ReadyBoostという機能があります。
少し古いパソコンを、あまりお金を掛けずに高速化したいときには試してみましょう。
この記事の目次
ReadyBoostでファイルの読み込みが早くなる
ReadyBoostはWindows Vista以降に搭載されている標準機能です。
簡単にいうと、ファイルを読み込むときにかかる待ち時間を減らせるので、処理が早くなったと感じられるということです。
このような仕組みをキャッシュといいます。
キャッシュで速くなる理由
ハードディスクでは、読み込むファイルがあちこちに散らばっているとそれを探しに行く時間がかかります。
そこで、毎回ハードディスクを読みに行くのではなく、よく使うファイルはキャッシュメモリと呼ばれるところにいちど溜めておくと、その後の読み込みが速くなります。
ハードディスクより読み書きが速いメモリにいちどテータを溜めておけば、その後はハードディスクでなくキャッシュメモリから読み込むからです。
もちろん、ぜんぶ仕事が終わったらハードディスクにデータを書き込んで終了となります。
Windowsにはこの仕組みをさらに便利にしたSuperFetchという機能があります。
ふだんからパソコンの使用パターンを分析してよく使うアプリケーションなどは前もって読み込むので、使い始めからスピードアップしてくれます。
ReadyBoostはこのSuperFetchをUSBメモリと組み合わせて使う機能です。
USBメモリがキャッシュ代わり
キャッシュメモリの大きさはパソコンによって決まっていますが、ReadyBoostでは外付けのUSBメモリをキャッシュとして使えるようになります。
つまり、もともとパソコンが持っているキャッシュより大きなキャッシュが使えるようになります。
USBメモリの追加で大きくなったキャッシュに溜めておける量が増えるから、結果的にハードディスクからいちいち読み込むのに比べて、処理が速く感じられるわけです。
便宜上USBメモリと表記していますが、実際にはUSB接続できるSDカードなどでも構いません。でも変換アダプタが必要だったりするので、実際にはやっぱりUSBメモリを使うのが現実的ですね。
ReadyBoostが役に立つのはこんなとき
ReadyBoostはちょっと古くて動作が遅いパソコンの速度を改善するのに効果があります。
- ハードディスクの処理速度が遅い
- メインメモリが少ない
- メモリの増設ができない/高コストで割に合わない
こんな条件に当てはまったらはReadyBoostを使って処理が快適になる可能性があります。
ReadyBoostを使うために必要なもの
当然のことながらUSBメモリが必要です。
容量
Wikipediaのによると、マイクロソフト社の発表ではパソコンに搭載してるメインメモリの3倍の容量のフラッシュメモリを推奨しているとのことです。
PCに搭載していると同じ容量か、それよりも多いものを使用することが推奨されているが、小容量でも効果が出ないわけではない。によると、搭載されたメインメモリの「3倍の容量[のフラッシュメモリ」を使用することで、最も優れたパフォーマンスを得ることができるとされる
読み込み速度
処理速度も重要です。
あまり高速でないUSBメモリを使うと、ReadyBoostの効果が充分に発揮されない可能性があります。
同じくWikipediaによると次のように解説されています。
使用するUSBメモリなどの外部記録メディアには、最低でも4kBデータのランダムリードで2.5MB/s、512kBデータのランダムライトで1.75MB/sの速度が必要である。前述のとおり、ランダムアクセス性能を補完するための仕組みであるため、高速タイプ(4kBデータのランダムリードを5MB/s、512kBデータのランダイムライトを3MB/s)のメディアを用いれば更に効果が大きくなる。
というわけで、できるだけUSB3.0対応の製品を購入したほうがいいでしょう。
さらにdynabook.comのサポートによるReadyBoostの解説(を見たところ、次のような記述がりました。
※空き領域が500MB以上あり、データ転送速度の高いUSBフラッシュメモリまたはSDメモリカードが必要です。USBフラッシュメモリまたはSDメモリカードのパッケージに「Windows ReadyBoost対応」と書かれている場合があります。容量は、お使いのPCに搭載されているメモリの2~3倍程度が最適となります
ReadyBoost対応と書かれている製品があったらそれを選んでおけば大丈夫ということですね。
装着するポートもだいじ
当然接続するUSBポートも3.0対応のものにします。
USB2.0対応のポートに接続してしまったら、せっかくの速度が活かせません。
USB3.0対応のポート(コネクタ)は内側のプラスチック部分の色が青いものがほとんどです。
白だったら2.0なのでそちらに装着しないようにしましょう。
また、プラスチックの色が青でなくてもコネクタのところのマークにSSと書かれていたらUSB3.0ですからそこへ装着しましょう(SSはSuperSpeedの略)。
ReadyBoostを設定する
高速なUSBメモリを買ってきても装着しただけだと、やっぱりただのUSBメモリ。
そのままではキャッシュメモリにはなりません。
そこでWindows側での設定が必要です。
step
1エクスプローラーでUSBメモリのドライブを選択する
USBメモリをパソコンに装着して、エクスプローラーで装着したドライブを選択します。
step
2コンテクストメニューから[プロパティ]を開く
右クリックでコンテクストメニューを開いて、[プロパティ]コマンドを実行します。
step
3「ReadyBoost」タブを開く
プロパティ設定ダイアログボックスでReadyBoostタブを選択します。
ReadyBoostが使えないとき
もしパソコンがハードディスクではなくSSD搭載だったら、ReadyBoostは効果がないので、次の画像のように設定はできません。
これは「使えないからダメ」なんじゃなくて、逆に使う意味がないほどもともと高性能ということです。
step
4「デバイスを使用する」設定
ハードディスク搭載パソコンだったらReadyBoostが使用できます。
設定は次の3つです。
- このデバイスを使用しない
- このデバイスをReadyBoost専用にする
- このデバイスを使用する
このデバイスを使用しないは名前のとおりReadyBoostを使いませんから、USBメモリの容量をすべてデータ保存用として使います。
このデバイスをReadyBoost専用にするは、逆に全容量をキャッシュメモリに割り当てるのでデータ保存用には使えなくなります。
このデバイスを使用するを選ぶと、USBメモリの一部をキャッシュ用として確保し、残りがデータ保存用になります。
キャッシュ用に割り当てる領域の大きさを指定してください。
大容量のUSBメモリがあれば、この「このデバイスを使用する」で使うのがいいでしょう。
ReadyBoostで気をつけること
ReadyBoostで速くなるのはファイルの読み込みだけです。
書き込みについては速くなりません。
ReadyBoostでUSBメモリ上に読み込まれたキャッシュデータは暗号化されているので、もしUSBメモリを取り外して持ち歩いている途中で紛失しても、個人情報が漏れる心配はありません。
でも、USBメモリを付けたままにしておかないとReadyBoostの効果はないので、できればデータ保存用とは別に専用のUSBメモリを用意した方がいいでしょう。
ReadyBoostに使っているUSBメモリを途中で抜いてもパソコンが壊れることはないといわれていますが、処理が遅くなるだけですからやらないほうがいいのは当然です。
装着しっぱなしになるので、USBのコネクタはひとつふさがってしまいますから注意しましょう。
付けっぱなしできる超コンパクト型がお奨め
手持ちのUSBメモリがあればReadyBoostを使って、簡単にパソコンを性能アップできます。
ただしReadyBoost用のUSBメモリはいつも装着していないとスピードアップの効果が得られないので要注意です。
データのバックアップや交換用でふだんは取り外しているんだったら、ReadyBoost用には使わないほうがいいでしょう。
ReadyBoost専用に、付けっぱなしでもじゃまにならない超コンパクトサイズのUSBメモリを購入することをお奨めします。
特に持ち運んで使うノートパソコンには、耐衝撃や防塵、防滴型の製品を選んでおくといいでしょう。