です。
今回はディテール紹介とファーストインプレッションをお届けします。
この記事の目次
TH-Zの製品仕様
アルミ製パイプの3段仕様ビデオ三脚です。
構成 | スペック |
---|---|
製品重量 | 3.5kg |
最大搭載重量 | 5kg |
スライドプレート | マンフロット/ザハトラー互換 スライド幅±30mm |
カウンターバランス | なし |
トルク | 固定 |
ヘッド仕様 | 75mmハーフボール |
スプレッダー | ミッド・伸縮可能 |
ティルト角 | +90° -80° |
パン角 | 360° |
高さ | 脚収納時:715mm、伸張時:1615mm |
その他 | LED照明つきバブル水準器 |
よく似た機種でTH-Xというのがありますが、Zのほうがレベラーのボール径が大きく(75mm)、耐荷重も大きくなっています。
選択の理由
正直なところ予算が最大の理由です。
確保できた金額の中から、三脚に割り振れる額を検討し手頃なところで落ち着きました。
そのため、カウンターバランスやトルク調整機能がついている機種は諦めました。
同価格帯の機種と比べたときのポイントとしては、ヘッド部とハーフボール部分を分割することでスライダー/ドリーと組み合わせられるという点がありました。
ただし、手持ちのスライダーをチェックしてみたところどうもセットができないようです。
どうやらLibec 純正品のみの対応で、汎用品は使えないようです。
バブル式水準器にはLEDライトがついているので、暗いホールでのセッティングでは役立つでしょう。
そのほか、購入時に気づいていなかった点としては、クイックリリースカメラプレートがマンフロット/ザハトラーの互換品でした。
すでにザハトラーのシステムACE Mを利用しているので、多少はメリットになるでしょうか。
ディテール紹介
ヘッド
カウンターバランスやトルク調整がないのでとてもシンプルです。
ハンドルは左右どちらにも付けられます。
プレートのロックはツイスト式。3/4周(270°)ほど回すとロックされます。
プレートをリリースするにはレバーを押しながら上へ抜きます。
互換式のプレートでも、ザハトラー システムACEは前後にスライドして着脱する方式だったので、慣れるまで戸惑いそう。
レベラー
バブル式水準器がヘッドのいちばん下、ハーフボールとの接合部付近についています。
カメラをセットした状態から少し視線を落した位置にあるので見やすいでしょう。
水準器はボールの基部から飛び出すように配置されていて、裏(下)からボタンをプッシュするとLED照明が点きます。
ボタン電池を交換するには、ヘッドをひっくり返す必要があります。
撮影のためにヘッドを外しました。
ボタンのついているパーツに切られている溝をコインなどで回すとLEDユニット全体が外れるので、そこで電池を抜き取ります。
ハーフボールの縁は一カ所だけ切り欠きになっているので、このポジションに持ってこないとユニットが外れません。
そのほかのポジションだと、ボールの縁に引っかかって取り外せないようになっています。
不用意に脱落しないように、位置を確認しておくといいでしょう。
脚
脚は3段。
スプレッダーはミッドタイプです。
不整地やホール内の観客席(段差あり)で使用することを考えて、グラウンドではなくミッドスプレッダーを選んでいます。
脚を閉じたときに中央でまとめられるようにフックが付いています。
最初開封したとき脚が開けなかったのでしばらく悩みました。
運搬中、不用意に開いたりすることがないのは便利です。
石突きは、ラバー製。
このため野外で収録のあと室内に移動するような使い方だと、泥や砂が付いています。
雑巾などを用意しておいてこまめに拭くようにしましょう。
キャリングバッグ
キャリングバッグが付属しています。
ザハトラー システムACEのバッグに比べるとパッドが薄いのが気になります。
やはり価格なりというところでしょう。
一方、ちっちゃいポケットがある(付属品のヘックスレンチやねじ変換アダプターなどを入れておくのに便利)のと、ストラップがショルダーとハンドのふたつあるのは評価できます。
インプレッション
カメラとのバランス
ハンドルを装着したXF400を載せてみます。
耐荷重は5kgあり、ハンドルを装着したXF400(重量2kg弱)にはほどよい大きさです。
逆にいうとこれ以上大きなカメラにはちょっと力不足かと思います。
スペック上の耐荷重にはまだ多少余裕がありますが、脚部も含めた全体の大きさ・重さを考えると重心位置が上がりすぎて不安定になります。
操作感
あくまでファーストインプレッションです。
カウンターバランスもトルク調整もないので、正直あまり期待していませんでしたが、ねっとりした操作感は意外に悪くありません。
カメラを水平にして前後バランスを取っても、俯角や仰角を付けると重心がずれることでバランスが狂ってヘッドが傾いてしまうのは当然ですが、その場合の動きがゆったりしていて、それでいてあまりフリクションを感じません。
パン棒をずっと握ってカメラを動かし続けるような撮影だったらあまり気にならないかと思いました。
もちろん手を離せばヘッドは傾きますが、XF400の重量だったらガクンと大きく動くようなことはないようです。
カメラの水平を出すためのハンドルは、意外にもザハトラー システムACEより動かしやすい気がしました。
ハーフボールの仕上げがいいのか、ハンドルを動かしたときに引っかかりがわずかながら少ない感じです(ほんのわずかな差ですが)。
それと、レベラーのバブルがザハトラーより小さいのでセンターが判りやすいと思います。
サイズ比較
スペックシートによると最大高は1615mm。
身長約169cmの筆者と比べると、トップがだいたい鼻の先端くらいの位置になります。
ザハトラー システムACE Mと並べてみました。
最低高と最大高での比較です。
まとめ
限られた予算内でのやりくりで選んだので、実のところさほど期待していませんでしたが、案外よかったという印象です。
カウンターバランスがないのでパン棒から手を離せばどうしてもヘッドが傾きますが、すでに触れたとおり常にパン棒を握っているのであればあまり気になりません。
パン棒で構図を決めたらロックという使い方だったら問題なしでしょう。
動き→静止→動きを繰り返すような撮影には、カウンターバランス付きのザハトラーを使いますが、舞台撮影の固定カメラ用としては、XF400クラスだったら充分に使えるかと思います。
もう少し小ぶりの小型カムコーダー用と考えると、価格面から見てもちょっとオーバースペックかなと思われます。
なにより、スマートフォンの普及で小型ビデオカメラの需要が激減していると思われるので、このクラスの三脚はマーケット的にかなり厳しそうです。
私自身は経験がないのでわかりませんが、軽量なミラーレス一眼などでの動画撮影だったら、あまりカメラを振って撮影するイメージがないので、あるいはそのあたりにはまる製品かもしれません。
- 軽量・シンプルで悩まず使える
- 照明付きレベラーは暗い舞台撮影で便利
- マンフロット/ザハトラー互換のスライディングプレート
- 一眼動画の撮影にはいいかも
できればこっちが欲しかった、スライダーセットモデル