Spider V20 MkIIでの音作りをトライしていますが、エフェクター部分の使い勝手にすごく限界を感じたので、そこら辺のお話。
結局モバイルデバイスやPCと専用アプリが常にないとストレス溜まりまくりです。
基本的な音作りはアプリでやっておいて、ライブの現場ではアンプ本体のダイヤルで微調整・・・、というわけにはいかないようなのです。
この記事の目次
Spider V20 MkIIについて
Spider Vシリーズは、デジタル処理で歴代の有名なギターアンプの音を再現できるモデリング機能を備えています。
その中でもV20はにも掲載されていない特殊なモデルで、某有名大手楽器店の専売モデルのようです(私は同店のAmazon公式ショップで購入)。
アンプのモデリングに加えて、各種エフェクターも搭載されているので、一見これ一台でいろんな音作りができそうに見えますが、実際に使ってみたところいろいろと限界を感じます。
私自身エレキギターのエフェクターには詳しくないので、それが余計に輪を掛けているところもあるかと思いますが、今回は初心者の視点で感じる使いにくさについて紹介していきます。
使いこなしで必要なもの
冒頭でも触れましたが、このアンプでエフェクターを使った音作りをするばあい、モバイルアプリSpider V Remoteがないと実用になりません。
ということは、タブレットまたはスマートフォンなどのモバイルデバイスは必須です。
"あった方がいい"、とかいうレベルではありません。
まぁ、自宅だったらパソコン版でもいいでしょうが、ライブの現場で使うことを考えたらモバイルデバイスにしておくのが普通でしょう。
いまどきスマホもタブレットも持っていないという人は少数派でしょうが、それ以外に接続用ケーブルと、それから場合によってはモバイルバッテリーも必要ということです。
オーバードライブ設定で限界を痛感
Spider V20 MkIIの限界を実感したのはエフェクターでの音作りを試しているときでした。
使いたいアンプ(のモデル)が決まり、もわかったので、次にエフェクターの設定をいじってみたんですが、どうも好みの音になりません。
特に使ってみたかったのがScreamerというモデル。
アイコンのデザインや名前からみても、歪み系の定番、IbanezのTube Screamerをモデリングしたものと思われます。
ところがこれを選択してオンにしただけでは、どうも好みの音になりません。
本家TubeScreamerにはゲイン(オーバードライブ)/レベル/トーンの3つのダイヤルがあって、それで音を作っていきます。
それに対し、Spider V20 MkII本体のダイヤルはひとつしかないので、ダイヤルを動かすとすべてのパラメーターが連動して動きます。
これは、”Screamer"に限ったことではなく、エフェクターのパラメーターはメーカーであるLine6がプリセットした組み合わせの範囲内でしか動かせないんです。
すべてはアプリ頼み
そこで、専用アプリSpider V Remote登場となります。
ちなみに次のスクリーンショットはそれぞれ、トーンダイヤルを絞りきった状態と最大の状態です。
アンプ本体のノブをいじったばあい、3つのパラメーター(ここではドライブ/ゲイン/トーン)は、すべて連動して動きます。
個別に設定することはできません。
しかしアプリの画面上だったら、本家と同じくゲイン/レベル/トーンをいじれます。
ここまではひとまずOK。
ところで、アプリで音を作ったあと、アンプ本体のダイヤルを回すとどうなるでしょうか?
これがどうやら、メーカーでプリセットした設定に戻ってしまうようです。
つまり、いちどアプリで音を決めたら、アンプ本体のダイヤルは一切いじってはいけません。
ステージ上で曲に合わせてちょっと調整ということもできないわけです。
そういうときもアプリを使う必要があります。
オーバードライブの2段がけでさらに露呈
”Screamer”だけではなかなか音が決まらないので、もうひとつ別のオーバードライブを追加する「2段がけ」も試してみました。
プリセットに登録されているのは、ゲート>ワウ>ストンプ>アンプ>コンプ>EQ>ボリューム>モジュレーション>リバーブのような並びになっています(パッチによって並び順は異なります)。
この中で”Screamer”はストンプのカテゴリにあたりますが、並びの中でストンプをふたつ使うには、その他のどれかをストンプに入れ替える必要があります。
最初、このやりかたが判らず悩んだんですが、ストンプの中のエフェクター切り替えをさらに一階層あがると、エフェクターのカテゴリを切り替えられるのがわかりました。
そこで、たぶんまったく使わないであろう”Mod”(モジュレーション系)を”Stomp”に入れ替えることにします。
まずいちばん上のパッチの並びの中から”Mod”をクリックします。
すると下のペインがモジュレーション系の設定に変わります。
次にいちばん下のアイコンが並ぶグループの見出し部分で”Type”をクリックすると、エフェクターの大まかなカテゴリが選べるようになります。
いちばん左の”Drives & Dynamics"を選ぶと 、”Mod”だったところが”Stomp”に替わりオーバードライブや歪み系のモデルを選べるようになったので、ここでも”Screamer”を選びます。
入れ替えた新しい”Stomp”をオンにすると、”Stomp”がふたつとも有効になります。
アンプ本体のインジケーターを見ると、最初はオレンジ、青、緑と並んでいたFXボタンが、オレンジ、オレンジ、緑の並びに代わっています。
これで”Screamer”の2段がけができるようになりました。
アンプ本体のFXダイヤルは結局使い物にならない
さて、ここから前段、後段それぞれの”Stomp”を調整して音を作っていくわけですが、もちろん、このときもアンプ本体のノブはいっさい触ってはいけません。
たとえば、歪みの量を好みに調整できたとして、さらにブースターの量をギグの途中で調整したくなったとします。
このとき、アンプのFXノブをいきなり触ると、両方の”Stomp”が同時動いてしまいます。
ブースターの量だけを調整するには、歪みのほうをいちどオフにする必要があります。
これだと歪みの設定には影響せず、ブースターの方だけ調整できます。
でもこのとき出てくる音には歪みがかかっていないので、音を聴きながら調整することはできません。
両方がオンの状態での音を確認するには必ずSpider V Remoteを使わなければならないというわけです。
V20のエフェクターには期待しない
もちろん、アプリ上でどれだけ念入りに設定しても、本体のダイヤルを触った時点でメーカーがプリセットしたゲイン/レベル/トーンの組み合わせ上でしか変化しないので、アンプ本体だけで自由に音を作れるわけはないのです。
せめて、任意のパラメーターをロックするような設定でもあれば、ドライブとトーンは固定しておいて本体ノブではゲイン調整だけするといった使い方ができそうですが、いまのところそういう設定は見当たりません。
というわけで、Spider V20 MkIIのモデリング機能については、アンプとキャビネットの組み合わせを選ぶのと、あとはせいぜいリバーブとディレイぐらいしか使わないのがいいのではないかという気がしています。
要はノブひとつだけで充分コントロールできるものしか割り当てちゃダメだと思うのです。
確か、V30以上の「正規モデル」はバス/ミッド/トレブルのトーンコントロールが、エフェクター設定時には独立したノブとしてパラメーター設定に使えたかと思います。
これだったら、エフェクターの設定をアンプ本体だけで自由にいじれたでしょう。
しかし、トーンノブがひとつだけ、FX専用ノブもひとつだけのV20だと、本体だけでの音作りは事実上できないと思ってもらっていいと思います。
このあたりが、公式サイトの正規欄ナップから外れている「鬼っ子」の理由だと感じました。
幸い、エフェクターについてはZOOM のG1 Fourももっています。
こちらは4つのノブで独立した調整ができるし、Tube Screamer(TS808)だけじゃなく、EP BoosterやRC Boosterなど定番ブースターのモデルもあります。
ついでに言えば、アンプシミュレーターだって、ツインリバーブやベースマンといったフェンダー系、JCM800やSuper LEAD100などのマーシャル系、オレンジ、ディーゼルなども入っているのでヘッドフォンでの練習だったら当面困りません。
加えて、固定で動かさないエフェクトはSpider V20 MkIIで作っておいて、現場で調整したいものはG1 Fourでやるという手もあります。
そんなわけなので、Spider V20 MkIIでの音作りはもう止めようと思った次第でした。
- エフェクターの活用には専用アプリが必須
- モバイル機器との接続ケーブルやモバイルバッテリーも欲しい
- いちど設定したらアンプ本体のノブは触らない
- そもそもアンプ搭載のエフェクターモデルに期待せず、別に用意するべし
これから買い直せるならこれを使ってみたいなぁ