ゼロから自分で音作りしたい人には見逃せないポイントなので紹介します。
この記事の目次
公式動画でみつけた重要なチューニング方法
Line6のギターアンプ Spider V20 MkIIでもっといい音を出したいと思ってYouTubeで情報を漁っていたら、こんなのを見つけました。
Line6の公式動画に日本語字幕がついています。
これで驚いたのが、プリセットトーンからさらにEQやコンプの設定をいじっていることです。
アンプビルダーで、コンサルタントとして開発に関わったダン・ボウル氏が、ゲストのギタリスト相手にプリセットトーンのサウンドをチューニングしていくんですが、逆になんでデフォルトセッティングでやってくれてないの?という感じ。
しかも、トーンコントロールノブじゃなくて、Spider V RemoteのEQ設定をいじって、根本的なところからチューニングしていきます。
このEQ設定、簡易的ながら4バンドのパラメトリックイコライザーなので、モデリングされたアンプに合わせて、まずそのアンプの特徴的な周波数帯に合わせてレベルを調整しています。
プリセットトーンがもの足りないときはぜひチャレンジしてみるべきでしょう。
見逃していた音作りのポイント
さらに情報を探していたら、Spider Vシリーズ Mk IIの特徴として、(キャビネットシミュレーターで)「スピーカーモードを選べる」とありました。
Classicモードが追加されて、従来からのFull Rangeとどちらかを選ぶことができます。
MkIIしか知らないFukuzumiとしてはまったく未知の情報で、どういう意味があるのかよくわかりません。
そこで、これまで気にしてこなかったCab(キャビネット)と、Comp、EQの設定をチェックしてみました。
キャビネットの設定項目は次の3つです。
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Early Reflection
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Mic
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Speaker
Early Reflectionは初期反射の量で、パーセンテージで指定します。
Micは、キャビネットから出る音を録音するときのマイクの選択で、次の4つから選べます。
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57S
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57A
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421
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67
57Sと57AというのはともにシュアーのSM57がモデルで、Sの方がスピーカーへまっすぐに向けるのに対して、Aのほうは45度の角度で斜めに向けるようです(画面上のアイコン画像からの判断)。
マイク設定については、いまのところ聴き分けられていないので、正直どれでもいいかなと思ってますが・・・
EQはすでに紹介したとおり、4バンドの簡易パラメトリックイコライザー。
Qの設定がありません。またLo側、Hi側ともにシェルフタイプとなっているのでローカットやハイカットの設定はできないものと思われます。
Compはスレッショルドとゲインを調整できます。
このEQとCompは、いわゆるエフェクター(Spiderシリーズでいうところの”Stomp”)とは別になっています。
プリセットトーンを確認してみる
プリセットトーンの設定がどうなっているかざっと見てみました。ここでは、3つほどピックアップして紹介します。
Clean 1:US Doubleの設定
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アンプ : US Double
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Early Reflection : 0%
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Mic: 57A
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Speaker : Classic
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EQ :オフ
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Comp:オン
Brit J-800の設定
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アンプ:1990 Brit J-800
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キャビネット:4x12 Brit T75
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Early Reflection : 0%
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Mic: 57A
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Speaker : Classic
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EQ :オフ
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Comp:オン
Little Wingの設定
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アンプ:1967 Class A-30 Top Boost
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キャビネット:4x12 Green 25s
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Early Reflection:0%
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Mic:57S
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Speaker:Classic
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EQ:オフ
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Comp:オフ
スピーカーはClassicを使ったものが多い
デフォルトで登録されているプリセットをざっと眺めてみたところ、マイクの選択はいろいろでしたが、スピーカーの方は、Classicを使っているのがほとんどです。
Full Rangeをセットしているのは、Ora CleanとOra Lead、Linc Dirty、Dreamy Cleanなどごくわずかで、モダンなロックサウンドと思われるプリセットでもあまり使われていないようです。
またEarly Reflectionも意外に使われていませんし、使っていても最大で20%程度です。
EQとCompも案外使われていないようで意外でした。
EQはそれぞれ設定されている
EQは設定自体がオフになっているものも多いんですが、それでもプリセットトーンごとに独自の周波数帯とゲインが設定されています。
それなのになぜオフになっているのか(オフで効果があるのか)はよくわかりません。
同じアンプ/キャビネットを使っているものでもEQが統一されているわけではなく、プリセットごとに異なる設定となっています。
ゼロから作るばあいの注意
そこでユーザー設定としてゼロから音を作るときにどうなっているのかを確認しました。
空いているスロットに新しいセットを作成します。
まず最初は空っぽなので”NoAmp”です。
アンプに”1964 Blackface ’Lux”を選択してみます。
キャビネット設定に切り替えてみると、”2x2 Blackface”が選択されていました。
Early Reflextionは0%、Micは57A、SpeakerはFull Rangeです。
コンボアンプのばあいキャビネットについては自動的に選択してくれるので、Bassmanを選べば"4x10 Tweed"になるし、Tiny Tweedを選べば"1x8 Tiny Tweed"になります。
問題はSpeakerで、どれもデフォルトは"Full Range"になっているようです。
私のようなクラシックロック好きおじさんは、このSpeakerを”Classic”にしておかないとどうがんばっても好みの音にならないということになりかねません。
EQはセットされていない
EQのほうは、アンプ/キャビネットとは独立しているので、キャビネットを選択したからといってその特性に合わせて自動でセットされるわけではありません。
標準では次のように周波数帯域が設定されているようです。
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Lo Shelf:160Hz
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Lo Mid:79Hz
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Hi Mid:2.9KHz
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Hi Shelf:1.2KHz
ゲインはすべて、0.1dBのフラットなセッティングです。
それぞれ、スライダーをドラッグして周波数帯とゲインを設定し、EQを忘れずにオンにしましょう。
これで大元の音作りができるはずです。
V20 MkIIのプアな操作系を補えそう
Spider V シリーズの中でも最廉価モデルのV20 MkIIはアンプ本体のトーンコントロールノブがひとつしかないので、上位機種のような3バンドEQでの調整ができないところが悩みだったんですが、今回”Classic”スピーカーモードの存在とEQの積極的な使い方がわかったことで音作りが楽になりそうです。
EQの周波数帯だけは最適なポイントを引き出すのがめんどくさそうですが、そもそもキャビネットシミュレーターである程度もとのモデルの特徴は出ているはずなので、最初はいじらなくていいかと考えています。
またプリセットの中でお目当てのアンプモデルを使っているものがあれば、その設定を参考に周波数帯を決めればいいんじゃないかと思います。