iPhone/iPad用のルーパーアプリLoopy Proをギターアンプで使う方法を紹介します。
オーディオインターフェイス機能を備えたアンプであれば同様に使えると思うので、興味ある方は試してみてください。
記事公開後に判った情報を最後に追加しています。
この記事の目次
なぜルーパーアプリを使うのか?
本題の前に、そもそもなぜ実機のルーパーペダルではなく、アプリを使いたいのかという点ですが、個人的な理由を4つ挙げておきます。
その1 圧倒的に安い
iPhoneやiPadをすでに所有しているという前提になりますが、実機よりアプリのほうが遙かに安いのがメリットです。
後ほど紹介するLoopy Proは4500円とアプリとしてはかなり高額ですが、ルーパーの域を超えて本格的な音楽制作やライブパフォーマンスに使えるほどの機能を持っています。
その2 音色をコントロールできる
実機のルーパーをギターとアンプの間に入れるばあい、音色はおもに後段にあるアンプの設定に依存します。
そのためバッキングとリードの音色を変えて重ね録りするのはややめんどうです(前段に歪みペダルを入れるような設定はまた別ですが)。
一方、最近の安価な自宅練習用アンプの多くはPC接続用のオーディオインターフェイスを備えているので、これを利用してスマホに接続すれば、アンプモデルやパッチを切り替えるだけで音色をがらっと変えることができます。
ちなみにLine6 Catalystだとアンプ本体の内蔵エフェクトでオクターバーが使えるので、ベースパートも手軽に録音可能。
その3 使いこなしが簡単
Amazonで手に入るような激安ルーパーペダルは、ジャストのタイミングで踏まないとループの音がずれていきます。
それ自体、テンポやリズム感のトレーニングにはなりますが、操作に慣れるまではかなりの練習が必要です。
その点、ルーパーアプリはループの開始/終了を自動的に調整してくれるのであまりシビアにならず、気軽に練習できます(ただし単純に「操作」という意味ではワンボタンのペダルのほうが簡単とはいえます)。
その4 発展性が凄い
実機ペダルは機能がものたりなくなってきたら買い換える必要がありますが、Loopy Proならカスタマイズ次第で基礎練習用の超シンプルなレイアウトにもなるし、DAW顔負けのセットにも化けます。
また、保存しておいたフレーズをあとから組み合わせてひとつの曲に仕上げるといった使い方も可能。
ギター初心者の練習用から、作曲ツール、ライブパフォーマンス用のコントロールセンターまで自在に応用できるのは魅力です。
ちなみに公開されている開発ロードマップを見ると、歌詞表示用のプロンプターがすでにレビュー中。MIDIキーボードのサポートやMIDIによるループなども計画されているようです。
超多機能ルーパー "Loopy Pro"
今回はルーパーアプリの中でも定番のLoopy Proを体験版で試用しました。
Loopy Proはループ音源をベースにした総合的な音楽制作ワークステーションとでもいうべきアプリです。複数のループトラック(無制限)だけでなくループさせない音源も扱うことができ、別々に録ったループトラックをひとつにまとめてミックスしたり、Aメロ+Bメロのように組み合わせて曲を仕上げることもできます。
とても多機能な分価格もかなり高いのが難点ですが(4500円)、もっとシンプルなLoopy HD(700円)という選択肢もあります。
なおLoopy Proではバグ修正については生涯無料、メジャーアップデートについても1年間は無料となっています。
試用期間は7日間ですが、いったん期限切れになっても追加で7日間延長できます(無料のサブスクリプションを購入する形)。
Spark MINIとの接続
Loopy Proを単独で起動すると次のような画面になります。左端のレベルメーターは、デバイス内蔵マイクからの音声入力状態。
設定不要で最初から内蔵マイクを利用できるので、ボイスパーカッションなどはこのまますぐに録音できます。
今回はiPhoneと接続するのでUSB-C to Aケーブルとカメラアダプタを用意しました。
Spark MINIを起動したら事前の準備として、Bluetoothオーディオの接続を切っておきます。
これをやっておかないと音が出ません。
USBケーブルとカメラアダプタを接続してLoopyProを起動すると音声入力の設定が自動的に切り替わっているはず。
マイクアイコンの部分をタップすると入力デバイスのプロパティが現れます。
"Spark MINI USB”に切り替わっているはずです。
元の画面に戻り、Spark MINIにギターを接続して音を出すと、レベルメーターが振れます。
録音したループを再生すると、対応する色のレベルメーターが振れます。
再生音はUSBケーブル経由でSparkアンプのAUXに入力されます。AUXのボリュームを上げてください。
Line6 Catalystとの接続
USBオーディオインターフェイスを搭載していれば、Spark MINI以外のアンプでもLoopy Proを利用できます。
Line6 Catalyst60と接続したばあいのスクリーンショットを紹介しておきます。
アンプ名が”Catalyst 60 - 112"という見慣れない名前になっていますが、これはCatalystの初期設定でキャビネットが12インチ1発になっているためでしょう。
Catalyst Editでアンプの設定を変更すると、212や412に変わるものと思われます。
また、このプロパティ画面ではSpark MINIと違い、ハードウェアでのゲイン設定が非アクティブになっていて操作できません。
入力チャンネルが4つあり組み合わせを選択できますが、ギター入力だけなら"1"のままでよいと思われます。
カメラアダプタに注意
LoopyProに関する海外のフォーラムでのやりとりを見ていると、Spark MINIとiPhone/iPadをUSB接続しているのに、マイク入力からUSBオーディオに入力が切り替わらないことがあるようです。
これは単なるUSB→Lightning変換するタイプのアダプタを使用しているため電力不足になっているのが原因のようです。給電可能な(Lightning接続端子がある)タイプのカメラアダプタを使い、電源を接続していれば解消されるとのことです。
ノイズゲートも要チェック
Spark MINIとLoopyProを接続して音を出したときかなりノイズが大きく感じられました。
アンプ単体で弾いているときには感じなかったノイズなので、最初はiPhoneが発生源かと思いましたが、Sparkアプリの設定でノイズゲートをオンにすることでほとんど気にならないレベルまで抑えられるようです。
多くのプリセットでノイズゲートがオンになっていると思いますが、もしカスタマイズでオフにしているばあいは、ノイズゲートの設定を見直してみることをお薦めします。
補足 その後判明した問題について
記事公開後、本格的に使用を開始した課程でわかったことを追加していきます。
まず組み合わせるアンプによって発生する現象について。
Positive Grid Spark MINI
ハードウェアプリセットの状態からアンプ設定その他をカスタマイズしているのですべての方に当てはまるかは不明です。
プリセットのうちRYTHMをカスタマイズしたセットでループを録音すると、それを再生しながら演奏したときにギターの音がバリバリに割れます。アンプによる歪みのような音ではなく、スピーカーコーンが破れているようなへんな音になります。
その他のセット(フェンダー Tweedアンプをベースに作ったモノと、オレンジアンプがベースのもの)では特に感じられません(割れているのかもしれないが、気付かない程度)。
Line6 Catalyst 60
テンポと小節数を事前に設定して録音すると、再生時に時間が圧縮されたようになってしまい、本来の長さで再生されません。
フレーズをレコ-デングしたときは特に問題ないようです。
続いてLoopy Pro本体でわからないところ。
Loopy Pro自身の要チェックポイント
メトロノームのクリックを常に鳴らす(Always On)か、演奏前のプリカウントとして鳴らすかを選べます。
しかしプリカウントオンリーとして設定したはずがAlways Onになっていることがあります。