「お奨めオーディオインターフェイス」のようなWeb記事にはあまり採り上げられることのない地味めの機材ですが、その魅力がどこにあるのか紹介します。
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高音質なコンデンサーマイクを4本いっしょに使いたい
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ループバックを使った番組作り、動画制作がしたい
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(DAWを使わずに)手軽にステレオ音源で収録・ライブ配信したい
といった要望のある方にお奨めです。
この記事の目次
4in / 4outのインターフェイスが欲しい
そもそも新しいオーディオインターフェイスが欲しくなった理由は次のような感じです。
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Yamaha AG03はギターのステレオ入力ができない
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ZOOM L-8は高機能すぎて設定の把握がめんどう、うっかりトラブルが心配
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そもそもL-8は借用品なのでいずれは返却しなければならない
中でもギターのステレオ入力がやってみたかった(L-8で体験済み)わけですが、必要性に迫られているわけではなく、あくまでも興味本位、好奇心の範囲ではあります。
ギターのステレオ入力ってどうやるの?、そもそも必要あるの?と思われるかもしれませんが、たまたま手持ちのマルチエフェクター(ZOOM G1four)がステレオ出力対応なので、インターフェイスとケーブルさえあれば簡単に対応できます。
DAWへのレコーディングだったら2系統入力のインターフェイスでもいいんですが、Syncroomを使うばあいそれにプラスしてマイクが必須なのでどうせだったら4インのモデルがほしい、というわけです。
US-4×4HRはどんな機種?
US-4×4HRは、以前のUS-4×4をブラッシュアップしたモデルで、24bit/192kHz対応になったほか、回路も見直されて音質が向上しているとのことです。
シリーズは3モデルで、そのうち4×4は名前のとおり4in/4out仕様となります。
2021年初頭あたりに発売されたモデルですが、意外と人気はないようで、おすすめオーディオインターフェイスを紹介しているWebページでも案外チョイスされていません。
シリーズ製品の詳しいレビューは以下でご覧いただけますが、個人によるインプレッションなどはあまり見当たらないようです。
タスカムのラインナップでは、ほぼ共通の外面をもつSERIES 208iより1ランク下のエントリーグレードになります(正面パネルのデザインがそっくりの色違いに見えるだけで、機能はかなり違います)。
またSERIESラインの製品は楽曲制作メインなのに対し、USーHRのほうはライブ配信も考慮した仕様で、配信ソフトOBS Studioを公式サポートしています。
これも一般ユーザーには嬉しいところです。
4ch入力、ファンタム電源対応
実は、低価格帯の4系統入力のモデルというのが、意外にありません。
ざっと見渡したところで、FocusriteのScarlet 4i4や高音質で人気のMOTU M4がありますが、残念ながらどどちらもXLR端子が2系統で残りは標準フォーンジャックなのです(ふつうの人はこれでいいんですけどね)。
こちらはFocusrite Scarlet 4i4。
そしてこちらが音質が高評価のMOTU M4。正直レベルメーターはうらやましい。
一方TASCAM US-4X4HRは、フロントパネルにXLR端子が4つ並んでいます。加えてコンボジャックではなく、標準フォーンジャックが独立しているのも特徴です。
そのぶん、他機種より横幅があるんですが(約30cm)、いまLiveTrak L-8を置いているスペースには充分収まります。
見かけ上はおなじ4系統入力でも、コンデンサーマイクとダイナミックマイクが混在して音質がばらついたりするのがいやだったら、US-4×4HRは断然お奨めです。
XLR端子4系統のアドバンテージ
4系統のXLR端子はもちろん+48V ファンタム電源対応。
ということは、いざとなればコンデンサーマイクを4本使えます。
アコギにコンデンサーマイク2本立てて、さらにボーカルとコーラスで1本ずつといったことも可能になるわけです。
ほかには、ゴスペルやクワイアのようなまとまった人数の収録にもいいでしょう。
もちろん、マイク4本でのポッドキャスト番組制作やライブ配信もいけます。
この対応力の広さが魅力。
また4つの入力端子のうち、IN1とIN2はギターの入力に対応。
パネル右側にあるふたつのスイッチで、MIC/LINEとINST(ギター)を切り替えます。
出力も4系統
入力だけでなく、出力も4系統。
メインモニターとサブモニターのように使い分けが可能です。
しかも標準フォーンジャックですがバランス・ケーブルに対応しているのでノイズに強く、PAに長いケーブルで接続するとき有利になります。
フロントパネルにはヘッドフォンジャックがふたつあり、ふたりで音を聴いたり、異なるヘッドフォンで音の違いを確認することができます。
さすがにヘッドフォンのボリュームは共通ですが、同じ音をふたり同時に確認できるのはメリットでしょう。
USB電源とACアダプター
パソコンとの接続はUSB-C端子で、仕様はUSB 2.0 High Speed (480Mbps)。
電源はUSBバスパワーですが、もし給電能力に不足がある(コンデンサーマイクが使えない)場合は付属のACアダプターを利用できます(バスパワーのみで動作させるには、PC側もUSB-Cコネクタの必要があるようです)。
MIDI端子も装備
MIDIのIN/OUT端子を備えているので、キーボードの生演奏でPC上の音源を鳴らすといったこともできそうです。
iOS/Androidデバイス対応
USBクラスコンプライアントなので、MacOSではドライバ不要。
さらにiPad/iPhoneなどのiOSデバイスやAndroid端末でも動作します(OTGカメラアダプタが必要)。
iPadのガレージバンドなどでも音楽制作が可能ですね。
音が遅れないダイレクトモニタリング機能
USBオーディオインターフェイスは基本的にパソコンから出力される音を再生します。
しかし、歌いながら/演奏しながら録音するようなケースでは、オーディオインターフェイスとPCの間やパソコン内部での処理による遅れが生じます。
簡単にいうと声や演奏が遅れて聞こえるので、タイミングを合わせるのが難しくなります。
これを解消するのがダイレクトモニター機能です。
TASCAMの公式サイトに掲載されている概念図です。
左が通常のデータ処理で、右がダイレクトモニター。
ダイレクトモニターだと、オーディオインターフェイスに入ってきた音をデジタル処理せずそのままモニターに出力するので音の遅れがありません。
しかもUS-4X4HRでは、単なるダイレクトモニターではなく、PCからの音とダイレクトモニターの音量バランスを調整できます。
Syncroomだとセッション参加メンバーの音を聴く必要があるので、必ずオーディオインターフェイス経由の音が必要です。
一方、単純なレコーディングなら自分の演奏する音だけ聞こえていればよく、PCを通った音は却ってじゃまです。
US-4×4HRは、これを音量バランスのボリュームだけで自由に調節できます。
さらにモニター音量のバランスは、専用のコントロールソフトからも調整できます。
ループバックでPC上の音源とセッション
ループバックは、パソコンで再生している音をオーディオインターフェイスに送り、それをもういちどパソコンに送り返す機能です。
なぜいちどオーディオインターフェイスに出すかというと、まず再生している音を聴くためというのがひとつ。そしてもうひとつはマイクや楽器の音をミックスするため。
つまりループバック機能があると、パソコン上で鳴らしているカラオケに生歌や演奏を載せてライブ配信するといった使い方ができます。
OBS Studioであればループバック機能がなくても同様のことができますが、US-4×4HRではラジオ/ポッドキャスト番組などを手軽に制作できます。
楽曲はステレオ、ボーカルはセンターで
個人的に、これがいちばん魅力の機能です。
US-4×4HRでは、チャンネル1と2、またはチャンネル3と4のペアをオプション設定ひとつで簡単にステレオ化できます。
逆にいうと、ステレオ化しないばあい、各チャンネルをモノーラルのままミックスすることになります。
これにより、たとえばチャンネル3とチャンネル4に入力したギター音源をステレオ化し、さらにチャンネル1のボーカルはモノーラルという設定ができるわけです。
チャンネル1をモノーラルにすることで、ボーカルが左チャンネルだけになってしまうといったことがなく、歌がセンターで聞えます。
デュアルモノーラル化はできません。お詫びして訂正いたします。
本格的なミキシング機能はありませんが、専用アプリ上の設定だけでこういった設定が簡単にできます。
Syncroomであれば同様の設定が簡単にできますが、Syncroomを通さない単なるライブ配信や録音でもこれができるのは、US-4×4HRの大きなアドバンテージになります。
マルチトラック録音やステレオ配信にお手頃
ご紹介してきたとおり、US-4×4HR
次回は実際のセッティング例を紹介しますので併せてお読みください。
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TASCAM US-4×4HRをお奨めしたい用途
- マルチマイクを使った番組作成
- ボーカル/コーラスグループの録音
- ステレオ音源で鳴らしたい音楽系のライブ配信