、テキストタイトル(テロップ)を組み合わせたりすることもできますが、基本的にはひとつのシーンに1台のカメラを設定します。
つまりカメラの切り替え=シーンの切り替えとなります。
カメラの切り替えに使いますからでわかりやすい名前をつけておきましょう。
映像ソースを追加する
次に、シーンで使用するソースを追加します。
メニューを開くといろいろなソースタイプが並んでいますが、キャプチャーボックスを使用するので"映像キャプチャデバイス"を選択します。
”ソースを作成/選択"ダイアログボックスが出たら「新規作成」を選択して名前を入力します。
ここでは使用するビデオカメラの機種名を入れてみました。
続いて、今作成した映像ソースのプロパティ画面が現れます。
"デバイス"のところを見るとすでに”Game Capture HD60S (Video) (#01)”と表示されていて、HD60 Sが認識されているのがわかります。
ご覧のように、OBS Studioからはビデオカメラではなく、あくまでキャプチャーボックスとして認識しているのがわかります。
なので、ビデオカメラの代わりにデジカメの写真を映したり、ゲーム機やDVDデッキの映像を流してもいいわけです。
ここでは、先にビデオカメラを接続して電源を入れてあったので、上のプレビューにもすでに映像が表示されています。
もし、HD60 S以外のデバイスが選択されているようだったら、ドロップダウンリストを開いてほかのデバイスを選択してください。
もちろん、外部のキャプチャデバイスだけでなく、PC内蔵カメラやWebカメラ化したスマートフォンなどもここで指定できます。
[OK]をクリックするとプロパティ画面が閉じます。
必要に応じてシーンの順番を並べ替えるなどしてください。
カメラの音声に注意
ビデオカメラをキャプチャデバイスとして使用するばあい、音声(マイク)の設定に注意が必要です。
今回の例では、先にメインカメラとしてXF400を登録済みだったので、音声ミキサーにはXF400からの信号が登録されていました。
しかし、新しいカメラを登録したことで”PJ630V”からの音声に切り替わっています。
しかし、カメラの撮影ポジションによっては、ビデオカメラ内蔵マイクからの音声では音が小さすぎたり余計な雑音が入り込んだりして、最適とはいえない場合があります。
特に、パソコンの近くで撮影しているばあいには、パソコン内蔵マイクとビデオカメラのマイクの音声がいっしょになって聞きづらくなる可能性が大です。
このような懸念がある場合、音声収録用のマイクは別に用意しておき、ビデオカメラのマイクはミュート(消音)したほうがいいでしょう。
使用するマイクはなるべく話者(演者)に近いものにします。
上の図では、PC内蔵マイクで音声を収録し、ビデオカメラのほうはミュートしています。
これでビデオカメラの映像をOBS Studio経由で配信できるようになりました。
つなげる機械がビデオカメラであれ、ゲーム機やDVDデッキなどの映像機器であれ、キャプチャーボックスを使用するための設定は同じです。
PC内蔵カメラだけの配信に比べるとより多彩なカメラアングルと演出ができるのでぜひ使ってみてください。
キャプチャーボックスを使ったライブ配信設定 - まとめ
- キャプチャーボックスはゲーム用などを利用できる
- HDMI対応であればビデオカメラ以外の映像もライブ配信可能
- USB3.0ポートに接続する
- OBS Studioでは「映像キャプチャデバイス」として登録
- マイクの設定に注意、不要な音はミュートする
その他のビデオキャプチャーデバイス
AverMedia製品
Elgatoと並んでゲームキャプチャーでは有名なAverMediaからはたくさんのキャプチャーデバイスが販売されています。
中には、4K配信に対応したものもありますが、ライブ配信用としては少々オーバースペックでしょう。
国内メーカーの製品
パソコン関係の周辺機器では有名なI・Oデータ機器からも発売されています。
低価格な製品もいろいろ
最近では実売価格で3,000円程度のものも販売されているようです。
USB2.0接続で30fpsまでしかサポートしていないようなので本格的なゲーム配信には物足りないかもしれませんが、講演のライブ配信程度ならこのくらいでも充分かもしれません。
その他にも低価格商品がたくさんあるので探してみてください。
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