向きのオーディオインターフェイスを紹介してきました。
中でもギタープレイヤーのために作られた、最強レベルのオーディオインターフェイスを紹介します。
ギターの入力はもちろん、ボーカルレコーディングやSyncroomでの音声コミュニケーションに欠かせないマイク入力端子も搭載。
そのほかにもギタリストが喜ぶあれやこれや、いろんな機能をてんこ盛りにしたスーパーウェポンです。
パソコンやモバイル機器のアンプシミュレーターと組み合わせることで、操作性の点でも本格的なマルチエフェクターとして活用できます。
この記事の目次
ギター弾きが喜ぶ機能満載
まずはさっそく外観から紹介しましょう。
本家メーカーの公式サイトに掲載されている写真です。
一見、オーディオインターフェイスには見えないルックスですね。
大きさは右にあるスマートフォンと比較してみてください。
フェーダーやマイクボリューム、ジャックなどが見当たりませんが、その代わりにエフェクターのようなフットスイッチが6つあります。
よく見ると製品名のところにSMART STOMPとプリントされているのでわかりますが、実はこの製品、オーディオインターフェイスに加えてコントローラー用のフットスイッチを搭載しています。
ちなみに量子化ビット数は24bit。サンプリングレートはなんと44.1kHz~192kHzまで対応しています。
XSONICというメーカーはどこかで目にしたことがあるなと思っていたら、Positive GridのSparkやヤマハのTHRシリーズなどのアンプをワイヤレス操作するAIRSTEPというコントローラーの発売元でした。
接続用USBケーブルとモバイル機器用アダプターが付属
XTONE Pro本体のほかには、USBケーブル1本と、モバイルデバイス接続用の変換アダプターがふたつ、そして収納用のポーチが付属しています(写真は国内代理店Hookupのサイトより引用)。
USBケーブルは両端の端子がそれぞれType-AとType-B。
PCと接続するときはこのケーブルを使います。
変換用アダプタは、iphone用のLightning端子とiPadやAndroidタブレット用のUSB-Cタイプの2種類です。
モバイル機器にインストールした音楽アプリをXTONE Proからコントロールすることで、ライブ演奏でもモバイル機器が本格的なマルチエフェクターやドラム/サンプラー、ルーパーなどに変身。
音楽制作ツールがそのままパフォーマンス用のツールとし活用でき、機材も大幅にシンプル化できます。
こちらはメーカー公式チャンネルで公開されている動画。
BIAS FX Mobile(前のバージョン)をXTONE Proで操作するための設定をダイジェストで紹介しています。
MIDIの割り当てがめんどうに見えますが、実際にはアプリ側の学習機能でもっと簡単に設定できます。
ギター専用の入力端子
入力端子は本体右側面です。
INLとプリントされた標準フォーンジャックとINRというコンボジャックがあります。
ギター入力用はINLのほう。
ぱっとみてわかるとおり、普通のオーディオインタフェイスとは違いHi-Zの印や切り替え用スイッチが見当たりません。
ギター専用だから切り替えスイッチは不要ということで省略してしまったんでしょうか(代理店のWebによるとINLはギター/ライン入力用となってます)。
右側面の中央にあるEXPというジャックは、ギタリストならすぐ判るとおり、ワウやボリュームなどのエクスプレッションペダルを接続できます。
上面の6つのボタン+エクスプレッションペダルで7種類の操作ができますが、さらに3つのモードを切り替えることでより多くの操作が可能です(モードはグリーン/ブルー/レッドのインディケーターで表示されます)。
コンデンサーマイクもOK、ファンタム電源対応コンボジャック
一方、INRは標準フォーンジャックとXLRが一体化したコンボジャックになっています。
こちらはマイク入力用。しかもは48Vのファンタム電源に対応し、高音質のコンデンサーマイクが使えます
本体上面に48Vとプリントされたインディケーターがありますが、これも操作用スイッチがありません(Fボタン長押しで代用)。
各種設定操作はフットスイッチの長押しや同時押しで行うようになっていて極力シンプル化されています。
普段は足下に置いてストンプ操作するので、ムダなスイッチ類は省きたかったんでしょう。
ギター&マイク 2chのボリュームコントロール
ボリューム調整用のノブはGAINとVOLのふたつ。
GAINはプリアンプの入力用でマイクの感度を調整するようです。すぐ下には信号強度を示すCLIPとかかれたインディケーターがあります。
VOLは出力の音量です。
見たところギターの入力レベル調整はないみたいです。
インターフェイス用USBとコントロール用のMIDI端子
続いて本体背面です。
左に9VのDC電源用ポート。
ですが、ACアダプタは付属していません。
ふつうはUSB接続したPCやモバイル機器から電源を供給されるので、これはエフェクターボードに組み込んだときにパワーサプライから電源を採るためのものです。
隣はUSBポート。昔ながらのBタイプジャックです。
PC/Macとの接続だけでなく、iPhone/iPadのiOSデバイス、Android系タブレットでも利用できます。
中央にはMIDIの入出力端子がそれぞれひとつずつ。
XTONE Pro単体でもPCやモバイル機器にインストールしたMIDI対応アプリを操作できますが、さらにMIDI端子を利用して外部の音源やコントローラーとも連携可能。
ライブパフォーマンスのコントロールセンターとして活躍できます。
ステレオアウト+XLR出力
背面右側にはモニターヘッドフォンを接続するためのステレオミニジャック。
できたら1/4インチの標準フォーンジャックだったらと思いますが、まぁさほど問題ではないでしょう。
右端にあるシーソースイッチは一見電源に見えますが、実は出力信号のノイズ対策に使用するグラウンドリフトというスイッチです。
出力系の端子は本体左側面にまとめられていて、標準フォーンジャックのラインアウト端子がふたつ(ステレオ左右チャンネル)と、モノラルのバランス出力用XLR端子。
先ほどのグラウンドリフトスイッチはこのXLR端子と組み合わせて使います。
ところで、底面についているゴム足は黒と半透明の2種類です。
最初見たときは接着が剥がれたのか、もしくは間違えて付けられた不良品なのかと思ってしまいました。
しかしよくよく見ると、前後で高さを変えるために、敢えて厚みの違う2種類の足を付けていることが判明。
筐体デザインはただの箱形ながらゴム足を変えることで、コストは抑えつつ操作性を多少なりと向上させようというアイディアのようです。
これにはニヤリとしてしまいました。
使い方はアイディア次第
さて、フットスイッチの使い方ですが、一回押し、長押し、2ボタン同時押しによる動作モード切り替え、などさまざまな操作ができます。
組み合わせるアプリや外部デバイスによっても変わってくるのでまさに変幻自在です。
ギターの演奏で一般的なところだと、(アプリ上の)エフェクターのオン/オフやエフェクトパッチの切り替えなどが思い浮かびます。
そのほかにドラムマシンやルーパーのスタート/停止、DAWの操作なども考えられますね。
個人的は、Syncroom演奏時のマイクミュートを割り当てできないか期待しています。
このあたりの使い方は動画で見てもらった方がわかりやすいので、いくつかピックアップしておきます。
機能の概要については、ギタリストの鈴木健治さんが紹介しているものがわかりやすいと思います。
モードの切り替えやインディケーターの表示については、英語ですがこちらの動画がわかりやすいでしょう。
宅録派だけでなくライブ派にもお奨め
XTONE Proには、よりシンプルなXTONEとXTONE Duoという姉妹製品があります。
無印XTONEは入力がギターのみでフットスイッチを3個に絞ったミニマムモデル。
Duoは入力2系統でスイッチは3個です。
ギター演奏だけだったら無印でもよさそうですが、スイッチの数とマイク入力を考えたら、多少高いものの圧倒的にProがお奨めだと思います。
さて、このXTONE Pro。個人的にはiOSデバイスと組み合わせた使い方に魅力を感じます。
アンプシミュレーターとルーパーとドラムマシンをiPhoneでひとつにまとめて、XTONE Proで操作しながら録音なんてことができそうです。
BIAS FX2 Mobileのようなアンプシミュレーターアプリと組み合わせることで、足下に並ぶエフェクターをiPhone/iPadにすっきりまとめられ、パワーサプライの容量や電源ポート数、ペダルボードのサイズなんかも気にしなくてよくなります。
もちろん、配線トラブルや信号ループによるノイズ対策とも無縁に。
DAWの操作だったらタッチパネルでもいいでしょうが、フットスイッチ操作になることで演奏中の音色切り替えが可能になるのも魅力。
カフェなんかのちょっとしたライブ演奏に、アンプとエフェクターボード一式持って行く必要もなく、XTONE ProとiPadにモバイルバッテリー程度ですみます(あとはせいぜい小型PAスピーカー)。
とにかくXTONE Pro 1個加えることで広がるバラエティと、逆にコストやスペース面でのメリットが大きいですね。