CATALYSTとBOSSのKATANA MkIIを比較しているものがいくつか見られたので急遽比較してみました。
KATANAシリーズのアンプはハイゲインサウンドが得意というレビューが見られるので、これまで個人的にはあまり興味を持っていませんでした。
出力的に近いKATANA-50 MkIIとCATALYST 60を比較してみます。
基本スペック比較
CATALYST 60 | KATANA-50 MkII | |
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チャンネル数 | 2 | 2 |
アンプモデル | CLEAN BOUTIQUE CHIME CRUNCH DYNAMIC HI GAIN | ACOUSTIC CLEAN CRUNCH LEAD BROWN |
EQ | 4バンド | 3バンド |
スピーカー | 1×12inch | 1×12inch |
エフェクトカテゴリー数 | 3 | 5 |
パワーコントロール | ミュート 0.5W 30W 60W | Standby 0.5W 25W 50W |
フットスイッチ端子 | 1 | 2 |
アウトプット端子 | XLR×1 | ステレオ標準 |
AUX入力 | ステレオミニ | ステレオミニ |
MIDI入力 | USB-B端子兼用 | - |
エフェクトループ | ✔ | - |
パワーアンプ入力 | ✔ | ✔ |
パッチダウンロード | - | ✔ |
USBオーディオインターフェイス | ✔(4in/4out) | ✔(2ch) |
重量 | 11.8kg | 11.6kg |
アンプモデル/キャビネット
KATANA-50 MkIIは、5つのアンプモデルにそれぞれ2種類のサウンドバリエーションがあり、計10種類から選択可能です。
その中には”Acoustic”用のアンプモデルがあり、エレクトリックアコースティックギターを接続できます。
CATALYSTは6種類のアンプモデルとチャンネル1/2の切り替えで12種類のバリエーションがあります。
アコースティック用のモデルはありませんが、プリアンプ搭載のエレアコだったらパワードスピーカーモードで利用できそうです。
どちらも、実機をモデリングしたものはなく、メーカーオリジナルのモデリングとなります。
キャビネットはCATALYSTが3タイプ、KATANA-50 MkIIは記述が見つけられませんでしたがエディタの機能が上回っているためより多くのキャビネットを選択できるものと思われます。
またKATANA-50 MkIIはマイクの種類に加えて位置を選択できますが、CATALYSTはマイクの選択のみになります。
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どちらもメーカーオリジナルのアンプモデル
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バリエーション数はCATALYST、カスタマイズ性はKATANA-50 MkIIが上
エフェクト数と自由度
KATANA-50 MkIIは、エフェクトのカテゴリがブースター、モジュレーション、FX、ディレイ、リバーブの5つで、さらに各カテゴリに3タイプのエフェクトを設置可能です。
それに対してCATALYSTはモジュレーション、ディレイ、ピッチ・エフェクトの3種類(各タイプ)ですが、ブースターとリバーブは独立しているので実質的には同等と見なせます。
また、CATALYSTのブースターはアンプモデルごとに最適化されているので、実質的には6種類のブースターを使えることになります(もちろん自由に選べるという意味ではありません)。
KATANA-50 MkIIは、PC上の専用アプリを使うことでエフェクトの切り替えから接続順までカスタマイズできます。
CATALYSTのほうはそこまでの機能はありませんが、代わりにFXループ(センド・リターン)機能があるのでお気に入りのエフェクターを実機で使いたい方向きです。
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エフェクト数、編集機能はKatana-50 MkIIが上
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実機エフェクターを使いたいならCATALYST
パワーコントロール
どちらもパワーコントロール機能があり、アンプ出力を最大(100%)/50%/0.5Wから切り替えられます。
さらにKatana-50 MkIIにはスタンバイ、CATALYSTにはミュート設定があります。
CATALYSTの商品説明によると、ミュート設定はライン入力で録音したりヘッドフォンを使用する時に使うようです。
レコーディング機能
どちらも、ライン録音用の出力端子とUSB接続端子を備えています。
ライン出力端子はマルチトラックレコーダーやオーディオインターフェイスに接続しての録音が可能。
USB接続の場合は、アンプ自体がUSBオーディオインターフェイスとなるので、直接DAW上へ録音できます。
出力端子は、KATANA-50 MkIIがステレオ標準ジャックなのに対し、CATALYSTはXLR端子がひとつです。
ステレオ出力という点ではKATANA-50 MkIIが魅力ですが、ケーブル長が長くなるばあいはXLR端子のCATALYSTがノイズの点で優位になります。
一方、USBオーディオインターフェイスについては、KATANA-50 MkIIは2チャンネルなのに対し、CATALYSTは入出力とも4チャンネル仕様という違いがあります。
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ミキサー/オーディオインターフェイスへの接続ならKATANA-50 MkII
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DAWへの直接録音ならCATALYST
AUX入力
どちらも3.5mmのステレオミニプラグを備えています。
その他
CATALYSTはアプリケーションを使ったカスタマイズにそれほど力を入れていないようですが、パワーアンプのサグやバイアスをいじれるという点では、BOSSのNEXTONEにちょっとだけ似ているようです。
内蔵エフェクトがシンプルなこと、エフェクトループ用端子を備えているところなどもNEXTONEと通じるところがあり、位置づけとしてはちょっとシンプル化したNEXTONE風に思われます。
価格面ではKATANA-50 MkIIの実勢価格が2万7500円なのに対し、CATALYST 60の標準小売価格は4万6200円とかなりの差があります。
CATALYST60の実勢価格がどれくらいに落ち着くかが注目されます。
Spider V20 MkII 対 CATALYST60
現在使っているSpider V20 MkIIの不満点は次の3つです。
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マスターボリュームが使いにくい(小音量時)
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トーンコントロールノブとアンプ設定の関係
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ブースター/歪み系エフェクト
マスターボリュームが使いにくい
ギターアンプでは一般的かと思いますが、音量を絞ると音の張りがなく貧弱になります。
加えてSpider V20 MkIIはマスターボリュームの効きがリニアではないため、時計の文字盤でいうと9時以下のポジションが使い物になりません(音量そのものが急激に下がる)。
このため20Wの小音量アンプにも関わらず、小音量の設定がめんどうです。
パワーコントロールで0.5Wを選べるKatalystに魅力を感じます。
トーンコントロールノブとアンプ設定の関係
Spider Vシリーズは基本的に3バンドイコライザーですが、ローエンドモデルのV20 MkIIだけノブがひとつしかなく、細かい音質調整ができません。
アプリケーション上でトーン設定を行っても、アンプ上のノブを触った時点でデフォルト設定に戻ってしまうので、これもあまり意味がありません。
3バンド+プレゼンスを独立したノブでいじれるKatalystのほうがよさそうです。
ブースター/歪み系エフェクト
V20 MkIIに限らず、Spider Vシリーズ全体かと思われますが、どうもブースターやオーバードライブ系エフェクトが少なく好みにあったものが見当たりません。
ファズやディストーションの方に力が入っているように思われます。
あくまで、エフェクター自体に詳しくない初心者の印象ですが。
特に、ZOOMのマルチエフェクター G1fourを使ってからはより強く感じます。
Catalystはアンプモデルごとに最適化したブースターを搭載しているということなので、期待が持てます。
Spider Vシリーズの場合、V30以上になれば、トーンコントロールの問題は解消されそうですが、残るふたつはそのままだと思われます。
よって、出力が同等のSpider V60 MkIIと比べても値段は高くなりますが、Catalyst 60に期待してしまいます。
価格差がネック
ご覧のとおり、現在個人的に求めているものについてはCatalyst 60によってかなり解消してくれそうです。
KATANA-50 MkIIとの直接比較では、カスタマイズ性の点でKATANAが上回るものの基本的にシンプルなCatalystのほうが余計な設定で時間を取られず練習に打ち込めそうな気がします(ブログネタとしては乏しくなりますが)。
気になるのは価格で、KATANA-50 MkIIや、同じLine6のSpider V60 MkIIと比べても実勢価格より2万円近く高くなります。
どちらかというとNextone Stage寄りの価格帯です。
この価格差が気になる人は案外多いんじゃないでしょうか。
同価格帯で直接競合する製品というと、フェンダーのMUSTANG GTX50があります。
しかし、+1万円ほどで多機能なフットスイッチが付属するGTX100のほうにどうしても目が行ってしまいます。
GTXシリーズと比べた場合、好みのパッチをリスト化できるセットリスト機能やルーパー機能が魅力的ですが、よく考えたら曲の間にエフェクトをどんどん切り替えるような使い方は今後もしそうにないので、操作系がシンプルなCatalystでも充分です(肝心の音もかなり気に入っていますし)。