そこで今回は、無料のパーティション管理ツールを使ってどのようにクローンコピーを作成したか紹介します。
この記事の目次
突然ドライブの引っ越しを迫られた!?
ことの起こりは、最近急にドライブエラーが発生するようになったことです。
Fukuzumiがおもに使っているミニタワーPCでは、起動ドライブがSSDで、その他に増設ドライブとして4TBのハードディスクを使っています。
この増設ドライブのほうがときどき認識されなくなりました。
SpeccyやCrystal Disk Infoで調べても、まだドライブ劣化の兆候は見えないんですが、それなのに突然認識されなくなることがあります。
ということは、コントローラーとかインターフェイス部分のトラブルかもしれません。もし本当なら大ごとです。思いっきり焦って、とりあえずデータの救出を試みることにしました。
まずは、パソコンショップに走って引っ越し用のドライブを確保。さらにデータ復旧ソフトを手配しようとしました(実はデータ復旧ソフトはいままで使う羽目になったことがないので、持っていなかったのです)。
でも、データ復旧の前にひょっとしたら普通にコピーできないか?と一縷の望みを託し、ミニタワーPCからドライブを取り外して、USB接続アダプタ経由でつないでみました。
結果はクローン作成だけで済んだ
ミニタワーPCから取り外したドライブを、USB接続アダプタ経由でノートPCに接続してみます。
するとしっかり認識できてるし、再度チェックしてもやっぱりディスクの劣化は見られません。
これなら本当にコピーだけで済むかも!
というわけで、復旧ソフトを買うまえにまずUSB接続アダプタに2台のドライブを接続し、パーティション管理ツールを使ってクローン作成をやってみることにました。
結論から言うと、どうやらハードディスクのトラブルではなかったようで、故障を疑ったドライブも今のところは問題なく動いています。
つまり、結果的には大容量ドライブを買ってきてデータを引っ越ししたのと同じ形になりました。
そこで今回行ったクローン作成の手順を紹介します。
そもそもクローン作成とは
ドライブのクローンとは、ドライブの内容をコピーしてまったく同じ内容のドライブを作ることです。
同じ内容のものを作るという点ではバックアップコピーにも似ていますが、バックアップソフトを使うのとはちょっとした違いがあります。
狭い意味でのバックアップ(バックアップソフトを使ったバックアップ)では、バックアップ先にイメージファイルを作るのが一般的です。
イメージファイルというのは、ハードディスクやSSDといったストレージの中身まるごとをひとつのファイルとして扱えるようにしたもの。
本来ドライブの中には、何千~何万というファイルやフォルダがありますね。
でもそれをひとつずつ操作していたのではめんどうなのでとりあえずドライブの中身全体を一個のファイルに見立てて扱えるようにしたのがイメージファイル、と考えてもらうとまぁまぁ当たっているでしょうか。
イメージファイルを作るときには、同時に量を減らすための圧縮なんかも行うので、バックアップしたデータを管理するのもカンタンになります。
その代わり、バックアップしておいたデータを使うときは元に戻すための作業が必要です。
それに対してクローンはもとのドライブとまったく同じドライブを作ります。
イメージファイルは作らないし圧縮も掛けないので、クローンコピーしたドライブは元のドライブとまったく同じように使えます。
つまりドライブAのクローンを作成してドライブBを作ったばあい、ドライブBをドライブAと交換してもまったく同じように動くということです。
これだと、ドライブAの空き容量が少なくなってきたから、もっと容量の大きなドライブBを買ってきて、そこへドライブAの内容をそっくり移してしてから交換、という作業がカンタンに行えます。
今回やった作業がまさにコレです。
パーティション管理ツールでクローン作成
今回ドライブのクローン作成にはEaseUS Partition Master Free Editionを使いました。
無料版でも一般的に必要なパーティション管理作業はほとんどこなせる嬉しいソフトです。
EaseUS Partition Master Free Editionのページ
フリー版のおもな機能
EaseUS Partition Master Free Editionは無料版といっても、こんなにたくさんの機能があります。
- パーティション作成/削除/フォーマット
- パーティションサイズの変更
- パーティションの統合/分割
- エラーチェック
- MBR/GPTフォーマットの変換
- FAT/NTFSの変換
- ディスク/パーティションのコピー
- ドライブの抹消(データの完全消去)
- ジャンクファイルの掃除/キャッシュクリア
逆にフリー版の制限としては、ダイナミックディスクの編集、ダイナミックボリュームのサイズ変更、パーティションのリカバリー、Windows PEブートディスクの作成、パーティションのリカバリーなどがあります。これらは有料版でないと使えません。
また、フリー版で扱えるドライブ容量は8TBまでという制限もあります。
有料版になると容量の制限はなくなりますが、無料版でもたいていは間に合いそうですね。
EaseUS Partition Masterでのドライブコピー
では今回行ったクローン作成の手順を紹介します。
が、実際にクローンを作る前に、ドライブの準備が必要です。
接続したドライブを確認する
まずUSB接続アダプタにドライブを接続して認識させます。
EaseUS Partition Managerを起動すると次のように表示されました。
ディスク0がノートPCの内蔵ドライブ、ディスク1とディスク2がUSBアダプタで接続したドライブです。
ディスク1が故障を疑っていたドライブでこちらがクローンのソース(コピー元)、ディスク2の方がコピー先のドライブです。
実際の接続はこんな感じでした。
接続アダプタのSATA1(下側)がコピー元のドライブ、SATA2(右側)がクローンを作成するターゲットドライブになります。
ドライブをGPTで初期化しておく
ディスク2の情報をよくを見るとMBRとなっています。
MBRで初期化したドライブは、1パーティションのサイズが2TBまでという制限があります。
ディスク1の容量は4TBなのでそうなると単純にコピーはできません。
そこでディスク2のほうをGPTに変換しました。これなら2TB以上のパーティションが作れます。
ディスク2を右クリックして[GPTに初期化]を実行します。
コマンドを選択してもすぐには実行されず保留状態になるので、上の方にあるボタンで[1つの操作を実行する]をクリックします。
実行前にはメッセージが出るので、操作の内容がGPTに初期化 ディスク2になっているのを確認して[適用]をクリックします。
処理が始まると進捗状況を示すプログレスバーが表示されます。100%終了したら[完了]をクリック。
パーティション管理画面に戻るとディスク2のところがGPTになっています。
これで6TBのドライブをひとつのパーティションとして扱えるようになりました。
パーティションを作成する
GPTでの初期化が終わったら次にパーティションの作成です。
パーティションはディスク(ドライブ装置)の中を区切る区画です。
パーティションを作ることで、ひとつのディスクドライブ(装置)の中に、見かけ上たくさんのドライブを作ることができます。ひとつのハードディスクをふたつとか3つのドライブ(論理ドライブ)に分けて使ったりできます。
しかし、今回は6TBのディスク2をそのままひとつのパーティションとして使うことにしました。
EaseUS Partition Masterの画面右側にあるメニューから[作成]をクリックします。
次の画面でパーティションサイズを設定します。
帯状になっているところを使ってパーティションの大きさを決めるんですが、今回はディスク2いっぱいをひとつのパーティションにしたいから、ふたつの●が左端と右端いっぱいになるようにします(最初からそうなっているはずなので、実際には操作はいりません)。
さっき、ディスクをMBRからGPTにしましたが、アレをやっておかないとひとつのパーティションの大きさが2TBに制限されるので、このように6TBめいっぱい使えないというわけです。
ファイルシステムがNTFSになっているのを確認したら[OK]をクリックします。
元の画面に戻るとまたまたタスク(処理)が保留中になっているので[1つの操作を実行する]をクリックします。
このようになにか操作するたびにいちど保留になるわけですが、おかげでなにか設定をミスしても実行前に発見できて、致命的な失敗をやらかさずに済むのです。
間違えてデータが入っているドライブを消したりしたらたいへんですから、事前にしっかりチェックしましょう。
[1つの操作を実行する]をクリックしたら、またメッセージが出てきてこれから行う操作の確認です。
間違いがないことを確認して[適用]ボタンをクリックします。
パーティションの作成が始まるので、終わるまでしばらく待ちましょう。
パーティション作成処理が終了したら[完了]をクリックします。
メインウィンドウに戻って、パーティションができたことを確認します。
ドライブのクローンを作成する
ここまで終わったら、いよいよクローンの作成です。
まずメインウィンドウでクローンコピーしたいドライブを選択しておきます。
今回はディスク2のFドライブに当たるボリュームです。
続いて右側のメニューから[クローン]をクリックします。
クローン作成のためのウィザード画面が現われたら、ターゲットディスク(クローンの作成先)を選択します。
最初はディスク0が選択されていますが、このばあいディスク0はノートPCの起動ドライブなのでそもそもクローン先にしてはいけません。もちろん容量も足りません。
そこでディスク2のG:ドライブを選択します。
いちばん上の禁止マークが消えてクローン作成可能なことがわかります。
[次]をクリックすると警告メッセージが出ます。
クローン先に指定したG:ドライブは中身が消えてしまうのでその確認です。
今回はもちろん問題ないから[はい]をクリックします。
次のステップはプレビュー画面です。実際にクローンを作成するとこんな感じになるよ~というイメージですね。
ブルーのストライプが実際にファイルが占有する量です。ドライブ自体が4TBから6TBと大きくなっているので、ファイルの占有率は下がります。
[OK]をクリックするとまたまた保留になります。
この段階ではまだやり直しが効きます。もし設定を変えたかったら[戻る]ボタンで保留している操作を解除して、もういちど設定してください。
今回はもちろん、このまま実行です。[1つの操作を実行する]ボタンをクリックします。
最終確認画面がでたら、設定が間違っていないのを確認して[適用]をクリック。
このあと、クローンコピーの進行状態を示すプログレスバーが表示されますが、キャプチャを忘れてしまったので省略です。
クローンコピーにはかなり時間がかかります。
今回は4TBのドライブをコピーするのに、お昼過ぎからスタートしましたが、夜中でも終わらなかったのでそのままほったらかしで寝ました。
翌朝起きてみたらちゃんと終了していました。
が、うっかり画面キャプチャを撮るのを忘れてしまいました。
コピーが終わったドライブをチェックしてみましたが、クローン元のディスク1、クローン先のディスク2ともエラーもないようです。
そこでディスク1を元通りミニタワーPCのDドライブに戻しました。
ついでにディスク2もミニタワーPCに接続してディスクの管理画面で確認したところ、ちゃんと認識されています。
これなら、ディスク1とディスク2を交換してもちゃんと今まで通りに使えるはずです(もちろん容量が大きくなったドライブとして)。
ドライブ交換でもっと快適になろう
以上、EaseUS Partition Master Free Editionでドライブのクローンを作成して、より大きなハードディスクに換装する手順を紹介しました。
1ステップごとにスクリーンショットを撮って紹介しているのでめんどうに見えるかもしれませんが、実際には単に手順を追ってクリックしていくだけなので難しいところはありません。
クローンコピーに時間がかかるので、その間はパソコンの電源(今回はUSB接続アダプタの電源も)を間違って切らないようにするという点だけ気をつければだいじょうぶです。
もし、皆さんのハードディスクで空き容量が足りなくなってきたら、この記事を参考にもっと大きなドライブに乗り換えてみてください。
もちろん、寿命が近づいたハードディスクを故障前に交換するときも同じです。